『ポラポリポスポ』世界初の“リアルタイムCGバンドライブ”への挑戦 徳永暁人×濱田織人×福田未和 特別鼎談

『ポラポリポスポ』は技術的な裏側も積極的にアピール

――『ポラポリポスポ』ではモーションアクターの存在を見せたり、こうした取材やYouTube公式チャンネルでメイキングを明らかにしたりと、裏方の開示に積極的に思えます。これはそうした方針があってのことなのでしょうか?

【メイキング映像】Road to Polaris CGバンドを創るモーション技術(語りKYOSUK:CV 武内駿輔)

濱田:そうですね。このプロジェクトにおいてはストレートでありたいので、当人が望む限りにおいて、誰がどんな担当をしているのかをすべて明らかにしていく方針です。そうすることで、こうしたキャラクターの音楽活動に対してこれまで親しみがなかった方にも聴いていただけると思いますし、逆にファンの方にはこれらキャプチャーやCGの世界にも興味を持っていただきたい。両方の架け橋になれるようなプロジェクトにできればいいなと思っています。

福田:積極的に出していこうという理由の1つは、関わってくださった方々のお仕事へのリスペクトでもあるんです。こんなにすごいことをやっているのを、少しでも世の人たちに知ってほしい。もう1つは、キャラクターに関わる仕事をしたいと思っている学生さんに向けて、こういう仕事もあるんだと紹介したいんです。それが、ひいては私達のエンターテインメント業界の未来を支える人材になると考えています。

福田:それに関連して美大や専門学校と産学連携のプロジェクトも行っています。学生さんたちに向けて「プロのキャラクタークリエイターはどのように作り上げるのか」などの講義をお話しさせていただいたり、『ポラポリポスポ』のIPを使った学生作品のオフィシャル展示会を『バンダイナムコ Cross Store 東京』で行ったりしました。非常に好評で、新たに手を挙げてくださった学校もいらしたので、今年も開催する予定です。

濱田:間口を広くすることでパートナーも増えましたよね。今回コラボしていただいた楽器メーカーであるFenderさん、Rolandさんにも熱量を込めて1社1社お訪ねし、協力していただいた形です。

徳永:こういうのって「こんなことやれたらいいよね」と、普通はそれで話が終わっちゃうものなのですが、こうやって実現させてキャプチャー用の特別な楽器まで用意していただいて、プロデュースチームの機動力がスゴいなと思いました。

濱田:僕自身がずっとFenderさんやRolandさんの楽器にお世話になっていたので、お話を聞きに行くことは比較的容易ではあったのですが、ここまで大きなことになるとは想定していなかったと思います。言うのは簡単ですが、実際にミュージシャンが手にして、ストレスなく演奏できるレベルの音が出せるものになるには、相当なハードルがあったと思います。本気で携わってくれるようお願いに上がり、本当にいろんな人たちに相談して甘えまくって、やっとここまできた感じです。

――今後、“ゼロエディットモーションキャプチャー”技術を使ってトライしたり実現させてみたいことは何でしょうか?

徳永:これで野外フェスに出たらめっちゃ盛り上がると思います。巨大スクリーンにキャラクターがドーンと出て、リアルタイムで演奏して歌う。衣装替えもデータですから、すぐにできますしね。その後はこの技術がどんどんお茶の間に入っていったら面白いなぁと。自分の大好きなロックスターにすぐ変身して演奏できる……性別も年齢も国境も超え、憧れの誰かになって演奏できるなんて、夢みたいな話じゃないですか。この技術がさらに進めば、運指すらキャプチャーできるわけですから、楽器の教則に使えたり、もっと広げて医療分野にも可能性があると思います。

濱田:僕は早くJ-POPシーンにもこの技術を知ってもらいたいですね。「あれ何? ちょっとやりたいんだけど」と、言ってもらうまで面白いことをやり続けていきたいですね。あとは最初にこのプロジェクトを聞いた時に、海外のミュージシャンやエンターテインメント業界の人がどういう活用をするかが気になったので、向こうの人達に見せてみたいなと思っています。U2が使ったラスベガスの巨大球型コンサート会場・スフィアや、ABBAのイマーシブシアター、KISSはアバターでライブを行うなど、エンタメ業界では新技術の投入が次々と進んでいる世界にもかかわらず、“ゼロエディットモーションキャプチャー”のような技術は今のところ使用されてないのは、やっぱり開発が難しいからなんでしょうね。これはいろんな領域のプロたちによる一人ひとりのリレーが繋がって初めて成立しているプロジェクト。しかもそのド真ん中に楽器を弾く人がいるプロジェクトなんて、おそらくここにしかないので、世界中で音楽をやってる人たちに提示できたら、これまで想像したことがないような未来が待っているんじゃないかなと思っています。

――最後に福田さんに伺います。最初にお聞きした「準備期間中と活動再開についてのお話」のページによると、『ポラポリポスポ』では、今後ほぼ毎月、新曲MVが公開され、全部で10曲が発表になります。大きな動きになると思いますが、今後の展望、展開についてお聞かせください。

福田:昨年6月に初ライブ公演を行った際には、技術的な課題が残っており生で楽器が演奏できない状態でした。そこから8カ月間、皆さんとディスカッションをして課題を洗い出し、仲間も増えていきました。新曲を10曲も用意しているのは、これだけあればライブ1公演分に達すると考えたからです。そして今度こそ、世界で初めてキャラクターが生演奏をする本当のライブをお客様にお届けしたい。まずはそれを成功させ、キャラクターとともにこの技術が世界に広がっていければと思っています。

※1:https://polaporipsp.bn-am.net/information/detail_250319.html

■コンテンツ情報
『ポラポリポスポ』
詳細URL:https://www.youtube.com/@P0laPoriPosuPo

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■『ポラポリポスポ』とは? バンダイナムコアミューズメントが仕掛けるキャラクター音楽プロジェクト。本格バンドサウンド×生 演奏パフォーマンスで“生き様”を表現するCGバンド「WAKAZO」と「chirp×chirp」が、YouTubeに てオリジナル楽曲・ミュージックビデオ・ボイスドラマを展開中。

■関連リンク
『ポラポリポスポ』公式X:https://x.com/p0laporiposupo
『ポラポリポスポ』公式サイト:https://polaporipsp.bn-am.net/

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