田原俊彦「一発ヒット曲が出れば80歳まではやれる」 加齢やキャリアによる“重さ”はいらない、エンターテイナーとしての美学

 田原俊彦のデビュー45周年を記念してWOWOWにて12カ月連続特集を展開。12月29日には、10月27日に開催された『田原俊彦 45th ANNIVERSARY TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE ‘T’ TOUR 2024 愛だけがあればいい』山梨公演の模様が独占放送・配信される。

 1980年に「哀愁でいと」で歌手デビューし、アイドル一筋45年、「KING OF IDOL」として楽曲リリースやライブを精力的に行ってきた田原。同公演の開催地である山梨 甲府は田原が10代を過ごした思い出の土地ということもあり、当日はYCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール) 大ホールに集まったたくさんの観客の前で田原流のライブエンターテイメントを届けたという。

 本稿では、田原俊彦のキャリアやアニバーサリーツアーの模様を振り返りながら、現在の活動のモチベーション、アイドルとして美学について話を聞いた。(編集部)

今回のツアーで「あれ?」と思った客層の変化

田原俊彦

ーーデビュー45周年を記念した全国ツアーが、先ごろ無事終了しました。

田原俊彦(以下、田原):今回のツアーはアニバーサリーということで、全国19カ所で20公演やらせてもらったんだけど、やっぱりその前にコロナ禍があって。去年からようやく普通に戻ってきたけど、それまではお客さんも声を出せなくて、拍手とペンライトを振るぐらいしかできなかったじゃないですか。だから、お客さんたちも、いまひとつハジケられないところがあったと思うんですけど、ようやく通常に戻っての全国ツアーだったので、どこもかしこもお客さんが入ってくれて。みんな楽しんでくれたんじゃないかなって思っています。そう、今回のツアーで「あれ?」って思ったのは、男性がめちゃめちゃ増えていたことで……。

ーーそうなんですね。

田原:うん。東京でも2割ぐらいが男性で……いちばん多かったのは広島で、4割ぐらい男性だったんじゃないかな? 夫婦で来てくださっているような方もたくさんいて。僕のコンサートって、僕が30代ぐらいのときまでは、お客さんの99%が女性だったんですよ。だけど最近は、男性陣も増えてきて、すごくバランスが取れているなって思います。まあ、その当時から、僕のコンサートを観たいと思ってくれていた男性は、きっといたと思うんだけど、お客さんが女性ばっかりだから、結構勇気が必要だったと思うんだよね。それが時代の流れと共に変わっていったというか、「トシちゃん、来るんだ?」と言って、男性の方がコンサートに足を運んでみたら、僕が相変わらず歌って踊ってドッタンバッタン騒いでいるから、すごくビックリするみたい(笑)。自分が中学、高校だった頃を、思い出したりなんかして。

ーー(笑)。今回のツアーの内容については、いかがでしたか?

田原:コンサートの構成というか、曲の並びはもちろん、バンドの繋ぎ方やダンサーのコーナーまで、毎回全部自分で考えているんだけど、僕の場合、とにかく曲がたくさんあるからさ(笑)。シングルだけで80曲、アルバムも含めたら400曲ぐらいあるのかな? なので、アルバム曲で歌いたい曲とか、自分が好きな曲を引っ張り出して歌いたい感じもあるんだけど、やっぱりみんな、ヒット曲は聴きたいし、生で観たいじゃない? だから、半分ぐらいは、シングル曲やヒット曲をやっています。

ーーやっぱり、「抱きしめてTONIGHT」とかは、生で観たいですよね。

田原:そうそう。「抱きしめてTONIGHT」、「ジャングルJungle」、「ごめんよ 涙」とかは、きっとみんな生で観たいと思うから、そのあたりの曲をセットリストの良い感じのところに散りばめて。で、そこからこぼれたものは、メドレーにして入れ込むようなことをやっていて……。

ーー今回のメドレーは、「哀愁でいと」、「It’s BAD」、「誘惑スレスレ」、「ハッとして! Good」という4曲でした。

田原:やっぱり、20曲ちょっとしかコンサートではできないというか。ディナーショーもそうだけど、2時間前後が、僕はショーとしていちばん観やすいと思っているんだよね。だから、途中にメドレーを入れたりして、そこでなるべくたくさんの曲を聴いてもらうようにしていて……って、今回のツアーは、結局2時間半ぐらいやっちゃったけど(笑)。

ーー(笑)。

田原:ちなみに、今回のツアーのアンコールでやった「センチメンタル・ハイウェイ」という曲は、僕が22歳の頃に出したアルバム(『波に消えたラブ・ストーリー』)に入っている曲なんだけど、大沢誉志幸さんが作ってくれた曲で、結構ロックテイストで盛り上がる曲なんですよね。だから、周年のツアーでは、必ずやるようにしていて。あと、「ジュリエットへの手紙」という、「哀愁でいと」を書いてくれた宮下智さんが書いてくれた曲も、僕のファンの人たちのあいだでは、すごく人気のあるバラード曲なので、周年のツアーでは、必ずやるようにしています。そう、今回のWOWOWさんのライブ映像は、相当良いらしいんですよ。今日ここに来たら、レコード会社の人が僕と会った瞬間、「今までで、いちばん最高の仕上がりになりました!」って言ってきて。まあ、本当かどうかわからないけど(笑)。

ーーいやいや(笑)。

田原:ただ、今回のライブを撮ってくれた技術スタッフは、もう5年くらい一緒にやっているスタッフなので、僕のコンサートの撮り方を、ちゃんとわかってくれているんですよね。「ここ、ちゃんと押さえているんだ!」っていうようなところを、毎回きっちり撮ってくれていて。なので、僕としても、すごく仕上がりが楽しみです。

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