嵐 全史(前編):ジュニア黄金期に咲いた最大の花 デビューと5人の苦悩、ブレイクへの助走
突破口を開くための模索の時期
だが、デビュー後、すべてが順調に行ったわけではなかった。
「A・RA・SHI」は累計でミリオンセラーに迫る大ヒットとなったが、その後、それに匹敵するヒット曲はなかなか生まれなかった。2000年代前半には、売り上げが20万枚に達しないシングルもあった。
直接的な要因としては、ジュニア黄金期の終焉があった。黄金期のメンバーもNEWSのようにやがてメジャーデビューを果たし、ジュニアではなくなる。むろん嵐もそうである。さらにSMAPを筆頭に事務所全体も勢いづくなかで、2000年代後半にはKAT-TUNのような後輩グループがデビュー前から際立った人気を博することもあった。
むろん嵐も手を拱いていたわけではない。アリーナツアーなどライブ活動は途切れることなく毎年続けていたし、テレビでは初の単独での冠バラエティ番組となる『真夜中の嵐』(日本テレビ系)などがあり、2004年には『24時間テレビ27 愛は地球を救う』(日本テレビ系)のメインパーソナリティも務めた。
またソロ活動も精力的だった。松本は、『金田一少年の事件簿 第3シリーズ』や『ごくせん』(いずれも日本テレビ系)で俳優として大きく注目された。二宮もドラマだけでなく映画『青の炎』や『硫黄島からの手紙』に出演して高い評価を受けた。櫻井はソロコンサートに挑戦し、さらに報道番組『NEWS ZERO』(日本テレビ系)のキャスターに就任して話題を呼んだ。大野は多くの舞台で主役を務め、やはりソロコンサートを開いたりもした。相葉は、ドラマ、バラエティ、ラジオなどタレントとしてマルチに活躍の場を広げた。
とはいえ、相葉が2002年に病気で一時入院を余儀なくされたときもあった。また事務所内の競争が激しくなるなかで、嵐の持つ“仲のよさ”、“自然体の魅力”といった長所が逆にマイナスに働く局面もなかったとは言えないだろう。突破口を開くための模索の時期が続いた。
訪れた飛躍のチャンス――『花より男子』と「Love so sweet」
だが、そうしたなか、飛躍のチャンスが訪れる。松本が出演したドラマ『花より男子』シリーズ(TBS系)である。
同作は、2005年に第1期が放送された学園ラブコメ。井上真央演じる主人公・牧野つくしを取り巻くのが“F4”と呼ばれる4人のイケメン御曹司。そのリーダー・道明寺司を演じたのが松本である。前評判はそれほど高くなかったが、蓋を開けてみると平均視聴率19.8%、最終回視聴率は22.4%(関東地区世帯視聴率/ビデオリサーチ調べ)を記録する大人気ドラマとなった。
この主題歌となったのが嵐の「WISH」で、前シングルの売り上げをはるかに上回るヒットになった。さらに2007年放送の続編『花より男子2(リターンズ)』の主題歌「Love so sweet」は、嵐としては当時久々に初動で20万枚を超えるヒットを記録(オリコン調べ/※2)。相手へのまっすぐな愛を歌った王道のラブソングとして、嵐の代表曲になった。
ドラマから同事務所のタレントの人気に火がついたケースとしては、『3年B組金八先生(第1シリーズ)』(TBS系)のたのきんトリオ、『ロングバケーション』(フジテレビ系)の木村拓哉などの先例がある。だが、似たケースで主題歌も歌ったのは嵐のみ。ドラマとの相乗効果は大きかった。
ようやくステップアップのきっかけをつかんだ嵐。そしてそれは、“国民的アイドル”への序章でもあった。
※1:https://www.oricon.co.jp/news/57578/full/
※2:https://www.oricon.co.jp/news/42472/full/