ソニン「記憶を消していかないと生きられなかった」 激動の25年――今生きる場所と新しい挑戦を語り尽くす
これまでの私を追いながら、これからの可能性を感じてもらえたらうれしい
――どんなステージになりそうか、聞いてもいいですか?
ソニン:ベースは音楽ライブにして、そこに芝居を融合させようと思っています。これまで私が経験してきたことをクリエイターとしても表現できるステージなので、結果的に私の25年間の集大成になるのかな、と。これまでの私を追いながら、これからの私の可能性を感じてもらえたらうれしいですね。……って、そういう台本にしなければいけないということなんですよね。まだ制作途中なのに、自分で自分にプレッシャーをかけちゃった(笑)。
――(笑)。でも、面白い舞台になりそうな予感がしますね。新しい表現を見られそう。
ソニン:この前、音楽監督とセットリストを決めた時に、アニバーサリーライブの全体像を話したんです。途中で慌てて録音したくらい、かなり核心に迫った内容を喋ったんですけど、そこで音楽監督が「めっちゃ面白いね!」と言ってくれたんです。監督は私の味方なので、面白いと言ってくださるのは当然なのかもしれませんけど、いい反応だったのは間違いないので、この路線で行ってもよさそうです。
――芝居パートも、どんな内容になるのか気になります。
ソニン:ひとことで言うと、コントですね。芝居と言うとセリフがカギ括弧に括られているようなイメージですけど、そういうかっちりしたものではなく、余白のある会話劇という感じかな。今までの自分の曲やミュージカルで歌った曲をたどりながら、ソニンがソニンの25年間を演じていきます。タイトルの『Beautiful Mission』も、ちゃんと回収しますよ!
――そういう構成だと、台本を書く時には昔の自分を思い返したりもするでしょうね。
ソニン:そうですね。ファンの方の記憶やウィキペディアが役に立つかもしれません(笑)。ただ、先ほど話した通りつらかったことは覚えていないので、そこはスキップして、楽しい思い出ばかりを詰め込んだ内容になると思います。
――なるほど。だからこそコントを選んだんですね。
ソニン:そうそう! 自分の人生を面白く振り返って、ファンの人たちはもちろん、関係者の皆さんが観てもクスッと笑えるような台本に仕上げるつもりです。
――今回のアニバーサリーライブでは、ソニンさんが作詞した新曲2曲も披露するとか。
ソニン:はい。今回の音楽監督である立川智也さんと、『カレーライスの女』(2002年)以降ほとんどのライブについてもらっているギタリストの梶原健生さんにそれぞれ作っていただきました。立川さんの楽曲はほぼできあがっていて、大人の私だから歌える力の抜けた楽曲になりました。歌詞は優しさや思いやりをテーマに書いているんですが、ストレートに優しいわけではなくて、皮肉も入っているところがミソ。あと一節だけ調整したいところがあって、ほぼ完成している段階ですね。
梶くんのほうは絶賛制作中。サウンドはポップロックで、そこに自己肯定感が上がるような歌詞をつけたいと思っているんですけど、歌詞にすごく苦戦しているんですよ! 自己肯定感を上げるような言葉って、どうしても説教くさくなっちゃうので「こんなこと、私に言われたくないよなあ」とか思っちゃって(笑)。どういう言葉なら「ソニンちゃんの言葉だ!」「ソニンちゃんが言うとやっぱり響くな」と思ってもらえるか、探っているところですね。
――とすると、スタート地点で悩んでいる感じ?
ソニン:物語仕立てにするのがいいか、どんな人を主人公にするのがいいか……いろんな可能性を探っている最中です。いっそ(歌詞の主人公を)動物にしてもいいのかもな、とか(笑)。これもロンドンに行くまでに完成させないといけないんですけど、歌詞は考えればいいもの出てくるというわけでもないんですよね。書き上げるまで、真夜中に「ああ〜〜!」と頭を抱える日が続きそうです。台本は時間があればあるだけ進められるんですけどね。同じ執筆作業でも違いを感じます。いやあ、なんで「2曲作りたい!」なんて言ったんだろ、私(笑)!
――難航すると、そういう思考に陥りがちですよね(笑)。でも、2曲にしたのはきっと理由があるんですよね。
ソニン:1曲だと、カラーが決まってしまいそうだなと思って。「私の25年はこんな感じでした!」「これからはこのテイストで行きます!」というよりも、いろんな可能性があることを示したかったんです。
――たしかに、ふたつあるとそのあいだの余白も想像できたりと、見える幅がグッと広がりますよね。
ソニン:そうですね。ぜんぜん違うタイプの2曲になるので、アニバーサリーライブでもうまく見せられたらいいなと思います。
自分は芸能界にいるべき運命だったんだろうな
――アニバーサリーライブの概要には「タイトルの『Beautiful Mission』には、“使命を全うした25年”という意味が込められている」と書いてありました。ソニンさんとしては、この25年で一区切りという意識があるのでしょうか?
ソニン:ああ、そんなふうに読み取りましたか。
――そうなんです。「まっとうした」だから、そうなのかな、と。
ソニン:たしかに! 客観的な意見を聞くのは新鮮です。
――加えて、ソニンさんにとっての使命=“Mission”とは何なんだろう、とも聞きたかったのですが、それは先ほど「タイトルはちゃんと回収される」と言っていましたし、アニバーサリーライブ当日にわかるのかなと思ったりもしていて。
ソニン:うーん……入れましょうか、そういう要素も(笑)。
――いやいや(笑)!
ソニン:あはははは! でも、そこは私が提示するかもしれないし、観にきてくださる皆さんに委ねるかもしれませんね。どちらにせよ、何かしらを感じてもらえると思います。この世界で仕事をしている人たちって「私には歌しかない」といった揺るぎない理由と才能があって続けている方も多いと思うんですけど、私にはそういった確固たるものがないんです。「人に感動を与えられる人になりたい!」という強い思いがあって目指したし、それは変わらずあるけど、いろんな壁にぶつかるたび、「こんな私がなんで芸能界にいるんだろう?」と思うんですよね。もちろん、いろんな作品に求めていただいたし、自分もこの世界で楽しさを見出しているのが前提ですけど。
――でも、そう思いながら25年間も続けています。
ソニン:そうなんですよね。だから、自分は芸能界にいるべき運命だったんだろうな。そうでなければ25年間も続けられないだろう、という考えに行き着きました。25年って、すごく長いじゃないですか。まわりに、「こんなに長い年月、一度も立ち止まらずに仕事をし続けている人って多くないんだよ」って言われるんですよ。
――言われてみれば、たしかに。肉体的にも精神的にも、休養が必要な時期ってあるものですからね。
ソニン:厳密に言うと、私もニューヨーク留学で1年半空いていますけど、それくらいでしたし。それ以外は、ずっと走り続けられるだけの体力と仕事があったんです。それに、「人に認められたい」「有名になりたい」といった対外的な欲もないので、内省的にエンタメを極めることしかしていませんし。だとすると、私がこの世界にいるのって使命なんですよ、たぶん。そんな自分の運命を振り返りつつ、ことあるごとに試練を与えてきた神さまに「このへんで一旦ギアチェンジしませんか?」という意味も含んだアニバーサリーライブになると思います(笑)。私も楽しみですが、皆さんにもぜひ楽しみにしていただきたいですね。
■公演情報
『Sonim's 25th Anniversary Live「Beautiful Mission」』
日時:2025年12月13日(土)1st:開演 15:00/2nd:開演 19:00
会場:BAROOM(〒107-0062 東京都港区南青山6-10-12)
企画・製作・主催:アミューズ
共催:株式会社フェイス
構成・演出:ソニン
出演者:ソニン
バンド演奏:立川智也(Ba)/梶原健生(Gt)/イズミタニ マコト(Dr) /Frederic Viennot(Pf)
<チケット>10月18日(土)10:00〜一般発売開始(先着):https://w.pia.jp/t/sonim25th/
9,000円(全席指定・税込)
*別途当日1D/1,000円(現金/キャッシュレス決済にてお支払い可能)
公演URL:https://www.amuse.co.jp/topics/2025/09/_25sonims_25th_anniversary_livebeautiful_mission.html
ソニン アーティストページ:https://www.amuse.co.jp/artist/A8868/
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