富田美憂、音楽とひたむきに向き合い続けた5年間の集大成と歓び 3rdワンマン『Violet Bullet』を振り返る

 「今まででいちばんのびのび歌えた気がしてる!」「楽しかった!」――。

 キャリア3度目のワンマンライブを行った声優/アーティストの富田美憂は、ファンの前で満足げにこう吠えた。ここまでの5年間ひたむきに音楽と向き合い、その世界で酸いも甘いも噛み分けたからこそ溢れ出た、まっすぐな言葉だった。

 富田は、高校1年生だった2015年に声優デビュー。若くして頭角を現し、『アイカツスターズ!』(テレビ東京系)虹野ゆめ、『メイドインアビス』(TOKYO MXほか)リコ、『かぐや様は告らせたい』(MBS/TOKYO MXほか)伊井野ミコなど、数多くの作品でメインキャストを務めてきた実力派だ。そんな彼女が、かねてから夢描いていたアーティストデビューを果たしたのは、2019年。以降、声優だけでなくアーティストとしても表現活動を続けており、デビュー5周年を迎えた今年の夏には2ndアルバム『Violet Bullet』をリリース。これを携えて11月10日に行われたのが、このワンマンライブ『富田美憂 3rd LIVE 〜Violet Bullet〜』だ。

 ライブ本編は、「Violet Bullet」収録曲を中心に構成。「3度目のワンマンは、ロックでシンプルにいきたい」というMCでの富田の言葉を証明するように、オープニングに「Ever Changing Violet」、中盤から終盤にかけて「Oblivion」「OveR」とロック濃度の高い楽曲を披露し、観客を奮い立たせた。厚みのあるコールも度々響き、そのたびに会場の熱が上昇していく。

 ここに、メロウな「Make a New Day」や「Dear Teddy」、キャッチーな「Sweet Sweet Sweat」、「la la lai」、さらにはこれまでの表題曲などで組まれたメドレーも加わり、すべての楽曲がバンドサウンドで奏でられているとは思えないくらい、彩り豊かなステージが展開されていった。「Sweet Sweet Sweat」ではファンに予習をお願いしてきたという複雑なコールで盛り上がり、「la la lai」では会場全員でタオルを振り回してご満悦。曲のシメには、会場一体となった大ジャンプも何度も繰り出すなど、ライブそのものを全身で堪能していた。1stアルバム『Prologue』収録の「片思いはじめました」の一節に合わせて富田のマイブームを当てるというゲームをしたり、積極的に観客と交流していたのも印象的。ライブ終盤には、「(終わってほしくないから)帰らないよ!」と宣言する観客に、「それは困る!」と間髪を入れずに返し、笑いを誘っていた。

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