ROTTENGRAFFTY、止まらず進み続けたバンドの底力が炸裂 観客と本気でぶつかり合ったZepp Shinjuku公演
「新宿LOFTも埋まらなかった俺らがZepp Shinjukuソールドアウトなんてヤバいな!」とN∀OKI(Vo)は胸を張った。
昨年3月にリリースした8thアルバム『わびさび』を提げ、全国各地を回った『わびさびTOUR』を経て、今まさに『わびさびTOUR FINAL SERIES ONEMAN LIVE』と題した、5大都市の1,000~2,000人キャパのハコでワンマンライブに挑んでいるROTTENGRAFFTY(以下ロットン)。彼らにとって、その3公演目となる初のZepp Shinjuku(TOKYO)公演はソールドアウト。その実績以上にこの公演の彼らのパフォーマンスはあまりに意義深い。結成25周年を経てもなおバンドが続いていることは奇跡に近いと言いながら、その奇跡を起こしたのは、一度も活動を止めなかった自分達だという自負を曲間のMCに滲ませ、この日、ステージの5人が観客の脳裏に、それこそ焦げ付くほどに焼き付けたのはロットンの底力だった。
『わびさび』の1曲目を飾る雅楽風のインストナンバー「六-Attack-奏」をSE代わりにオンステージした5人が、N∀OKIのスクリームを合図にロットン流のハードコアナンバー「暁アイデンティティ」になだれこむスタートダッシュからして完璧だった。ステージに押し寄せ、モッシュを始めた観客はアンセミックに展開するサビで早速、シンガロングの声を上げる。
バンドの演奏はもう止まらない。シンセのイントロからトラップビートとラップパートも含む「夢幻獄」、スカパンクな「相殺微量サイレンス」とノンストップで繋げていき、「本気でかかってこい!」とNOBUYA(Vo)が観客に発破を掛けながら、いきなりトドメを刺すように食らわせた「STAY REAL」。アンセミックにして、ダンサブル、そしてヘビーに展開する演奏に合わせ、観客がシンガロングからジャンプ、さらにはヘッドバンギングすることで、序盤にもかかわらず、フロアにはすでに熱気とともに大きな一体感が生まれていた。
ステージの最前線で荒れ狂う観客と対峙しながら、エネルギッシュに動き回るNOBUYAとN∀OKI、コードストローク1発にも渾身の力を込めるMASAHIKO(Gt)、ソリッドにリズムを刻み続ける侑威地(Ba)、そしてダイナミックなドラミングで演奏の推進力を担うHIROSHI(Dr)。5人のパフォーマンスからは気迫がびりびりと伝わってくる。
この日のロットンは音の圧がいつも以上に凄かった。「ロットンのワンマン。ロットン好きのボンクラしかいない。ここではすべてを解放せよ!」とN∀OKIが叫んだこの日、2時間に渡って、5人が披露したのは『わびさび』の全曲にライブのキラーチューンの数々を加えた全23曲。「それ!それ!」という掛け声が観客の気持ちをさらに煽った「ハレルヤ」、新日本プロレスの藤田晃生の入場曲として提供した「JAPANESE YOUNG PUNK」、HIROSHIが巧みに横ノリのビートを織りまぜるラップメタルの「PLAYBACK」とたたみかけるように繋げ、前述した音の圧を見せつけながら、リズムがスウィングする「かぞえ詩」のノスタルジックなメロディで、不意に胸をきゅんとさせるんだからセットリストの作り方が実に心憎い。
ロットンと言えば、ラウドロックなバンドサウンドの中で閃かせるシンガロング必至の歌メロも魅力のひとつだが、N∀OKIのブルースハープソロがエモさを際立たせたストレートなロックナンバーの「Blown in the Reborn」から、侑威地がベースフレーズにさりげなくスラップを加えた「響都グラフティー」と繋げていった中盤は、メロディアスな魅力をタイトなバンドアンサブルとともに今一度アピールしていた印象も。
〈Don’t stop me now/Non stop the music〉というリフレインが耳に残った「世界の終わり」は、MASAHIKOのメタリックなギタープレイも聴きどころだった。クランチなリフをザクザクと刻んだり、裏打ちのカッティングをソリッドに鳴らしたりする一方で、オクターブ奏法やエフェクターを駆使したフラッシーなフレーズ、タッピングも交えたテクニカルなプレイを曲ごとに使いわける。MASAHIKOの加入から4年を経て、今では、全曲のギタープレイをレビューしたいくらいバンドアンサンブルにおける大きな聴きどころになっている。
後半戦も曲間のMCで、新曲を作り始めていることや、その出来に大きな手応えを感じていることに加え、今年の『響都超特急2026』は例年以上にヤバいから必ず来てほしいと観客に伝えながら、ツインボーカルの醍醐味を見せつけた「銀色スターリー」、グルービーなハードコアナンバー「・・・・・マニュアル07」、童歌と音頭の要素がバンドサウンドの中でメンバーの郷土愛とともにひとつになる「響く都」、アンセミックかつダンサブルな「D.A.N.C.E.」とライブのキラーチューンを繋げていった。そして、サビのシンガロングからなだれこむ「THIS WORLD」では「殺す気でかかってこい!」と凄みをきかせながらファンの気持ちに火をつけたNOBUYAに応え、ダイブしながら観客がステージに押し寄せると、今度はそのガッツに応えるようにNOBUYAとN∀OKIはフロアに飛び込んで歌い続けた。
「おまえら最高だ。ありがとう!」と本気でぶつかってきた観客にNOBUYAが感謝を述べる。バンドと観客による本気のぶつかり合いは、「金色グラフティー」でついにこの日最大の熱狂を生み出すのだが、その前に「何があろうが、ロットンはまだまだ邁進していきます。その一歩がまだ見ぬ世界に繋がっていく」という思いとともに披露したバラード「Walk」、療養のため、今回のツアーを最後にいったんライブ活動を休止するHIROSHIのリクエストだというストレートなロックナンバー「盲目の街」を繋げ、敢えて嵐の前の静けさを作ることも忘れない。
ライブが佳境を迎えていると誰もが思ったはずだ。ならば、悔いを残さないように完全燃焼するのみ。観客がそう覚悟を決めたところでなだれこんだのが、もはやロットンのライブには欠かせない「金色グラフティー」。サビをアカペラで歌うN∀OKIとNOBUYAの歌に観客がシンガロングの声を重ねながらステージに押し寄せる。「どう見てもダイバーの数が少なすぎるやろ! 全員、飛んで来い!」というNOBUYAの雄叫びを合図にバンドの演奏が炸裂。観客のダイブも始まる。ハードコアからダンサブルに変化していった演奏はサビでアンセミックに展開。しかし、この曲は観客のシンガロングだけでは終わらない。ブレイクダウンパートで観客全員がヘッドバンギングする光景はまさに壮観の一言。そして、演奏は再びテンポアップすると、観客のサークルピットとともにエンディング。その瞬間、この日最大の熱狂が生まれていたことはすでに書いた通り。その余韻の中、「Activism」をストレートに聴かせると、「おまえらがいてくれるから俺らは存在しつづけられる」とNOBUYAが再び感謝を述べながら本編は終了した。
サイレンの音を不穏に鳴らしながら、再びオンステージしたアンコール。「零戦SOUNDSYSTEM」で打ち鳴らすHIROSHIのドラムとともにダイナミックなバンドサウンドをダメ押しするようにアピールすると、『わびさびTOUR』の神戸公演で対バンしたFUNGUSのフロントマン、鎌坂誠(Vo)をゲストに迎え、メロディックパンクなサウンドに持ち前の歌謡メロディを落としこんだ「秋桜」と鎌坂のTRACY時代の楽曲で、ロットンが『わびさび』でカバーしたストレートなパンクロックナンバー「TEENAGE」の2曲を鎌坂とともに歌うというサプライズも飛び出し、最後の最後までフロアを揺らしつづけた。
いつの間にかTRACYのTシャツに着替えていたN∀OKIは中学時代、ファンクラブに入るくらいTRACYが大好きだったという。「TEENAGE」を鎌坂と一緒に歌えたこともさることながら、鎌坂に「秋桜」を歌ってもらえたことはかなりうれしかったはずだ。それも含め、ロットン初のZepp Shinjuku(TOKYO)公演はメンバーにとっても、観客にとっても記憶に残るものになったに違いない。
『わびさびTOUR FINAL SERIES ONEMAN LIVE』も4月17日の大阪公演と29日の札幌公演の2公演を残すのみ。『わびさびTOUR』の29公演を通して、バンドの状態を仕上げながら、まだまだ行けるぜと言わんばかりに闘志を剝き出しにする今現在、最強のロットンの姿は、ぜひ見ておいたほうがいい。