Ken Yokoyama、アニメ『ゴールデンカムイ』EDにぶつけた素直な欲求 日本語詞が広げたバンドの可能性
これがバンドにどう影響を与えるのか
一一「Strangers」はCOBRAのカバー。意外な選曲です。
横山:この曲を知ったのは僕がまだ10代の頃で、COBRAのメジャーデビュー、第一弾のシングルだったらしいのね。俺はそんなことも知らずに先輩から聴かされて、その先輩からは「これパンクバンドなんだけど、メジャーデビューしてこんなに変わっちゃったよ」みたいな注釈をつけられて。でも俺は普通に「いい曲だなぁ」と思って、カセットに録ってずーっと聴いてた。
一一へぇ。情報もなく、ただメロディに惹かれた。
横山:うん。もちろんプロデューサーの存在も大きかったと思うけど、作詞作曲したYOSU-KOさん、あとギターのLARRYさん(のちにGARLIC BOYS)、たぶん当時はハタチそこそこだと思うの。ハタチでこれ作ってるって……考えるとすごいぞ、と思って。で、曲がいいから、サウンドを自分たちっぽく寄せちゃえば絶対格好よくなるって、この曲に関しては最初から自信があった。歌いたかったしね、このメロディラインを。
一一続いて「RAIDEN GO」。昨年からある曲です。
横山:これはMリーグっていう麻雀のプロリーグがあって。その中には萩原聖人さんが所属してる〈チーム雷電〉があって。僕もすごく麻雀好きだから、自分のラジオで「ゲスト、誰か呼んでいいですよ」って言われた時に「萩原聖人さんを呼びたい、麻雀の話を聞きたい」って。そこで初めて会ったのが2年前かな。で、その放送中に「リーチかけた時に楽屋でみんなで歌える、ウチのチームのテーマソング書いてくれません?」「もちろん!」って。それですぐレコーディングもして。僕としては、作品としてパッケージするタイミングがようやく来た感じ。歌詞も〈R・A・I〉〈D・E・N〉って言ってるだけだから、この作品に収めたところで「一曲だけ英語詞かよ」とはならないと思ったし。
一一もう一個の〈R・M・O〉は何ですか?
横山:あ、これは萩原さんが作った造語。〈雷電の、麻雀は、面白いんです〉っていう。勝つと必ずこれ言いながらポーズを決めるの。これはMリーグの文化的な習慣なのかな。実際試合にお邪魔して、楽屋にずっといさせてもらって。「なるほど、こんな空気なんだ。こういう時のための曲が必要なんだ」と思って書いていったから。
一一より直接的なタイアップ、とも言えますね。
横山:うん。直接的なコラボ、本人たち同士の熱がこもった遊びというか。
一一そして最後は「Goodbye, So Long」。2曲目のオリジナル日本語詞です。
横山:えーとね、この曲は……『4Wheels 9Lives』の頃からあったもので。ボツになった曲をもっかい練り直してみた。
一一当時、歌詞はありました?
横山:言葉を乗せるまでになんなかった。その前に「どうもイマイチだね」って話でお蔵入りになったんだけど。でも好きな感じだったんだろうな。俺がずっと覚えてた。で、さっき「日本語は一音に対して一言」って言ってくれた、そこをすごく意識した。このメロディは英語よりも日本語が映えると思ったの。
一一確かにそうかも。なんで別れの歌になったんですか。
横山:もともとそういうテーマで書いてた曲だった。これは完全な主観なんだけど、このコード進行とかメロディからは切なさを感じていて。桜が散っていく風景が思い浮かぶんだよな。それを言葉にしてみたくて。僕が今まで経験してきた数々の別れ、それこそ男女の別れ、仲間との別れ、そういったことをいろいろ思い浮かべながら再構築していった曲。
一一メンバーは日本語歌唱に対してどんなリアクションでした?
横山:まぁJun Grayは(口調を真似て)「お前がやりたいんだったらやればいいよ」って。バンドとして今まで避けてきたことだから、今さら日本語でやんのかよって気持ちはたぶんゼロではなかったと思うのね。ただ、Junちゃんは「作るのはお前だから、お前に勝算があるんだったらやってみろ、できたら持ってこいよ」みたいな感じだった。あと、南ちゃんは少し抵抗もあったと思う。
一一ずっと二人三脚で英詞を作ってきたわけですから。
横山:そう。あの人ほど、Ken Yokoyamaっていうバンドはこういうものだ、って強く思ってる人はいないから。俺よりもたぶん強い思いがある。なんだけど「……まぁでも、KEMURIだってやってましたし」って言ってた(笑)。そう言うことで自分を納得させてたんだろうな。結果的にはみんなにとって新しいトライになって。
一一バンドって安定してると驚くことも起きないじゃないですか。あえて何かを起こそうとしているムードを、今改めて感じますね。
横山:うん。もうKen Yokoyamaも22年になるのか。Junちゃんと南ちゃんとも、もう20年近くやってて。ほんと、何かやるつもりじゃないと新しいチャレンジってなかなか出てこない。振り返れば「今までやってないことに挑戦しました」っていうのはいくつもやってきたから、また何か思い切るんだったらこれぐらいのことをしないと。そういう気持ちはあったかな。
一一日本語詞の挑戦は今後も続きますか。
横山:まだ決めてないな……先の横山がどう思うかまだわからない。
一一矢沢みたいな(笑)。
横山:ライブでやってみてものすごい手応えがあるってことになれば、もしかしたら日本語の曲が増えていく可能性も出てくるし。ほんと企画もので終わって「あったねぇ、そういうの」って言ってるかもしれない(笑)。ほんと、どちらの可能性も否定はしない。
一一とはいえ、今の段階で、満足度はどれくらいです?
横山:あ、いろいろ言ってはいるけど満足度はすごく高い。100かな。自分でも聴くとウキッとしちゃうし。イントロだけでも風景がちゃんと思い浮かぶ、いい曲だなって思う。だから現状は100だけど、これがバンドにどう影響を与えるのか、どういうセットリストに反映されるのか、そこはこれから決まっていくんだと思います。
◾️リリース情報
『The Ballad』
2026年3月25日(水)リリース
価格:1,320円(税込)
<収録曲>
1.The Ballad
2.Strangers
3.RAIDEN GO
4.Goodbye, So Long
購入はこちら https://kenyokoyama.lnk.to/TheBallad
■ツアー情報
『Ken Yokoyama“The Ballad Of Punkamania Tour”』
<日程>
5月1日(金)渋谷 Spotify O-EAST
5月8日(金)金沢EIGHT HALL
5月9日(土)滋賀U STONE
5月13日(水)名古屋 Diamond Hall
5月14日(木)大阪 GORILLA HALL
5月20日(水)秋田 Club SWINDLE
5月21日(木)仙台 Rensa
5月27日(水)川崎 CLUB CITTAʼ
特設サイト:https://www.pizzaofdeath.com/kentheballad
■関連リンク
Ken Yokoyama 公式サイト:https://kenyokoyama.com/