A.B.C-Z 戸塚祥太が放った青春真っ只中の輝き 憧れをすべて詰め込んだ初のソロツアー

 眩しかった。戸塚祥太は、ステージの上で確かに青春真っ只中の輝きを放っていた。A.B.C-Zの戸塚祥太が、事務所入所25年にして、初のソロツアー『Solo Tour 2024 guerrilla love』を大阪と東京で開催した。かねてから毎月28日を「Nirvanaの日」としてインスタライブを行うなどロックをこよなく愛し、読書家としてしても知られる彼のソロコンサートだけあり、バンドのフロントマン、詩人、アイドル、ダンサーと、彼の憧れをすべて形として見せたライブとなった。

 東京初日の10月26日Zepp Haneda (TOKYO)公演、戸塚はエルヴィス・プレスリー「Love Me Tender」をBGMに登場。サングラスをかけて本を読みながらステージの中央へ進むと、ファンの大きな歓声に応えてドリンクをグビっと飲んでからギターを抱えてマイクスタンドの前へ。キーボード、ギター、ベース、ドラムを従えた生バンドでのライブは、新曲「Guerrilla Love」で幕を開けた。ツアータイトルにもなっている「Guerrilla Love」は、新曲といえども作られたのは2020年だという。「他者への攻撃が愛だとしたら、相手を傷つけることなく、逆に癒すことができるのでは?」という戸塚流のLOVEが込められた曲だ。骨太なロックに乗せて「L.O.V.E」と愛を叫ぶ。「ドラマ」では「歌って、踊って、ジャンプして、幸せになろう!」とファンを促し、テンションを上げていく。「君といた」でギターソロを聴かせると、「とっつーカッコいい!」と見学に来ていたふぉ~ゆ~の辰巳雄大から大きな声援が飛び、それを聞いたA.B.C-Zの塚田僚一も負けじと声を上げる。戸塚も「その声は?」と反応して会場は温かなムードに。「V」ではオーディエンスとのコール&レスポンスに興じると、「120点!」と言って笑顔を見せた。幻想的な照明の中歌った「月に行くね、光の連続」では、コンテンポラリーダンスのような自由なダンスを取り入れ、これまでのロック路線とは異なる肉体表現で会場を魅了した。さらにギターとベースがフロントに出てきて、戸塚と3人でステップを踏むキャッチーな新曲「Down Town」ではアイドルらしさ全開でキラキラなステージを見せてくれた。

 メロウなムードから始まる新曲ロックバラード「散歩」からは再びロック色を濃くして、アウトロでは激しいギタープレイを披露。そこからArctic Monkeysの「Knee Socks」、The 1975の「Sex」と洋楽カバーを2曲続けたが、スローテンポなピアノと戸塚の歌声だけで会場を満たした「Sex」は秀逸なアレンジだった。

 戸塚らしい構成で魅了したのが、ポエトリーリーディングのコーナーだ。まず自作の「河に」をスポットライトが生み出した明暗のコントラストが映えた中で読む。さらにサプライズで詩人の黒川隆介が登場すると、黒川の「君は知っているか」と「帰途」を二人で読みあったが、照明が詩の世界観を効果的に演出していた。

 SMAPのカバー「Fly」からの3曲は、スマホ撮影OKに。ところが、戸塚がこれをアナウンスし忘れて仕切り直しとなる一幕もあった。錦織一清の「Replicant, Resistance」も、偉大なる先輩のカバー曲。ダイナミックかつしなやかなダンスが戸塚らしく、特に間奏でのターンの美しさが目を引いた。そこから「Lonely Dancer」への流れは、戸塚がこれまで培ってきたショーマンとしてのDNAを感じさせてくれた。

 「If you don't know break up you don't know love」も、戸塚のダンサーの側面を見せてくれた曲だ。デジタルのビートに乗せて椅子と姿見を使ったストーリー性のあるダンスをフィーチャー。かと思えば、「Dolphin」では再びギターをかき鳴らしバンドマンに。「トキメキ イマジネーション」ではポップなロックで楽しさを爆発させて、「guerrilla」と問いかけた戸塚に、ファンが「love」と返すコール&レスポンスを楽しむ。そしてハイライトとなったのが、彼の美学が詰まった「星が光っていると思っていた」だ。「才能って何だと思う? 続けることだよ――」の言葉に続いたのは、「RUN! A.B.C-Z! RUN!」。そこからラストへの歌詞は、長年彼を見守ってきたファンなら涙必至。最後に「君が光りだ 僕はバカだな、ずっと星が光ってると思っていた」とぼそりと言うと、ミラーボールが客席に星を作り出す完璧な演出――。戸塚祥太のBIG LOVEが会場を温かく包み込んだ瞬間だった。

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