Ado、Vaundy、宮本浩次、CORTIS、ヨルシカ、満島ひかり……注目新譜6作をレビュー

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はAdo「綺羅」、Vaundy「イデアが溢れて眠れない」、宮本浩次「I love 人生!」、CORTIS「REDRED」、ヨルシカ「あぶく」、満島ひかり「踊るノアール (Prod. cero)」の6作品をピックアップした。(編集部)

Ado「綺羅」

【Ado】綺羅(Official Audio)

 7月に日産スタジアム2DAYS公演、8月には『SUMMER SONIC 2026』でヘッドライナーを務めるなど、完全に日本を代表するアーティストに上り詰めたAdoの新曲「綺麗」は、「adidas」サッカー日本代表 2026 ユニフォームソング。作詞作曲はキタニタツヤで、ネットカルチャーとの距離も近い二人がこのプロジェクトで交わったこと自体に大きな意義があると思う。90年代のオルタナやミクスチャーロックの雰囲気を色濃く感じさせるギターサウンド、闘志や泥臭さ、ひたむきにゴールに向かう姿をリアルに描き出した歌詞、そして、サビに入った瞬間にパワーを全開にするボーカルがせめぎ合うような構成も見事。この夏、日本を盛り上げるエナジーソングとして幅広く聴かれることになるだろう。(森)

Vaundy「イデアが溢れて眠れない」

イデアが溢れて眠れない

 “イデア”を簡単に説明すると、古代ギリシャの哲学者・プラトンが提唱した、現実世界の背後に不変で完全な真実の姿を持つ別の世界が実在するという考え方。“アイデア”の語源としても知られているが、これまでの経験や情報が結びつくことで生まれる閃きがアイデアとすれば、そのなかには必ずイデアという完璧な世界への扉が潜んでいるはず――。ドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』(フジテレビ系)主題歌となるVaundyの新曲「イデアが溢れて眠れない」にも、そんな美しい直感がたっぷりと込められている。煌びやかなストリングの音色に連なるのは、心地よい起伏に富んだドラムとベース。さらにキレのいいギターが重なり、Vaundyのボーカルも大らかに広がっていく。〈この/偶然の先、必然の先、言葉が光すらも超えて〉というフレーズがもたらすポジティブな波動もまた、この曲の核だろう。(森)

宮本浩次「I love 人生!」

宮本浩次 ー I love 人生!

 ドラマ『リボーン 〜最後のヒーロー〜』(テレビ朝日系)主題歌となる新曲。QUEENの「We Will Rock You」を彷彿とさせるイントロから始まり、冒頭で〈アイアムヒーロー 最後のヒーロー〉とドラマのタイトルが力強く叫ばれる。いや、「叫ぶ」とつい書いてしまったが、雄々しいロックサウンドの上に乗る宮本は、決して吠えたりわめいたりしていない。わりと高低差のあるメロディを丁寧に追い、細かくファルセットを使い分けながら、それでも「叫び」と呼びたくなる熱量を一度も落とさない。さらに言えばBPMもゆっくり。勢いで誤魔化すことなど不可能で、素人が歌うと確実に間延びするだろう。宮本浩次のロックスターたる所以を痛感する一曲。(石井)

CORTIS「REDRED」

CORTIS (코르티스) 'REDRED' Conceptual Performance Film

 BTS、TOMORROW X TOGETHERが所属するBIGHIT MUSICから2025年にデビューしたCORTISは、メンバー自らがクリエイティブにがっつり関わる“ヤングクリエイタークルー”としての機能が特徴。LAでのソングライティングキャンプをもとに制作されたThe 2nd EP『GREENGREEN』のタイトル曲「REDRED」は、眩しさと歪みを同時に感じさせるシンセのリフ、80’sエレクトロ直系のダークなビート、そして、リフレインされる旋律が響き合うダンストラックで、現在の彼らのモードが率直に表れている。周囲を気にすることを“RED”、やりたいことを貫くスタンスを“GREEN”にたとえたリリックからも、このグループの勢いが伝わってくる。心地よい中毒性に溢れた「REDRED」は、CORTISの新たなブレイクポイントになりそうだ。(森)

ヨルシカ「あぶく」

『LIAR GAME』OP/TVアニメOPテーマ:ヨルシカ「あぶく」

 TVアニメ『LIAR GAME』(テレビ東京系)オープニングテーマとなる新曲。どこかラテンの匂いがする楽曲自体が珍しいが、ゆったりした空間を用意しない、スリリングなアレンジがさらなる意外性をもたらす。細やかなビートを刻むMasackのドラム、キタニタツヤによる動きの激しいベースライン、全体の雰囲気に少しの違和感を差し込んでいく平畑徹也のピアノなど、何度聴いても鮮烈な驚きをもたらすアンサンブルだ。コンポーザーであるn-bunaとボーカルのsuisがそれぞれ魅力的なユニットではあるが、この曲に関しては、サポートメンバーも含めた“バンド・ヨルシカ”がヤバい、と言いたくなる。いつになく艶っぽくダークなsuisの唱法にも注目。(石井)

満島ひかり「踊るノアール (Prod. cero)」

踊るノアール (Prod. cero)

 4月18日に開催されたアナログレコードの祭典『RECORD STORE DAY 2026』。今年のミューズを務めた満島ひかりが、自ら共演を願い出たのはceroであった。作曲は荒内佑が、作詞は満島ひかりが担当。互いが静かに理解を深め、精神面でも深く共振していくような、とても丁寧なコラボ楽曲が完成している。起承転結のあるポップスというよりは、穏やかに揺らぎ続けるアンビエント。ギターやシンセやサックスの響きに演奏者のエゴはない。すべての音が「自然の中に存在するあらゆる生命の息遣い」を謙虚かつ真摯に表現しているようで、満島の透明な歌声、感情を込めすぎずそっと言葉を置いていく歌唱も、この満たされた世界観によく似合っている。(石井)

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