Ms.OOJA 15周年インタビューVol.2 歌謡曲カバーのヒット、コロナ禍を経て立った武道館ーー挑戦心で道を切り開いたキャリア中期

 2026年2月16日、Ms.OOJAがデビュー15周年を迎えた。リアルサウンドでは、これまでリリースした思い出の楽曲と共に彼女のキャリアを辿るインタビューを3回にわたって連載。第2回では、『流しのOOJA』などの歌謡曲カバーで新しい扉を開いた2010年代後期から、コロナ禍を乗り越えて日本武道館に立った2020年代前半までを届けたい。(編集部)

2017年「三日月」

ーー「三日月」はDREAMS COME TRUEのカバーソングです。これを選んだのはMs.OOJAさんが歌手になるきっかけとなった曲だったからですか?

Ms.OOJA:そうです。この曲を友だちが褒めてくれて歌手になろうと思った、とても思い入れのある楽曲です。なので『Ms. OOJAの、いちばん泣けるドリカム』でカバーできたのが嬉しかったですね。憧れのドリカムに近づけるのは夢のような話でしたし、すごくチャレンジングなアルバムでした。(吉田)美和さんって信じられないくらい歌がうまいから、とにかく難しいんですよ。でも、Ms.OOJAとして表現したいという思いが強かったのでチャレンジして。成長させてもらえたカバーアルバムになりました。

ーーそれまでリリースしてきたカバーアルバムとは感覚が違っていたのでしょうか。

Ms.OOJA:まったく違いました。まず全て同じアーティストの曲ばかりですし、私自身ドリカムのファンだからファンの気持ちもわかるんですよ。自分が好きなアーティストの曲を他の誰かが歌うのって、嫌じゃないですか。でもドリカムのファンの方は優しく受け入れてくれて、応援してくださって。しかも(中村)正人さんも美和さんも喜んでくださって、コメントもいただけました。人生の宝物ができたのがこの年です。このきっかけとなったのが、私にとっても大切な曲である「三日月」を『私だけのドリカム THE LIVE in 万博公園』で歌わせてもらったことでした。これも2016年の『水曜歌謡祭』のシンガーから選んでもらっていたので番組のおかげでしたし、番組がきっかけになってリリースした『THE HITS ~No.1 SONG COVERS~』の中には「朝がまた来る」が収録されていて、ドリカムのトリビュートアルバム『The best covers of DREAMS COME TRUE ドリウタ Vol.1』では「さよならを待ってる」を歌わせていただいて。すべてが繋がっているんだなということを改めて感じました。

ーードリカム一色の1年ですね。

Ms.OOJA:本当に。この年のリリースは『Ms. OOJAの、いちばん泣けるドリカム』だけでしたから。それと、渋谷のクラブクアトロでクリス松村さんとリリースイベントをやったのですが、そこにドリカムのお二人からお花をいただいたりもしました。他にもドリカムの特番にも出演させていただいて、本当にドリカム一色でしたね。

2018年「White Letter」

Ms.OOJA - 「White Letter」 MUSIC VIDEO (from 6th ALBUM「PROUD」)

ーー2018年はアルバム『PROUD』から「White Letter」。

Ms.OOJA:「White Letter」はリード曲で、her0ismとコライトをしました。her0ismとは「Be...」以来だったんですよ。でも実は、2017年11月頃に1度会っていて。というのも、SakaiさんがLAで行ったコライト合宿に私も参加していて。そこにher0ismが会いにきてくれたんです。「Be...」の時も直接会っていなかったので、そこで初めてher0ismに会いました。「今度日本に行った時に一緒にセッションしましょう」と言って、作ったのが「White Letter」。やっぱりher0ismのメロディーは素晴らしいな、と。そんな曲がその年の『さっぽろホワイトイルミネーション』のコラボソングになって、MVを札幌で撮って。個人的にも思い出がある曲ですし、いまだに人気のある曲なので選びました。

ーーさまざまな経験を経ての2018年はどんな年でしたか。

Ms.OOJA:バラエティに富んだ1年だったんじゃないかな。『PROUD』っていろんな人とセッションをして曲を作っているんですね。0から1という瞬発的に曲を作ることを楽しみながらやっていた時代でした。ライブでもいろんなチャレンジをしましたね。踊ってみたり、映像を出してみたり。JAY'EDとも久々に曲を作ったり、ね。2014年に出した「また君と」がロングヒットをしていて、JAY'EDともう1曲作ろうと言って「朝陽のようなKissをして」を作ったりもしました。カラオケでみんなが歌える「また君と」みたいな曲にしようと言ったのに、ものすごく難しい曲になってしまいましたけどね(笑)。

ーー一番印象に残っているチャレンジはありますか?

Ms.OOJA:『Stories』というEPかな。いろんな方とお話をして、それをもとに歌詞を書くという試みをした作品です。貫地谷しほりさん、真矢みきさん、浅尾美和さん、近藤くみこさん、井上麻矢さんという5人の女性のお話から曲を作ったのは、面白いチャレンジだったなと思います。

ーーどうやってそんな素敵なアイデアが思いついたのですか?

Ms.OOJA:2014年に「Jewel」という曲を出したのですが、それは神崎恵さんのお話を聞いて歌詞を書くというスタイルで作ったんです。それをいろんな方でやったら面白いんじゃないかという話になって、スタートした企画でした。自分では出てこないワードや、話を聞くことで出るメロディーがあって、化学反応みたいで楽しかったです。それにこの頃は曲作りもより自由になっていたので、その影響もあったんじゃないかな。

ーーそれまでは「こうじゃなきゃ」という思いが強かったのですか?

Ms.OOJA:すごくありました。自分で勝手にルールを決めて、「この言い回しはよくない」とがんじがらめになっていた気がします。それが、このあたりから「もっと自由でもいいじゃん」と気持ち的に軽くなっていきましたね。

■2019年「海を見てる」

Ms.OOJA Fan Film「海を見てる」4K

ーー「海を見てる」もher0ismさんとのコライトです。

Ms.OOJA:やっぱりher0ismの曲はライブ映えもするし、汎用性が高いんですよね。この年はコブクロの小渕(健太郎)さんにも曲を書いていただいていて。私、小渕さんにはくどいくらい曲を書いてほしいとお願いしていたんですね。で、2019年に私はお引越しをしたのですが、その当日に小渕さんから「曲を書きます」とメッセージが来て。

ーー幸先がいい!

Ms.OOJA:そうなの。「絶対この家に引っ越して正解じゃん!」と思いました。引っ越しはプライベートなことですが、Ms.OOJAとしても成長を感じ始めた年だったんですね。そんな中で「海を見てる」は恥ずかしいくらいのキャッチーさがあって。好き嫌いで言ったら好きなのですが、作った当時はちょっとした恥ずかしさみたいなものがあって寝かせていたんです。でも、そういう曲ほど表に出した時に自分のお気に入りになるということも経験を経て知れたので、気兼ねなく出すことにしました。やっぱりお気に入りの曲になりましたし、今では自分の「好き」を大切にするようになりました。そういう意味で「海を見てる」を選びましたね。

ーー2019年はコロナの前年ですが、この頃はどんな日々を過ごしていましたか。

Ms.OOJA:記憶が曖昧なのですが(笑)、すっごく忙しかった気がします。……あぁ、そうだ! この年は翌年にリリースする楽曲の準備や、ライブの準備をしたりしていました。それと、札幌でフリーライブみたいに流しで歌っていて『流しのOOJA』の構想も練り始めていました。2016年くらいから積極的に人との関わりを持つようにしていたのですが、徐々に応援してくれる人や繋がりが増えていって、2019年も引き続きご縁を広げる動きをしていて。その中で新しい出会いもあったりしていました。そのおかげもあってか、自分がやりたいことを実現できるようになった年ですね。こんな曲が作りたい、こんな写真が撮りたい、こんなMVにしたいと自由に言えるようになって、『流しのOOJA』も自分で歌謡曲のカバーがやりたいと言って動き始めました。

ーーなんだか生まれ変わったような感覚ですね。

Ms.OOJA:そういう感覚はあったかもしれない。New OOJA(笑)。それまでは何かを提案してもらって「いいですね、やってみましょう」と、とにかく経験値を増やすことに精一杯だったんです。もちろんそれを楽しみながらやっていましたが、「私はこうしたい、ああしたい」と自我を持つようになったというか。そんな1年でした。

関連記事