香取慎吾、“これまで”が築き上げた2024年 広がり続けるNAKAMAの輪「いつも過去の自分に感謝してる」

 香取慎吾の2024年は、“過去”が彼を推しているように見えた。これまであったたくさんの出会いが、そしてかつての“香取慎吾”そのものが、今の香取を応援してやまず、突き動かしているように見えた。

過去の共演から新しい音楽が生まれる瞬間も

 2024年は、1月1日、2日と新しい地図のファンミーティングからスタート。そこでは、草彅剛とのユニット・SingTuyoとして、久しぶりの新曲「眩しい未来」が披露されたことでも話題に。その曲は、かつてドラマ『家族ノカタチ』(TBS系/2016年)で共演し、SMAP解散報道の渦中にいた香取を持ち前の明るさで救った上野樹里との再会がきっかけで生まれたものだ。

 上野がパーソナリティを務めるラジオ番組『Juri’s Favorite Note』(AuDee)に香取がゲスト出演したのが、2023年9月のこと。そこで「また一緒に仕事ができたら」と話したことをきっかけに、香取が上野に「作詞をしてほしい」と依頼したという。作曲を担当したのは、上野の夫・和田唱(TRICERATOPS)というのも思い入れの深いものに。

 一期一会で終わることの多いというこの業界において、「また一緒に」がちゃんと形になるのは、香取の機動力あってのことだろう。「今ここ」というタイミングで動き出すことができるかどうか。香取は、もう何十年とアイドルとして生きながらあらゆることを並行して進めてきた。

 歌うことも、喋ることも、踊ることも、描くことも、演じることも……。それをしなければならない環境だったからか、それともそれができる人だったからか。こうしてトップを走り続けることができ、また新たな環境に飛び込んでも、屈することがなかったのだろう。そんな懸命な香取には、いつだって味方がついてきた。一緒に走ってきたり、呼びかけにすぐ駆けつけたり、遠くからそっと見守ったり。そんな彼らに向けた温かな眼差しを象徴するような楽曲たちとともに、のちに新しい地図を広げてから初めて稲垣吾郎、草彅と3人で音楽番組への出演を叶えたことも嬉しい出来事だった。

託された思いを胸に、さらなる笑顔を生み出す

 1月4日からは舞台『テラヤマ・キャバレー』の稽古が始まった。『テラヤマ・キャバレー』は、鬼才・寺山修司の没後40年を機に、寺山が死の間際に過去と未来を行き来する脳内キャバレーを舞台にした物語。47歳でこの世を去った寺山を、今年47歳の香取が演じるという強い縁を感じる作品となった。

 縁深いのはそれだけではない。劇中では寺山が作詞した「質問」を香取が歌うのだが、この曲は3年ほど前から音楽プロデューサーの朝妻一郎、そしてテレビプロデューサーの黒木彰一を通じて、香取のもとに寄せられていたものだったそう。「いつか歌えたら」と温められていたものが巡り巡って寺山を演じる舞台の話が繋がり、そして「質問」を配信リリースすることになった。そんなふうに、2024年は「香取慎吾なら」と多くの思いを託されているのを知った一年でもあった。

 萩本欽一と長年タッグを組んできた『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』(日本テレビ系)もそうだ。萩本は3年前に「今回でね、私この番組終わり。長いあいだ、ありがとう」と勇退を宣言。香取ひとりに、その後を継いでもらうつもりだったようだ。だが、そこまで話していたことを撤回して今年も出演を決めたのは香取の「僕、大将やらないなら、やんないからね」という言葉だった。

 託された思いは大切に受け取りながらも、そこからまた香取なりのエンタメに昇華したい。そんな根っからのテレビスターとしての矜持があるのだろう。香取が見せてくれたのは、引退したがっている萩本を引っ張り出してくるという、これまでにない笑いだった。隙あらば、フェードアウトしようとしている萩本を、カメラに映そうとくっついていく香取。

 「今どいてるのに、寄ってくるな!」と香取を叱り飛ばせるのも、退こうとしている萩本を「次回もあるからね」と迫っていくことができるのも、きっと世界広しと言えどもきっと他にはいないだろう。そんな彼らならではのやりとりがとても愛しかった。今年も12月29日に『欽ちゃん&香取慎吾の第100回全日本仮装大賞』の開催が決定した。その様子が年が明けた1月13日にオンエアされるというのも嬉しい限りだ。

 
 
 
 
 
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