YOASOBI、INI、アイナ・ジ・エンド、中森明菜、生田斗真、名誉伝説……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は、YOASOBI「オリオン」、INI「Rendezvous」、アイナ・ジ・エンド「Blue Shining Star」、中森明菜「ごめんと、すきと、」、生田斗真「君の声が with 10-FEET」、名誉伝説「新女神」の6作品をピックアップした。(編集部)
YOASOBI「オリオン」
4作目のEP『THE BOOK for,』に収録された新曲「オリオン」は、チーム制アクションゲーム『オーバーウォッチ』のコラボレーション曲として、短編小説『地に堕ちた雀』(英題『The Fall of a Sparrow』)をもとに書き下ろされた楽曲。軸になっているのは、巫女にして剣豪の娘であるキリコ、サイボーグの身体を受け入れたゲンジ、弓と暗殺の名手 ハンゾーの関係性。ゲームの世界観とリンクしつつ、〈こんな馬鹿らしい未来/救いはないの?〉など現実感のあるワードを織り込んだリリックによって、幅広い層にリーチできる楽曲に仕立てられている。ドラムンベースを基調にしたトラックとJ-POP的な叙情性を反映したメロディ、スタイリッシュに磨き上げられた音像、滑舌とピッチの良さで楽曲に息吹を与えるボーカルなど、完璧で隙のないポップチューンだ。(森)
INI「Rendezvous」
情報番組『SUNDAYブレイク.』(フジテレビ系)年間テーマソングとなった新曲。全編英語詞の前シングル「Sand Castle」は大人っぽい魅力で聴き手を惑わせる新境地だったが、こちらは王道ポップス。明るいけれど眩しすぎない、オシャレではあれど気取りすぎない、絶妙な塩梅で成立するJ-POPである。日曜のテレビ、夕方の番組だったらこの爽やかさはちょっとツラいと思うが、朝7時からの放送であれば効果抜群。予定はなかったけどどこかへ行ってみようか、と前向きに気持ちが動く様子がリアルにイメージできる。なお、バックの演奏は歌を邪魔するものではないのだが、ベースの動きがなかなか気を引く曲でもある。(石井)
アイナ・ジ・エンド「Blue Shining Star」
TVアニメ『ONE PIECE HEROINES』(フジテレビ系)主題歌となる書き下ろし。アイナと『ONE PIECE』のタッグは「ルミナス - Luminous」以来で、シリーズ主題歌を女性が担当するのは8年ぶり、当然ジェンダーを超えていくことは重要なテーマだったはずだ。しかし、今回はヒロインたちの物語。〈リボンみたいな手錠かけて〉という歌い出しが象徴するように、あえて女性らしいアイテムが随所に散りばめられている。だが、これはガールズトークの歌ではなく、闘うシスターフッドの歌でもない。昔の自分を〈甘え腐っていたの〉と笑い飛ばし、ひとり凛と空に羽ばたいていくアイナ。軽やかなダンスビートと力みすぎない唱法も、楽曲の美しさを引き立てている。(石井)
中森明菜「ごめんと、すきと、」
20年ぶりの全国ツアー、地上波のバラエティ番組への出演など、完全復活のプロセスを進み始めた中森明菜。10年ぶりのCDシングル新曲「ごめんと、すきと、」は、生楽器の響きを活かしたオーガニックなバラードナンバーだ。作詞のHZ VILLAGEは中森本人を中心としたクリエイティブチームの名称で、楽曲は彼女自身の親友、そして活動を待ち望んでいたファンへの思いを綴っている。フレーズの端々から伝わってくるのは、“ごめん”と“すき”の間で揺れるリアルな感情。丁寧で奥深い表現からは、中森明菜という才能の凄み、年月を重ねてきたからこその豊かさがじんわりと伝わってくる。絶頂期を体験している世代はもちろん、当時を知らない若い音楽ファンにとっても、彼女の歌の魅力を実感できる楽曲と言えるだろう。(森)
生田斗真「君の声が with 10-FEET」
俳優・生田斗真による音楽活動第2弾。生田が憧れのバンドだと公言する10-FEETが全編参加しており、作詞作曲もTAKUMA(Vo/Gt)が担当。しかし、始まるのはストリングス、ピアノなどで構成されたミドルバラード。切なくも遠い目で終わった恋を歌い上げる生田があまりに真剣で、最初は何かのドッキリかと勘繰ってしまった。ただ、2番で出てくるギターリフや譜割りはまさに10-FEET、後ろのほうから聴こえる「wow!」「hoo!」の掛け声はTAKUMA以外の何者でもない。なるほど、これは生田が10-FEETの懐に飛び込んだ曲ではあるが、人気俳優のオーラやスター性に相応しい名曲を10-FEETが精魂込めて用意した結果でもあるのだろう。どちらにも愛がある。(石井)
名誉伝説「新女神」
鋭さと可愛さとしなやかさを同時に感じさせるサウンドメイク、心地よくアップダウンを繰り返すメロディと意外性に溢れた転調、ふんわりとした柔らかさと凛とした強さを内包したボーカル。個人的にも激推し中、名誉伝説(ボーカル こたに、ギター けっさくによるバンド)の新曲「新女神」は、このバンドのチャームポイントがギュッと凝縮されたポップチューン。ラテンのフレーバーを取り入れたトラックの中で響くのは、「自分の魅力を愛そう!」というシンプルで大切なメッセージ。身体的な気持ちよさ、鬱屈とした気分を晴らしてくれるパワーがどんどん増幅していて、「いろいろあるけど、自分を生きるしかないよな」というポジティブへと導いてくれるポップナンバーだ。(森)