悠木 碧×竹達彩奈、petit miladyで過ごした青春の日々 5年ぶりの再始動で帰ってきた“本気の悪ふざけ”

我々が本当の戦士になる瞬間が「azurite」(悠木)

petit milady「azurite」Official Music Video

ーーデビュー10+1周年記念企画の第2弾にあたる今回の新作ミニアルバム『petit milady ANNIVERSARY MINI ALBUM~Bonsoir~』には、セルフカバー4曲と新曲「ツナグ」の全5曲を収録。まずは代表曲「azurite」の新バージョン「azurite ~10 ans depuis~」についてお聞かせください。

悠木:「azurite」は自分たちのライブはもちろん、『アニサマ』(『Animelo Summer Live 2016 刻-TOKI-』)やいろんな場所で歌ってきたので、多分いちばん歌った曲だと思います。真面目な路線のpetit miladyの代表曲ですね。『美少女戦士セーラームーン』で例えると、日常回は結構ユーモラスな内容だったりしますけど、ラスボスと戦うときはかっこいいわけですよ。

竹達:(月野)うさぎちゃんが突然シリアスになったりね(笑)。

悠木:そう! それと同じように我々が本当の戦士になる瞬間が「azurite」です(笑)。この曲は歌唱回数が多いこともあって、ライブでピアノアレンジバージョンを歌ったり、いろんな場面で皆さんに楽しんでいただいていたと思うのですが、今回のアレンジは戦闘モードからもう少し柔らかい印象になっていて、いままでとは全然違う表情の「azurite」になりました。

竹達:オリジナルは力強さと疾走感のイメージが強い楽曲ですが、今回アレンジされたことによって、いろんな青のグラデーションがにじみ出てくるような感覚で歌わせてもらうことができました。タイトルの「azurite(アズライト)」は鉱石の名前なのですが、その鉱石の強さを感じつつも、澄み切ったことで純度の強い何かになった気がします。私たちにとっても思い入れの強い楽曲なので、すごく気持ちを込めて歌うことができましたし、いろんな「azurite」の情景が浮かんでくるような、多面的な「azurite」が生まれたと思います。

悠木:先ほどの例になぞらえるのであれば、原曲の「azurite」が通常回のバトルだとすると、こちらはいわゆる“セレニティ”として戦うときのイメージかもしれないです(笑)。物理的に敵を倒すのではなく、世界のすべてを塗り替えてしまうような強さと言いますか、より大きく優しい「azurite」。レコーディングでは、当時の「azurite」の中にあった激情を思い返すような作りになればいいなと思って収録しました。サウンド的にも魔法少女みが強くなっているので、特別なオープニング曲とか、ボス戦でそれまでBGMとしてかかっていた「azurite」が“セレニティ”になった瞬間にこのアレンジ版に変わる、みたいなイメージです(笑)。

竹達:そうそう、そこだけでしか流れない特別な曲みたいな(笑)。

ーーミニアルバムの初回限定盤には「azurite」のライブテイクを5公演分収録したCDも同梱されますが、やはりライブでこの楽曲を歌うときは特別な気持ちが沸きますか?

竹達:「azurite」を歌うときは客席のサイリウムの色が一気に青に変わるんですよ。それまでは碧なら青、私ならピンクがイメージカラーなので、サイリウムもそれぞれの推しの色を振ったり、楽曲に合わせていろんな色で応援してくれるんですけど、「azurite」になった瞬間、それが全部青に変わるので、みんなの心がひとつになった瞬間のように感じられるんです。その景色はステージから見ていても壮観で、言葉で言い表せないくらいきれいなんですよね。『風の谷のナウシカ』のラストで王蟲が集まって金色の草原を作る、あの感動に近いです(笑)。

悠木:わかりやすい(笑)。

ーー「360°星のオーケストラ」は、この楽曲を提供したhisakuniさんが自らリアレンジした「360°星のオーケストラ ~nouvelle version~」として、打ち込み中心のフューチャーポップに生まれ変わりました。

悠木:「360°星のオーケストラ」は『アニサマ』(『Animelo Summer Live 2018 "OK!"』)」でトロッコに乗りながら歌ったのが印象的で。どうしてもその曲を歌っている間に会場を360°回りたかったので、トロッコが爆速だったんですよ(笑)。この曲のオリジナルは、少年と宇宙からやってきた生物が離ればなれになるお話だったのですが、hisakuniさんが「今回は2人で一緒に宇宙に旅立つお話に変えました」と説明してくださって。だから楽曲の最後にふわーって宇宙に飛び立つような音が入っているんです。なので宇宙っぽいイメージで歌いました。

竹達:私は碧の後にレコーディングしたのですが、(原曲の)MVのキャラクター設定として、私が少年役、碧が宇宙からやってきた生物の役をやっていたので、私はもっと生身っぽく歌いました。宇宙に旅立ったことでより壮大な世界観が演出されていますし、オリジナルはお別れする寂しさや切なさがギュッと詰め込まれているのですが、今回は2人一緒のハッピーな気持ちが表現されていて、私も歌っていて満たされた気持ちになりました。

悠木:5年経って本当のハッピーエンドが見れるなんて、hisakuniさんのひと捻りがエモすぎるよね。

竹達:ね。歌詞の最後に“君は1人じゃないよと 伝えるために”とあるのですが、アレンジにも1人じゃない感が描かれているところが本当に素敵だなあと思いました。

ーーお二人のツンデレな掛け合いが楽しめる人気曲「スキ キライ キライ 大スキ♡」は、今回ピアノ一本によるお洒落なアレンジの「スキ キライ キライ 大スキ♡ ~Vraiment?~」に。歌やセリフの年齢感もグッと大人になりました。

悠木:アレンジは全然違うけど歌詞はそのままだったので、どうやって落とし込むかが課題だったのですが、逆にこの楽曲がテーマにしてきた“素直に言えないけど相手のことが特別大好き”という気持ちを、大人になったらどう昇華しているかを考えた結果、「そんなこともあったよね」と言いあえる関係性になっていたらめちゃめちゃ大人だよね、という話になって、その方向性でセリフを収録しました。「あんなに言いあっていた2人が、いまではすっかり大人になったんだね」というところに持っていきたくて。

竹達:この曲も碧が先に歌ってくれたので、私はすごく引っ張ってもらえて、碧が試行錯誤したうえで歌ったものをさらに膨らませる作業をする感覚でした。オリジナルはキラキラした楽曲で、クリスマスツリーみたいな煌びやかさがありましたけど、それが削ぎ落されて大人なツリーになった印象があって。歌詞の意味合いも違う響きに聴こえたりするんですよね。例えばサビに〈でもここだけのヒミツの話〉という歌詞があるのですが、オリジナルは小学生同士の秘密の話くらいのテンションだったのが、大人同士の秘密にレベルアップしているので「えっ? 秘密の話!?」という感じで、実際に碧の歌を聴いてドキドキしました(笑)。

悠木:そう、湿度が高いんですよ。しかも阿吽の呼吸になっていて。あのケンカをずっと続けていた2人が、その後も5年一緒に過ごしていたらこうなるよね、っていう。でも「スキ キライ キライ 大スキ♡」もいろんな場所でたくさん歌ったよね。

竹達:歌ったねー。

悠木:ライブだと我々が突然くだらないケンカを始めてから歌うんですよ。「これは絶対に台本だろう」というケンカ。

竹達:小芝居をするんだよね。

悠木:そうしたらみんなも「スキ キライ キライ 大スキ♡」タイムになることを察知して、ペンライトを赤と青に変えて準備し始めるので、私たちはその様子を伺いながら、みんなの準備が済むまで小芝居の尺を調整するんです(笑)。

竹達:「いまサイリウムを変えるタイミングだよ!」っていうね。

悠木:いわゆる日常回のpetit miladyの代表曲で、petit miladyっぽさが最初に表現された楽曲でもあったと思うので、印象深いですね。だからこそ今回の大人になったバージョンがみんなにも響いてくれると嬉しいです。

petit milady「Fantastique Phantom」Official Music Video

ーーそしてお二人が怪盗として活躍するコール満載の人気曲「Fantastique♥Phantom」は、ディスコ調の原曲をグレードアップしたサルソウルオーケストラ風のゴージャスな「Fantastique♥Phantom 2024」に。

悠木:これは当時、ちびっ子怪盗をしていた碧ちゃん・彩奈ちゃんが、5年経って高校生になって帰ってきた劇場版のイメージです(笑)。当時は「野良猫に奪われた何かを取りかえせ!」みたいなストーリーだったのが、今回は「もっと悪い怪盗が世界中から盗んだ希望の心を盗み返す」みたいなスケール感になって。そのアニメのオープニングですよね。

竹達:私もまったくその通りのイメージ(笑)。途中でいろんな大変なことがあったけど、でも最後は大団円になるっていう。オリジナルのキラキラしたかわいらしさから、ちょっと大人になって成長した姿を見せられた「Fantastique♥Phantom」なのかなって思います。

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