BE:FIRST MANATO、歌を通じて“物語”を伝える優れた表現力 「Rain on me」「ROMEO」で見せた異なる表情
5月6日にリリースされたBE:FIRSTの9thシングル『BE:FIRST ALL DAY』に収録されているMANATOのソロ曲「Rain on me 〜One of the BE:ST-05 MANATO〜」。そのSpecial Videoが5月27日に公開された。同映像は、歌詞の世界を体現するドラマシーンと、そのストーリーの語り部として登場するMANATOの歌唱シーンによって構成されており、ドラマシーンはMANATOが作詞時に思い描いていた情景や楽曲に込めたメッセージを丁寧にヒアリングし、その内容をもとに制作されたという。
さらに5月20日には、MANATOがAile The Shota、BE:FIRST・SOTAとともに活動するユニット・ShowMinorSavageの新曲「ROMEO」のSpecial Dance Performance動画も公開された。約1年9カ月ぶりの新曲となる同作は、振り付けを担当したKAZtheFIRE曰く「ダンサーがぶち上がるような振り付けにしたかった」とのことで(※1)、楽曲の世界観とともに3人のダンスを堪能できる映像となっている。
「Rain on me」「ROMEO」異なる世界観を自分のものにする技量
MANATOは「Rain on me」と「ROMEO」の2つの楽曲で、異なる表情を見せている。その振り幅の大きさこそが、MANATOのパフォーマンスの魅力を紐解くヒントになるのではないだろうか。
まず「Rain on me」は、別れを美しく描いたR&Bナンバーだ。どこかアリシア・キーズの「If I Ain't Got You」を彷彿とさせるような空気感の中で、MANATOのシルキーな歌声が映えた1曲となっている。もちろん、MANATOの高い歌唱力は以前から広く知られているところ。しかし、同曲ではフェイクやビブラートといった技巧でリスナーを圧倒するのではなく、楽曲に込められた感情や物語を丁寧に届けようとしているように感じられる。さらに、印象的なのが余白の使い方。単なる休符ではなく、言葉にならない感情を表現するための時間として機能しているのだ。そのため、歌を聴いているはずなのに、物語を見ているような感覚にもなる。これは、Special VideoでMANATOが語り部という役割を担っていることにも繋がってきそうだ。そこからは、彼が歌を通じてストーリーを伝えることに長けたアーティストであることもわかる。
一方「ROMEO」は、「Rain on me」とは違った魅力を持つ楽曲だ。同曲は抗えずに堕ちていく男女の関係性を描いたメロウなR&Bナンバーで、Aile The Shota曰く「R&Bの中のセクシャルな部分とかを表現しつつ、トラップソウルで踊れるっていう、俺らのルーツに近い音楽」とのこと(※1)。MANATOは1コーラス目を担当しており、「Rain on me」とは打って変わって艶のある歌声を聴かせている。色気をまとったボーカルは非常に魅力的だが、不思議とナルシシスティックな印象はない。どこか親しみやすさやチャーミングさがあるからだろうか。楽曲のテーマについてAile The Shotaが「『クズ』っていうのが早いときからあった(笑)」(※2)と語っているように、歌詞に登場する人物像は決して褒められたものではないが、それでも下劣な印象を受けないのはMANATOをはじめ、3人それぞれの持つ独特のバランス感覚によるものではないか。
そして、この印象はダンスにも通じている。ペアダンスを取り入れたパフォーマンスでは色気が巧みに表現されており、セクシーさが過度に強調されることはない。どこか自然体で、肩の力が抜けているその絶妙な塩梅が、彼らしいチャーミングさにつながっているようにも見える。
こうしてみると、MANATOは曲ごとに人格を変えるかのような繊細な表現を見せていることがわかる。それは感情の温度感をアウトプットすることに長けているからこそできることだ。歌唱力やダンススキルの高さは、もちろんMANATOの大きな武器だ。ただ、その根底にあるのは優れた表現力なのかもしれない。だからこそ、繊細なバラードでも、歌唱力が試されるR&Bでも、それぞれの世界観を自分のものとして成立させることができるのだろう。そう考えると、アグレッシブさとクリーンさが同居したBE:FIRSTの楽曲の中でも、MANATOが自然に存在感を発揮していることにも納得がいく。次はどんな楽曲を、どんな表情で自分のものにしていくのか。表現者としての進化にも期待したい。
※1:https://youtu.be/GxTftJMEhQs?si=n3cM6s1hnvVsookh
※2:https://rollingstonejapan.com/articles/detail/44706/1/1/1