秦 基博×草野マサムネ、HAN-KUN×RYOJI、The BONEZ×Dragon Ash、椎名林檎×加藤ミリヤ……珠玉のコラボ楽曲

　Dragon AshとThe BONEZはコラボレーションソング「Straight Up」をそれぞれリリース。7月にはThe BONEZがDragon Ash・Kj（Vo/Gt）をフィーチャーした「Straight Up feat. Kj」を、10月にはDragon AshがThe BONEZ・JESSE（Vo/Gt）をフィーチャーした「Straight Up feat. JESSE」をリリースした。両バンドの共通点はそれぞれのバンドでベーシストを務めるT$UYO$HIであり、このプロジェクトはT$UYO$HIが旗頭となって展開している。リリースに先立ってツーマンツアー『The BONEZ × Dragon Ash Straight Up Tour』の開催を告知し、10月から11月にかけて新曲を携えて全国各地のライブハウスを行脚。さらに11月には、YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』にも両バンドが出演し、それぞれの「Straight Up」を演奏した。「Straight Up」には、“互いに腹を割る”という意味があり、それぞれのバンドのこれまでの歩みと、失くした友への思いやこれからの時代を切り開いていくという意志が込められている。そんな2組によるツーマンツアーの追加公演が12月30日に東京・Zepp Haneda (TOKYO)にて開催される。Dragon AshとThe BONEZ、ともにミクスチャーロックの重鎮としてシーンの道を開拓し続けてきた両バンドがここからまた新しい時代も築いていこうとしている、その心意気に痺れるコラボレーションだ。

　加藤ミリヤは10月に椎名林檎とのコラボレーションをサプライズ発表。過去にはカバーアルバム『COVERS -WOMAN & MAN-』で椎名の代表曲のひとつである「本能」のカバー経験もある加藤にとって、椎名は人間として、女性として、そしてアーティストとしても敬愛してやまない存在であり、デビュー20周年という節目の年に相応しいコラボレーションとなった。そんなコラボレーションが実現した楽曲「愛楽」は音楽プロデューサー・Chaki Zulu、T.Kura、そして加藤による作曲。作詞も加藤が全編を手掛け、椎名は歌唱に徹する形のコラボレーションに。言うまでもなく椎名も自身の作品において作詞作曲を手掛けているが、そんな椎名と“共作”ではなく“歌唱”でのコラボレーションになったのは、やはり本楽曲が加藤の20年にわたるキャリアの発露があってこその楽曲であるという点に尽きるだろう。「愛楽」の加藤らしいメロディラインは彼女にしか作り得なかったものであり、彼女にとって敬愛の存在である椎名に自身のキャリアをぶつけるような、特別な思いを込めたコラボレーションであったと感じ取れる。

　一方の椎名は本作だけでなく、昨年MILLENNIUM PARADEがリリースした『W●RK / 2〇45』でのコラボレーション、さらに今年1月のKing Gnu『King Gnu Dome Tour「THE GREATEST UNKNOWN」』東京ドーム公演での「W●RK」披露など、近年積極的に客演を展開しており、キャリアにとらわれない自由な活動によってアーティストとしての新しい引き出しを開いていく姿が印象的だ。「愛楽」もまた、加藤、そして椎名にとって特別なコラボレーションとなったことだろう。

　それぞれが長年愛され続けてきたアーティストであり、自身の活動だけでも十二分にファンを喜ばせられる存在であるキャリアアーティストがあらためて他アーティストとのコラボレーションを行うのは、自身の新しい価値観を創造してくれるからという側面もあるのではないだろうか。コラボレーションによって生まれた新しい発見が、その後の自身の活動にもフィードバックされる。今回取り上げた各アーティストをはじめ、コラボレーションを活かしてまた新しい音楽を作り出してくれる、その日が楽しみだ。

※1：https://www.office-augusta.com/hata/news/?id=1852