アイドルプロデューサー/運営陣が本音で語る『TIF』の価値 シーンが抱える課題と参入障壁の高まり

『TIF』までに見つけたグループを「信じて良かった」と確認する日に

――リアルに語っていただき、ありがとうございます。先ほど、「進退に関わる」といったお話や「甲子園」という喩えもありましたので、『TIF』で何を見せるのか、どのように爪痕を残すのか、他のグループとどう差別化を図っているのか……皆さんの『TIF』に向けた戦略的なお話も聞かせていただきたいのですが、いかがでしょうか?

加藤:本気で挑みつつも、空振るのが一番寒いなと思っているので、熱量を届けるのはもちろんですが、お客さんが熱くなるツボ、お祭りとして一番楽しめるツボみたいなものをどれだけ事前に刺激しておいて、それをどう当日爆発させるかが大事だなと感じています。一緒に思い出を作る最大のパイを取りにいく、みたいなイメージかもしれないです。コアなファン、つまりそのグループだけをメインに楽しみに来る人の数は正直限られているので、その人たちが120%盛り上がってくれることによって、周りのお客さんも呼応して盛り上がっていく。だからこそ、コアなファンの方々の士気をどれだけ当日までに高めておくかが大事になってきます。SNSももちろん大事ですが、僕はライブアイドルは現場が一番だと思っているので、現場でのファンの熱量を当日どこまで持っていけるかをグループ毎に考えて臨む、といった感じでしょうかね。

HPSNC. / Merry BAD TUNE. -BandSet ver.-

松井:北海道ではもちろんですけど、東京遠征した時にもなかなかご一緒しないようなアイドルグループとも同じ並びでメインステージに立たせてもらう特別な機会なので、そこはメンバーもファンも楽しみにしているところだと思います。でも冷静に考えて、ライブアイドルシーンではある程度、最前線を走れている感覚が僕らの中ではあるんですけど、知名度や認知度で言ったら、同じメインステージにラインナップされているアイドルグループよりも劣っているなと感じてしまう。そうなった時に何で戦うかと言うと、やっぱり“ストーリー”だと思っています。これまで北海道拠点のアイドルが『TIF』には出たことはあっても、メインステージに立ったグループは誰もいなかったので、「北海道から、歴史を変えよう」といったキャッチコピーで『TIF』というイベントの器を借りて、2022年のメインステージ争奪LIVEを盛り上げて優勝できたというストーリー性を大事にしてきました。

 あとは、お台場の広い野外でやるイベントということで、遠くからも他のステージの音が聴こえてきたりするので、『TIF』までにどれだけ自分たちのキラーチューンを多くの人に届けられているかも大事だなと思っています。その曲のイントロが鳴った瞬間に、ステージに向かって多くの人が走って集まってくるような曲を作ることが、『TIF』での一番の勝ち方なのかなと思いますね。

【TIF×FNS歌謡祭コラボ企画】決勝リアルライブ審査の舞台裏に密着

甘噛:昔は「『TIF』で見つかる」といった現象があったと思うんですけど、今はそうではなく、自分が『TIF』までに見つけたグループを「本当に信じて良かった」と確認する日になってきているんじゃないかなと思っています。なので、新しい何かを見せるのではなく、その日その場にいるお客さんがどういう言葉を求めていて、どういう感動の質を求めているかによって、戦略も変わってくるなと思います。

 でも、今はそれが広がりすぎて、同じような取り組みするグループが増えてきて、同じような感動が多く生まれてしまっているのか再来年ぐらいにはお客さんも飽きてくると思うので、『TIF』を利用した新しいお客さんの満足のさせ方を提示したグループが次に勝つのかなと思っています。それをどこのグループがどのような形で出してくるのか、楽しみにしています。

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