香取慎吾、フジテレビ連続ドラマ11年ぶり主演への大きな期待 磨き上げられた俳優として底力を振り返る

 また、香取のドラマでは、子どもたちとの化学反応もまた楽しみのひとつ。ドラマ『人にやさしく』(フジテレビ系)での須賀健太との共演を筆頭に、これまでたくさんの子役たちと共演してきた香取。そのたびに視聴者の胸を大きく揺り動かしてきた。撮影中に香取に懐いた子どもたちが、物語の終盤に見せる屈託のない笑顔やこぼれる涙は、役や物語を越えた感情の波として視聴者にも共鳴する。それだけの信頼関係を築くことができるのも、自身が幼いころからテレビの世界で生きてきた香取ならではかもしれない。

 近年では、学校の先生役も少なくない香取。『ほんとにあった怖い話 25周年スペシャル』(フジテレビ系)の一編『視える!?』や『全日本仮装大賞』(日本テレビ系)とコラボしたTikTokショートドラマ『毎日はにかむ僕たちは。』などで、生徒たちといい距離感で演じている様子もまた観ていて微笑ましいものがあった。生徒役の彼らが生まれた時からのスターでありながら、身近なアニキ分にもなれる。そんな唯一無二の存在感が、今作では“ニセモノ家族”として接する子どもたちと、どのようなケミストリーを生み出すのかと想像するとワクワクする。

 そして、社会を変えていこうという姿は、常に逆風に吹かれながらも時代の開拓者として奮闘してきた香取の姿ともリンクする。そんな戦う男の背中を、ドラマ『誰も知らない明石家さんま「笑いに魂を売った男たち」』(日本テレビ系)のビートたけし役や、ドラマ『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』(テレビ東京系)の万丞渉役などでも感じることができたが、実際に政治家を目指すというストレートな役柄は今回が初めて。香取演じる一平が訴える「よりよい社会」とはどのようなものなのか、その熱のこもった演説を早く聞きたいものだ。

 こうして考えると、今回のドラマは香取がこれまで出演してきた演技作品で磨かれてきたものが凝縮しているのではないかと思えてきた。テレビ視聴者がびっくりするような最低っぷりを見せつつ、子どもたちとの温かな笑いや涙を誘い、そして社会を変えていく一平の成長をどう表現していくのか。俳優・香取慎吾の底力に驚く準備をして待っている。

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