米津玄師「IRIS OUT」バイラル首位獲得 映画『チェンソーマン』との相乗効果で爆発的ヒット

Viral Chart Focus

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの10月1日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:米津玄師「IRIS OUT」
2位:Number_i「Numbers Ur Zone」
3位:水無瀬ミナミ(CV.田村ゆかり)「ときめき★メテオストライク」
4位:DAYOUNG「body」
5位:cape, JXNDRO, Sayfalse「MONTAGEM RUGADA」
6位:Kabaaneko & KASA「VIBRATO (from Glass Heart グラスハート)」
7位:君がそうなら僕はこう「恋するあなたは美しい」
8位:ZOCX「moreきゅん奴隷」
9位:Secondbacker「犬とバカ猫」
10位:777 (Triple 7)「Lucky MACHO」

劇場版『チェンソーマン』主題歌として話題の米津玄師「IRIS OUT」

 10月1日付のSpotifyバイラルチャートは、先週のラインナップから大きく様変わりしている。先週首位だった水無瀬ミナミ(CV:田村ゆかり)の「ときめき★メテオストライク」は今週3位に後退し、米津玄師の新曲「IRIS OUT」が初登場で1位を獲得した。先週2位につけていたZOCX「moreきゅん奴隷」も8位まで順位を落とし、君がそうなら僕はこう「恋するあなたは美しい」も7位へランクダウン。また、先週トップ10入りしていたRUI・TAIKI・KANON「Forked Road」やCORTIS「GO!」、ZEROBASEONE「ICONIK」などはトップ10圏外へ。その一方で、DAYOUNG「body」(4位)やcape, JXNDRO, Sayfalse「MONTAGEM RUGADA」(5位)、Secondbacker「犬とバカ猫」(9位)といった新顔が続々とチャート上位にランクインしている。結果としてトップ10の7割が入れ替わり、バイラルチャートならではの新陳代謝を改めて示す形となった。

米津玄師 Kenshi Yonezu - IRIS OUT

 今回は、初登場首位に輝いた米津玄師「IRIS OUT」に焦点を当てたい。本曲は9月19日に公開された劇場版アニメ『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌として書き下ろされた楽曲である。『チェンソーマン』は原作漫画、テレビアニメともに国内外で大きな人気を博した作品であり、その新作となる『レゼ篇』も公開から15日間(9月19日~10月3日)で観客動員約237万人、興行収入35.8億円を突破(※2)している。

 米津はテレビアニメ『チェンソーマン』(テレビ東京系)でもオープニング主題歌「KICK BACK」を担当しており、『チェンソーマン』の世界観にマッチした非常に完成度の高い楽曲として大きな反響を呼んだ。それだけに、ファンの間では劇場版において米津がどのような楽曲を書き下ろしたのか、期待が高まっていたはずだ。そんな中で米津自身も「『KICK BACK 2』みたいなものにはしたくなかった」(※3)という気持ちにあったよう。前作「KICK BACK」がジェットコースターのように複雑でダイナミックな構成であったのに対し、本作では一直線に進んでパッと終わるフリーフォール(急降下)のような潔い仕上がりを目指したという。言葉通り、曲は冒頭から勢いよく突き進み、一気に駆け抜けていく。重厚なビートとギターサウンドに乗せて米津の力強いボーカルが炸裂し、サビでは劇中の大迫力なシーンとも呼応するような高揚感が味わえるのも印象的である。

「IRIS OUT」、作品の話題性も合わさってチャートイン

 「IRIS OUT」は配信開始直後から各種チャートを席巻し、オリコン週間ストリーミングランキングではソロアーティスト歴代最高の約2697万回再生を記録(オリコン調べ/※4)して首位を獲得するなど、新記録尽くしのスタートを切った。Spotify Japanでもリリース初日に約59万回再生を叩き出し国内史上最高再生数をマーク。その後もデイリー再生数がうなぎ登りに伸び、配信開始から約1週間でついに日間再生数100万回の大台を突破するに至った。国境を越えた人気も凄まじく、Apple Musicグローバルチャートで3位、Spotify Globalランキングでも2位につけるなど、世界的なヒットとなっている。

 こうした音楽的インパクトと作品パワーの融合によって、「IRIS OUT」は10月最初のバイラルチャートを制するに至ったのである。米津玄師という国民的アーティストと『チェンソーマン』という人気作品の邂逅が生み出したこの楽曲が、今後どれほどの持続的な広がりを見せていくだろうか。今年下半期の音楽シーンの動向を占う一曲としても、引き続き注目していきたい。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-10-01
※2:https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1759556251
※3:https://natalie.mu/music/pp/yonezukenshi31
※4:https://www.oricon.co.jp/news/2407082/full/

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