稲垣吾郎、NCT 127 YUTAと1年ぶりの邂逅 好奇心とリスペクト――対話から見えたみずみずしく年齢を重ねる秘訣
稲垣吾郎がパーソナリティを務める音楽ラジオ番組『THE TRAD』(TOKYO FM)の11月10日放送回に、YUTA(NCT 127)がゲストとして生出演した。YUTAが同番組に登場するのは1年ぶりとなる。
2024年、稲垣は番組で「今年、初めてハマったK-POPグループ」としてNCT 127を紹介。ラジオから流れてきた「Walk」に惹かれ、MVやダンスプラクティス動画までチェックしたほどで、「僕もNCTに入れないかなぁ〜 踊れないけど(笑)」とコメントするほどの熱中ぶりを見せていた(※1)。
そんな稲垣からのラブコールに、YUTAのソロデビューが重なったタイミングで初対面が叶ったのが、1年前のゲスト出演だ。登場した瞬間に「いい香りがする」と稲垣が言えば、YUTAも「同じ空気を感じる」と応じ、その仲睦まじい空気感が注目を集めていた。
稲垣のトークに漂うスターの品格とゲストへのリスペクト
そんなふたりの1年ぶりの再会となった今回。稲垣は1年前のやりとりに被せる形で「YUTAさん、今日も香りがいい。YUTAが来たな、って」と話してYUTAの笑いを誘う。続けて、ソロデビュー初年度という激動の年を走り抜けたYUTAに、この1年を振り返っての感想を尋ねると「今年はいちばん人生のなかで早いんじゃないかってくらい。めちゃくちゃ早くて」との答えが返ってきた。
ソロ1stミニアルバム『Depth』のリリース、グループでのワールドツアー、1stアルバム『PERSONA』の制作、そして同作を携えてのソロツアー……。そのスケジュールだけを聞いても、目まぐるしさが伝わってくる。
すると、稲垣はYUTAに「その間に『PERSONA』を作ってたんだ。それは人生の中でいちばん(早いよね)」と寄り添いながら、「大丈夫、これからもっと早くなるから!」とニヤリ。その充実ぶりに圧倒されるのではなく、まだまだ先があることを知っているのが国民的スターならではといったところ。そして、“YUTAならその先に行ける”という柔らかなエールにもなっているようにも感じた。
稲垣が繰り広げるゲストとのトークが心地よいのは、ホストとして迎えるための下準備が入念になされていることを感じられるから。稲垣は『PERSONA』を聴き込み、「TWISTED PARADISE」が好きな1曲として挙げる。
YUTAが真っ赤な花びらが浮かぶ水のなかや燃え上がる炎の映像に囲まれて歌う「TWISTED PARADISE」のMVを眺めていると、稲垣の美意識と共鳴しているように思えた。一方で、赤や黒のインクをぶちまける狂気的なシーンもあり、美しさを保ちながらも闇を抱える役柄に多く挑んできた稲垣のキャリアとも重なる。いつか稲垣がカバーする姿を想像したくなるほど、ふたりの世界観が響き合うようだった。
また、リード曲「EMBER」MVの断崖絶壁で歌うシーンに触れ、「高そうな怖いところに立ってる。僕、無理!」と弱点を明かしながら、そのプロ根性を称賛。そんな稲垣の人間味ある反応があるからこそ、YUTAも「海岸沿いなので、砂がすごく入ってきて。穴という穴に(笑)」と撮影裏を明かせるのだろう。
さらに『PERSONA』に辿り着くまでの道のりについてYUTAが語った、憧れのアーティストたちとのコラボレーション。コラボを通して「(相手に)勝てない部分もあるけれど、自分にしかない部分もある」と気づいたといい、「ロックにもいろいろあっていい」「いろんなYUTAを見せられるアルバムにした」と話すと、稲垣も「でも、狭めちゃうよね」と共感。ステージを重ねるほど観客と一緒にパフォーマンスが育っていく感覚にもシンパシーを寄せ、ふたりの表現者としての共通点が自然と浮かび上がるのも、稲垣のトークの妙だ。
“レジェンド”と“おじさん”とをスマートに行き来する稲垣の柔軟さ
似ている部分があるからこそ、「それは叶わない」と稲垣が悔しさをにじませたのが、YUTAの“あざとかわいい”一面だった。YUTAが「僕、今年“30ちゃい”になったんですけど」と発言すると、「30ちゃい! ちゃいって言った今!」と思わず、そのかわいさにツッコミを入れた稲垣。そして「(忙しい合間にも)東京でちょっと遊んだり、プライベートな時間はあるん“でちゅ”ね」と、さっそく自分も取り入れてみせる。
アシスタントの山本里菜から「なんで吾郎さんまで!?」と笑われてしまった稲垣。「だってさ、こんなにかっこいいのに、急にかわいいのずるくない?」と拗ねてみせる。「僕、どっかで絶対“ちゅーちゅー”言ってやろうって!」と息巻くも、山本から「“ちゅーちゅー”じゃないです、“ちゃいちゃい”です」と、またもやツッコまれて、YUTAの笑いを誘うのだった。
この日、差し入れにチョコレートを持ってきたというYUTA。わざわざ持参するということはプロデュースしたのかなと思いきや、単純に「美味しかったので」とのお裾分けだったというから、そのかわいげにすっかりメロメロになってしまった稲垣。番組の終盤にYUTAの口から「ワインを開拓したい」というおねだりを受けて「一緒に行ってくだ“ちゃい”、僕と!」と、渾身の“ちゃい”を使って誘うと、YUTAから「ぜひ、お願いちま“ちゅ”」との返答が。
「大丈夫? YUTAさんのファンの人から『なんだこのおじさん?』って言われてない?」と怯えてみせるところが、稲垣ならではの“あざとかわいさ”。この道の“レジェンド”としての器の大きさを感じさせながらも、どこか若い世代を応援する“人生の先輩”という控えめな距離感を取っていく。そんなスマートな気遣いが、稲垣が国民的に愛される理由のひとつなのだろう。
思い返せば、Number_iが出演した際には「親戚のおじさんですよ」(※2)と場を和ませ、三宅健を迎えた際には「そんな後輩感ないよ」(※3)と上下関係を和らげるコメントが印象的だった。もちろん彼らの音楽やステージはしっかりチェックし、「なんで呼んでくれないの?」と茶目っ気たっぷりに言っては、いつかの共演を楽しみにする姿勢も忘れない。
稲垣といえば、若々しい見た目がよく話題になるが、実はその内面にある、ジャンルも年齢も問わず新しい作品やアーティストに触れ続ける好奇心、表現者への変わらないリスペクト、そして新しい層にも親しみを持たせるチャーミングさ。その柔軟さこそが、彼がみずみずしく年齢を重ねる秘訣なのかもしれない。
※1:https://x.com/THETRAD_TFM/status/1864852263782568188
※2:https://realsound.jp/2025/05/post-2019194.html
※3:https://realsound.jp/2024/04/post-1638252.html