EXILE SHOKICHI、好奇心と向上心を活かした八将牛プロジェクト 『MEAT MANIA JAPAN』で伝える“食”の面白さ

 EXILE SHOKICHIが、自身初の企画/監修肉イベント『MEAT MANIA JAPAN』が10月12日、13日の2日間にわたり開催。1日目はキラナガーデン豊洲、2日目はある店を貸し切った完全招待制となる。

 北海道・苫小牧市出身のSHOKICHIは、18歳~20歳まで札幌の焼き肉屋でバイトをしていた。その店は牛の1頭買いを謳った店で、そこで賄いや試食を食べていく中で、和牛の美味しさを知り、奥深さに興味を持ったのだという。さらには、持ち前の好奇心と探求心で、肉の捌き方を覚え、店から“MY包丁”を渡されるほどの腕前になったそうだ。「美味しいものが好き」と笑顔を見せるSHOKICHIは、ただの肉好きではない。彼の中にある情熱、信念、そして多方面への思いやりを本稿から感じてほしい。まずは既出の札幌・バイト時代の話から。(伊藤亜希)

焼肉店でのアルバイトで知った肉の面白さ

EXILE SHOKICHI(以下、 SHOKICHI):バイトでは、最終的に重要なポジションをやらせてもらってたんです。1頭買いの店だったので、20kgとかのでっかい牛肉の塊が届く。自分で言うのもなんなんですが僕、向上心半端なかったんで、肉を触るようになって練習してから、わりとすぐ捌けるようになって(笑)。そこから部位ごとの面白さを知っていきましたね。

――すごいですね。和牛が美味しいのを知ったのと同時に、触ってさばいて、肉にはまっていったということですよね。

SHOKICHI:そうなんですよね。捌けるようになってからは、いかにきれいに柵をとるかとか。ロスが出ないようにとか。筋もどうとったら捨てずに使えるかとか、いろいろ自分なりに研究して。いかに美味しく食べるか、どうしたら美味しく食べてもらえるのか、みたいなのを、そのバイト先で毎日考えてましたね。

――好奇心が探求心に直結するタイプなんですね。

SHOKICHI:そうなんですよ(笑)。肉につけるタレも、ここでもうちょっとニンニク入れた方が……とか、いろいろ試しました。料理することも昔から好きだったんでしょうね。

――美味しい物を食べるのは好きですか?

SHOKICHI:めっちゃ好きですね。バイト先でいろいろ研究したもの、そこもすごく大きかった思う。いかに美味しく食べるために、綺麗に薄く肉をとるかとか、この部位はこういう切り方がいいとか、すごく考えましたね。もう本当に……はまったんですよね。「お前これ使っていいぞ」ってMY包丁をもらって、その包丁をすごく丁寧に研いだり。で、その包丁を使って、さささって薄く切って、うまくいった時はその喜びを噛みしめたりしてました。

――こだわったことに深く入り込んで、いろいろ知識を吸収していくのが好きなタイプ?

SHOKICHI:いろいろ自己分析ができるようになった今ではそうだなって思います。昔はこだわるって言葉も知らなかったけど、今考えれば結構こだわっていますよね(笑)。

――かなり細部までこだわっているなと思います。しかもこだわりが自分の知識欲に向くところがすごいなと。まず最初は焼肉にはまったんでしょうか?

SHOKICHI:しばらくは、焼肉しか眼中にないくらいでした(笑)。自分で食べに行くのも焼肉ばかりでしたね。東京にいる人の噂を聞きつつ自分でも調べて行ってました。ここのタレどう? とか、どんな風に捌いてるのかなとか。研究心みたいなのもあって、とにかく都内のいろんな場所の焼肉を食べてましたね。

――当時は、どんな基準でお店をセレクトしてました?

SHOKICHI:最初は行きやすくて人気店。とにかく、あそこの焼き肉屋、美味しいよって教えてもらったところを回ってましたね。そうしてるうちに、だんだんと、今でいういわゆるFoodieって呼ばれるような人達……いろんな美味しいところを巡っている人達と出会って。そうすると、産地、生産者、ブランド牛、血統の話とかも出てくるから、いろいろ知るようになって。そこから血統の歴史だったり、餌だったりって調べていくようになったんです。

――その好奇心、本当にすごいですね。

SHOKICHI:自分でいうのも何なんですけど、昔から好奇心と向上心だけは半端ないんで(笑)。で、血統の歴史や餌を調べていく中で「え、何これ、深い!」みたいになって。はまっていったんですね。そういう中で、5年前くらいからついに生産地まで行くように。

好奇心が銘柄牛作りに活きていく

――2019年。ちょうど『MEAT MANIA JAPAN』プロジェクトを立ち上げようとしていた時期と重なりますね。

SHOKICHI:そうですね。それで、だんだんと牛だけでなく日本全国の美味しいものを知りたくなってきて。牛はもちろん前提にあるんですけど、いろんな畑やいろんな美味しいものを見て回ったり、生産者の方と話をするようになって。そういう出会いの中で、和牛の生産者の方との出会いが、自分に感動を与えてくれたんですよね。生産者の方と出会えば、また違った縁が見えてくる。そこの生産者に餌をおろしている餌屋の存在があって、その生産者が肉をおろしている肉屋の存在があって、それでレストランが回っている。そのどのバトンを欠かしても感動に辿り着かない。そういう、命のリレーが貴重なんだってことを知って、そこに僕は感動したんですよね。それぞれの方の情熱がなかったら、ここの「美味しい」に辿り着かないって思ったんです。掘ったら堀りがいのあるものに感じて、そこを知って増々ハマったんですよね。

――知れば知るほど、もっと知りたくなっていった。

SHOKICHI:まさに、そうなんです。僕、北海道の番組『どさんこワイド179「EXILE SHOKICHI みらいの空」』(STV/2014年4月~)『EXILE TRIBE 男旅』(UHB/2014年5月〜2023年) に10年くらい出演させていただいていたんですけど、その番組の企画の中で、北海道で知床牛を生産している大橋牧場の大橋遼太くんって方に出会ったんです。そしたら彼が「SHOKICHIさん、そんなにお考えでしたら、銘柄牛、一緒に作ってみたら面白くないですか」って言って。それいいよね! みたいな感じでスタートしていった感じでしたね。

――銘柄牛を作るって、ブランドを立ち上げることに似てると思うんですが……。

SHOKICHI:そうですね。そうだと思います。

――では、そこで最初にこだわったのは?

SHOKICHI:こだわりよりも先に、どうするかから(笑)。そこを学びながら話すところから始まりましたね。北海道で生まれて、自分で育てた牛を八将牛と呼ぶのか、それとも違う方法で……とか。でも、やっぱり自分が全国を食べ歩いて感動したっていう意味でいうと、どうしても純血但馬血統の牛にしたかった。当時、純血但馬血統の牛を北海道で育てている場所はなかったんですよね。牛って寒さに強いから、北海道でもいけるなと思ったんです。で、純血但馬血統を買えるのが、兵庫県の美方郡と淡路市だけなんですけど、より血の強い美方郡から孔牛を買うことにしたんです。純血但馬血統の牛って、普通の牛の2分の1くらいの大きさなんですよね。

――それは成牛になった時点での比較ですよね?

SHOKICHI:そう。めちゃくちゃちっちゃいんです。でも筋繊維って、小さくても大きくても数が一緒。だから、よりこう……筋繊維が細かくて、サシが入らないんですよ。

――脂身が他の和牛とは違うということでしょうか?

SHOKICHI:そうなんですよ。A5ランクの牛とかとは、真逆のものなんですけど。

――赤牛とかに近いですか?

SHOKICHI:赤牛よりはもうちょっと和牛寄りですね。赤牛はほとんどサシが入らないから。(但馬牛は)黒毛和牛だから、赤牛とは、また別の品種なんですよね。

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