白濱亜嵐が実現させた“6人でカッコよく踊るGENERATIONS” デビュー当初の経験も活きたプロデュース楽曲に

 GENERATIONSのメンバーが、各自プロデュースした楽曲を6カ月連続でリリースしていくプロジェクト「PRODUCE 6IX COLORS」。本企画の第三弾、パフォーマー兼リーダーの白濱亜嵐プロデュースによる「Two Steps Back」が、4月7日にリリースされた。DJや音楽プロデューサーとしても活躍する彼がタッグを組んだのは、アリアナ・グランデやLE SSERAFIMなどの楽曲を手がける音楽プロデューサー Shintaro Yasuda氏。これまでも多数の楽曲を生み出してきた白濱亜嵐が、今作にどんなこだわりと企みを忍ばせたのかを探った。(斉藤碧)

僕自身がカッコいいと思う曲でカッコよく踊りたい

――「PRODUCE 6IX COLORS」の楽曲に取り掛かるにあたり、亜嵐さんはどんな“新生GENERATIONS”を見せたいと思っていましたか?

白濱亜嵐(以下、白濱):今までは、世間的にGENERATIONS=ポップスのイメージが強かったと思うし、そのパブリックイメージを演じることが大切だなって思ってたんですよ。“老若男女に愛されるポップスグループ”というのが、さまざまなダンスボーカルグループが所属するLDHにおいて、GENERATIONSの役割でもあったのかなと。でも今は、そういう側面も残しながら、メンバーそれぞれが好きなことをやれてる感じがあって。その一番良いところが、今回の「PRODUCE 6IX COLORS」で落とし込めているなって思います。そういった中で、3番目という中だるみしやすいタイミングでメンバーが僕を選んでくれたのは、普段から音楽プロデューサーとして活動している自分に期待してくれたからだろうなって考えて。初めは僕も、(中務)裕太くんの「True or Doubt」や(片寄)涼太の「気づいたことは」のように、J-POPの曲を作ろうと思っていたんですけど、普段から作曲している自分ならではの意外性のある楽曲を作ることにしました。

――「Two Steps Back」(作詞:Joe Kirkland、Smrtdeath/作曲:Shintaro Yasuda、Alan Shirahama)は、なんといっても全編英詞なのが特徴ですが、“GENERATIONSの海外担当”みたいな役割意識はあったのでしょうか。

白濱:普段はDJとして海外でプレイすることもあるし、2022年には音楽プロデューサーとして国内外でソロデビューしたので、そういう役割だと思いますけど、「Two Steps Back」を作る上では、“海外担当”というのはそんなに意識してなかったですね。それよりも、僕自身がカッコいいと思う曲でカッコよく踊りたいと思っていました。6人体制になってから、カッコいいGENERATIONSを見せる機会は増えてると思うんですが、“6人でカッコよく踊るGENERATIONS”を見せる機会はそんなにないと思っていたので、そういうパフォーマンスを見据えて作っていた部分が大きかったです。あと昨年は、ソロ(ALAN SHIRAHAMA)として12カ月連続リリースをしたり、1stデジタルアルバム『curious』(4月28日リリース)の制作も同時にやっていて。そこで自分の得意分野であるダンスミュージックはたくさん制作していたので、「PRODUCE 6IX COLORS」では、普段の自分とは違う一面を出したいなと思っていました。

――では、なぜソロ活動を想起させるような全編英詞にしようと思ったんですか?

白濱:売れることを目的として立ち上げたプロジェクトで、いきなり全編英詞の曲が来たら驚くかな? っていう遊び心です(笑)。DJをやっている僕にとってクラブはホームなので、薄暗いクラブを舞台に、男女の駆け引きが繰り広げられる様が自然と思い浮んで。「Two Steps Back」というタイトル通り、恋愛に疲れた男女がクラブで出会って、そこでまた駆け引きが起こるっていう、“一歩進んで二歩戻る”ラブソングを作りました。

――その説明だけを聞くとセクシーな曲かと思いきや、Lyric Videoに表示される日本語詞を読むと、意外とポップでおちゃめな感じですよね。

GENERATIONS / Two Steps Back (Lyric Video) prod. ALAN SHIRAHAMA

白濱:そう! そのくらい可愛げがあるほうが、ジェネっぽくていいかなと思って。英詞のほうは、僕が歌詞の大枠となるストーリーを投げて、他のクリエイターさんに具現化してもらったんですが、Lyric Videoの日本語詞は英詞をもとに僕が自ら書きましたね。

作り手の気持ちがわかるからこその解像度の高いオーダー

――亜嵐さんが「Two Steps Back」でコラボを依頼した音楽プロデューサーShintaro Yasudaさんは、プライベートのお友達だそうですね。

白濱:年齢的には僕の4つ上なんですけど、普通に飲み友です。もともと、僕がCOIN PARKING DELIVERYっていうアーティストの子と仲が良くて。3年くらい前、その子と飲んでる時に「俺の友達、連れてきていい?」って紹介されたのがShintaroでした。軽く紹介されたから、軽い気持ちでShintaroがどういう曲を作ってるのかを見せてもらったら、アリアナ・グランデにも楽曲提供したりしてて驚きましたね。でも、その時は「すごいねー!」って盛り上がったんですけど、そこからは特に仕事で一緒になることもなく、飲み仲間として仲良くしていたので、「PRODUCE 6IX COLORS」で一緒に曲を作る相手を探していた時も、初めはShintaroの存在をすっかり忘れてて。「あれ? よく考えたら、Shintaroがいるじゃん!」っていう(笑)。それでお願いしたら、快くオファーを受けてくれました。

――Shintaro Yasudaさんの楽曲の特徴や魅力は、どういったところだと思いますか?

白濱:Shintaroの作る曲は、すごくキャッチーですね。それこそ「Two Steps Back」は、普段J-POPばかり聴いている人からしたら、いかにも洋楽! っていう曲だと思うんです。だけど、洋楽に聞き馴染みのない人が聴いても自然とノれるし、耳に残りやすいサウンドになってて。そのへんの作り方が上手いなって思います。きっとShintaro自身が、J-POPをはじめ、いろんなジャンルの音楽を聴いてきてるから、そういう仕上がりになるんでしょうね。子どもの頃から曲を作ってる人なので、成長過程で聴いてきた楽曲の影響も色濃く出てるのかも? 僕らは同世代で聴いてきた音楽も近いですし、普段から音楽の話をよくしている仲なので、僕の頭の中にあるイメージをすぐに理解してくれた印象がありました。

――そんな亜嵐さんのルーツとなる音楽は?

白濱:僕がダンスを始めた頃に聴いていた音楽は、1990年代~2000年代初頭の洋楽です。アメリカのHIPHOPだったり、ジャスティン・ティンバーレイクとか、ファレル・ウィリアムスの曲を聴いて踊ってきていて。今回も、近しい雰囲気の曲にできたらいいなぁと思っていました。Shintaroが普段LAに住んでいることもあって、最初はリモートで打ち合わせしていたんですけど、その段階でBPMも指定して、リファレンス音源も歌詞のイメージも全部投げましたね。それをもとにShintaroがスケッチを書いてくれて、そこに2人で手を加えていったっていう流れでした。

――音楽の知識量が多いという共通点もありつつ、亜嵐さんのほうからも、かなり解像度の高い形で依頼していたからスムーズに進んだんですね。

白濱:解像度の高いオーダーをするっていうのは、僕のこだわりでした。なぜなら、僕自身が、解像度の高いオーダーを受けないと曲を作れないから(笑)。レーベルや事務所の人と曲作りについて話してると、「この人、すごいニュアンスで喋ってるな」って思うことがよくあるんですよ。「要するに、俺はどうすればいいの? どういう曲を作ればいいの?」って、もどかしく感じる場面があるんです。でも僕は作り手の気持ちがわかるので、自分がどういう曲を作りたいかを具体的に細かく伝えました。料理で言うと、レシピを投げた感じですね。

――普段から作曲している亜嵐さんならではの心遣いというか、制作スタイルですね。それは他のメンバーのプロデューススタイルとは大きく違う部分かなと。

白濱:ああ、確かに。「PRODUCE 6IX COLORS」では普段曲を作らないメンバーも楽曲をプロデュースしているので、そういう部分で苦戦したかもしれないですね。GENERATIONSでライブをする時も、僕が通訳として入ることが結構あるんですよ。ボーカルやパフォーマーとしては、みんなプロフェッショナルですけど、作曲をしていないと分からない音楽の専門用語があるので。ダンストラックを作ってくれている人とメンバーの間に入って、メンバーがこういうふうにしたいんだろうなっていうのを汲み取って、専門用語を交えながら解像度高めに伝えるっていう役をよくやってます。

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