Kroi、「All in」に見るタイアップの制約を飛び越えるファンクネス 国内外での躍進が証明する確かな進化
5人組ミクスチャーファンクバンド・Kroiが、TVアニメ『LIAR GAME』(テレビ東京系)第2クールのオープニング主題歌「All in」を7月13日に配信リリースした。
不穏な心理戦を描く、変幻自在なグルーヴ
『LIAR GAME』は、甲斐谷忍の人気漫画を原作に、巨額の賞金を賭けた騙し合いと心理戦を描く作品。人を信じるナオと天才詐欺師・アキヤマが、緻密な駆け引きに挑んでいく。曲作りにあたり内田怜央(Vo/Gt)は原作のファンであることを明かし、単行本を揃え、ドラマ版の特製トランプでも遊んだとコメントしている。彼は、物語が持つ独特の緊張感や不穏さ、心理戦の醍醐味を暗く歪んだ音像や重ねられた真実の層で表現し、アニメと共に楽しんでほしいと語った。その言葉どおり、楽曲はKroiの変幻自在なグルーヴとアニメの世界観を見事に結びつけている。
ドラムのフィルインを合図に、楽曲は序盤からフルスロットルで走り出す。疾走感あふれるバンドアンサンブルと、壁のように押し寄せてくるオルガンサウンド。その上を内田のラップが鋭く滑走していく冒頭から、一瞬で聴き手を楽曲の中へ引きずり込む。Kroiらしいファンクネスを軸にしながらも、全体の音像はいつになくダークでソリッド。リズム隊は前のめりに加速し、ギターと鍵盤はその隙間を縫うように緊張感を刻んでいく。
特に印象的なのは、サビで現れるスリリングかつ洗練されたメロディだ。ラップパートの切迫感から一転、メロディラインは美しく広がっていく。しかし、そこに安堵感はない。むしろ、楽曲全体に張り詰めた不穏さがあるからこそ、その美しさがより危うく響いてくる。そこから歪んだベースソロへとなだれ込み、再び内田のラップへ戻っていく展開も実にKroiらしい。曲が進むにつれてワウギターが宙を刻み、アンサンブルはさらにスピード感を増していく。展開の一つひとつが息もつかせず、楽曲そのものが駆け引きを仕掛けてくるようなスリルがある。
歌詞にも、〈嘘〉〈Fake〉〈ポーカーフェイス〉〈ゲーム〉〈欺瞞〉といった言葉が散りばめられ、真実と虚構が入り混じる世界を描く。とはいえ、単に作品世界をなぞるだけではない。〈嘘みたいな君の本当/壊れていくジレンマ〉〈信じるために疑うよ〉というラインには、人を信じたいからこそ疑わざるを得ない、矛盾を抱えた感情が刻まれている。サウンドの切迫感と歌詞の心理的な揺らぎが噛み合うことで、「All in」は単なるタイアップ曲にとどまらず、Kroiの持つスリル、技巧、ポップネスが高密度に凝縮された一曲になった。ライブで鳴らされたとき、間違いなくフロアの熱量を一段引き上げるだろう。
国内外のファンを魅了するジャンルレスな技巧
「All in」はバンドにとって、2026年上半期の総決算的な位置付けでもある。1月のアリーナツアーを経た彼らは、春にリリースしたIncognitoとのコラボ曲「Kinetic feat. INCOGNITO」を通じて本格的な海外セッションを経験。ロンドンにあるジャン=ポール“ブルーイ”モーニックのスタジオで録音されたこの曲は、ホーンセクションが印象的なアシッドジャズ仕立てのファンクで、国内ラジオチャートを席巻し、ストリーミングサービスでも国内外のプレイリストに多数選出され、J‑WAVEの春のキャンペーンソングにも選ばれた。Kroiのメンバーも憧れの存在と音を重ねることの喜びを、以前のインタビューで語っていた(※1)。
また、昨年リリースの「Method」は、TVアニメ『SAKAMOTO DAYS』(テレビ東京系)の主題歌としてSNSとストリーミング合算で5,000万再生を突破し、YouTubeでのMVも1,000万再生を超えるヒットに。その成果が評価され、『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』では最優秀オルタナティブ楽曲賞にノミネートされた。Kroiの楽曲が持つ複雑なコード進行やファンクの歯切れ、ヒップホップ由来の流麗なラップ、そしてネオソウルの甘さが、日本だけでなく海外の音楽ファンにも評価され始めている証左の一つと言えるだろう。
昨年秋には初のアジアツアーでソウル・台北・バンコクの3都市を巡り、バンコクでは地元のレコードショップを舞台にした『COSMOS Live Session』に出演。客席との距離の近さを生かしたセッションで、「Polyester (2025 ver.)」「夜明け」「HORN」「Shincha」の4曲を披露、バンコクの熱気や湿度をサウンドに取り込んだ 。こうした海外体験は、「All in」のラテン/ヒップホップ的なビート感にも滲んでいる。
そして今夏は、全国6会場を巡る『Kroi Live Tour 2026 “JUNGLE”』を開催予定だ。横浜、名古屋、札幌、福岡、大阪、東京の各公演にはレキシ、iri、KIRINJI、東京スカパラダイスオーケストラら豪華ゲストが参加し、ジャンルを超えた競演が楽しめる 。R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど幅広いジャンルを飲み込むKroiが、ゲストたちとのセッションを通じてさらにどんな化学反応を起こすのか期待は大きい。
国内外での活躍を重ねるうちにバンドは存在感を増し、楽曲に宿る自由度も増している。「All in」が示したのは、アニメタイアップという制約すら味方につけ、自らの音楽的表現を研ぎ澄ませるKroiの現在地だ。長いツアーの日々を経て、この曲がバンドのセットリストでどんな進化を遂げるか、しっかりと見届けたい。
※1:https://realsound.jp/2026/03/post-2322967.html
■リリース情報
「All in」
2026年7月13日(月)リリース
配信リンク:https://lnk.to/Kroi_Allin
■ライブ情報
『Kroi Live Tour 2026 "JUNGLE"』
2026年8月10日(月)KT Zepp Yokohama(ワンマン公演) 開場18:00/開演19:00
2026年8月20日(木)Zepp Nagoya(w / レキシ) 開場18:00/開演19:00
2026年8月21日(金)Zepp Nagoya(ワンマン公演) 開場18:00/開演19:00
2026年8月29日(土)Zepp Sapporo(ワンマン公演) 開場17:00/開演18:00
2026年9月4日(金)Zepp Fukuoka(w / iri ) 開場18:00/開演19:00
2026年9月5日(土)Zepp Fukuoka(ワンマン公演) 開場16:30/開演17:30
2026年9月18日(金)Zepp Osaka Bayside(w / KIRINJI) 開場18:00/開演19:00
2026年9月19日(土)Zepp Osaka Bayside(ワンマン公演) 開場16:30/開演17:30
2026年9月22日(祝・火)Zepp Haneda(TOKYO) (w/東京スカパラダイスオーケストラ) 開場17:00/開演18:00
2026年9月23日(祝・水)Zepp Haneda(TOKYO) (ワンマン公演) 開場17:00/開演18:00
■関連リンク
『Kroi Live Tour 2026 “JUNGLE”』特設サイト:https://special.kroi.net/tour/
HP:https://kroi.net
ECサイト:https://store.kroi.net
X:https://twitter.com/KroiOfficial
Instagram:https://www.instagram.com/kroi_official/
TikTok:https://www.tiktok.com/@kroiofficial
YouTube:https://youtube.com/@KroiOfficial