「Nintendo Music」で叶うBGMの新しい楽しみ方 『ヨッシーアイランド』『あつ森』の名曲と共に解説
『あつまれ どうぶつの森』/「午後5時 (晴)」
『あつまれ どうぶつの森』はNintendo Switchにて発売された『どうぶつの森』シリーズの最新作。プレイヤーは無人島を開拓し、自分だけの島を作ることで、お気に入りのどうぶつたちと共にスローライフを楽しむことができる。そしてそのスローライフを送る上で重要なのが、フィールドBGMの存在だ。先述したWiiチャンネルのBGMは“場のための音”だったが、本作のBGMはそれをさらに更新した“生活のための音楽”といえる。
本作のBGMは生楽器で収録されており、リッチなバンドアンサンブルを楽しめる。注目したいのがそのバリエーション。フィールドBGMはゲーム内の天候によって1時間ごとリアルタイムに変化し、無人島での一日にダイナミズムを与えている。たとえば朝から昼間にかけての時間帯はBPM100~110前後の、ゆとりがありつつもアクティブなテンポ感で楽曲が進んでいくのに対し、夕方から夜にかけては70~80前後のゆったりとしたテンポ感でプレイヤーをリラックスさせる。
また、天候による変化も見逃せない。基本となるメロディやハーモニー、BPMなどの大まかな構造はそのままに、楽器構成を少しずつ変化させている。晴れの日はベースがグルーヴを前へ前へと転がしていくサウンドなのに対し、雨の日はリズム隊が薄くくなり、代わりにマリンバが入ることによって、雨音を聴かせるような静かな雰囲気を演出している。
フィールドBGMにこうしたバリエーションを作ることによって、プレイヤーは「変わらない日常への安心感」と、「その中での小さな発見」の両方を日々感じられるのだ。
多くの人にとって、ゲームができる自由な時間は一日の中でも少しの間で、ある程度時間帯も決まってくる。そうした少しの時間で本作を起動すると、必ず決まったメロディやハーモニーが耳に入ってくる。ゲーム内の天候が変わった時、雨がやんで陽が差した時、リズムが動き出す瞬間や、朝起きて雪が積もっていた時の静けさと、スレイベルの響きーープレイヤーはかすかな違和感と高揚感を得るだろう。
そもそも『どうぶつの森』は雑草抜きや住人との挨拶など、決まったルーティーンを生活の中に取り込んでいくようなゲームだ。だからこそ、BGMのバリエーションが活きてくる。
今回紹介した「午後5時 (晴)」について触れていきたい。四つ打ちのピアノと豊かなワウギターが魅力的な本楽曲は、モータウンライクな粘り気のあるグルーヴに溢れた曲調ながら、楽器構成がシンプルでミックスダウンも丁寧なため、すっきりと聴くことができる。夕焼け空を彼方に見ながら、のんびりとしたティータイムにおすすめだ。
さらに余談ではあるが、今回のカタログ化で見逃せないのがとたけけ楽曲の収録だろう。とたけけは、吟遊詩人のように土地をわたりながら、多くのジャンルの曲を書き残し、ライブ演奏を行っているキャラクターだ。そこで演奏される楽曲の影響は計りしれず、ゲーマー世代のミュージシャンのほとんどが彼の音楽を通っていると言っても過言ではないだろう。今回のリリースではゲーム内ラジオで聴ける「インスト版」と、とたけけが島に来たときに1曲だけ聴くことのできる「ライヴ版」の両方が全曲収録されており、とたけけファンは見逃せない。
ここまで紹介した楽曲はすべて、冒頭にも記したとおりNintendo Musicで聴くことができる。プレイヤーは今までプレイした作品の思い出に浸りながら聴いてみるのもいいだろうし、ゲームに触れたことのない人でも楽曲としての魅力は十二分に感じることができるだろう。今回紹介した『Wiiチャンネル』や『あつまれ どうぶつの森』の楽曲は家で流すBGMとして最適だ。また、今回紹介しきれなかった『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』なども良質なアンビエントを揃えているため、ぜひ聴いてみてほしい。
Nintendo Musicの収録作品は順次更新予定。「あの作品がまだない!」という方は、今ある楽曲を聴きつつ続報を待とう。
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