BLACKPINK、TWICE、Vaundy、HANA、SEKAI NO OWARI、Kroi……注目新譜6作をレビュー
HANA「Blue Jeans」
デビュー以来話題に事欠かないHANAだが、この曲がもたらすインパクトは今までとは一線を画すもの。猛烈に切ないラブソング。それ自体が抜群のツンデレ効果で、それぞれ7人にこんな一面があるのかと胸がざわつき、気づけば楽曲と一緒になって恋に落ちてしまうのだ。まずは楽曲がいいし、歌声に滲む切なさがリアルなうえ、MVに見る戸惑いの表情やはにかむ笑顔が本当に素晴らしい。永遠とはまだ思えない、この夏限りかもしれない青春。リミットがあるという意味では“シンデレラ”だが、魔法のワードがドレスやガラスの靴ではない、〈Blue jeans 古いスニーカー〉というのもHANAらしさだ。“選ばれし姫”ではなかった7人の、怒涛の快進撃は続く。(石井)
SEKAI NO OWARI「図鑑」
生まれ育った場所になぜか上手く馴染めず、いつも違和感を覚えてしまう。そして、“ここではないどこか”に対する思いを抱え、どこかにあるはずの〈根を張る場所を探し求めて〉生きていく……。劇場アニメ『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』主題歌として制作された「図鑑」は、環境が合ってないところで暮らす生き物たちの姿――〈茹だる夏に生きるシロクマ〉〈闇に咲く花〉など――を通し、環境に抗い、自分らしくいられる状況を求め続ける姿を描いている。エキゾチックな寓話性を感じさせるサウンド、牧歌的な懐かしさをたたえたメロディが、シリアスなテーマ性をポップに昇華。一つひとつの言葉を丁寧に紡ぎ、聴く者の感情を解きほぐすようなFukaseのボーカルが心に残る。(森)
Kroi「Method」
アニメ『SAKAMOTO DAYS』(テレビ東京系)第2クールのオープニングテーマとなる新曲。BPM130台と彼らにしてはアップテンポな一曲で、軽やかな疾走感と、その中に潜む不穏な空気のバランスが絶妙。放送で使われるのは約1分半だが、それを超えると一気にムーディーなソウル風セッションに突入していく展開も面白い。タイアップがきっかけで新しい扉が開くことはよくあるが、Kroiにとってこれはそういう一曲になるのでは。〈あげる ほのぼのを Sunny Days〉なんていう言葉は普段あまり出てこないだろうし、それをいかにクールに聴かせ、なおかつアニメの世界観にも合わせていくか。制作チームとの相性の良さがよくわかるアニメのオープニング映像はぜひチェックを。(石井)