AZKi、胸の内をさらけ出していく大切さ 5年間の変化と広がりが詰まった『Route If』を語る

5年間の出会いや別れを思いながら再録した「いのち (2024 ver.)」

――瀬名航さんが再びアレンジしてAZKiさんのボーカルも再録した「いのち (2024 ver.)」についても教えてください。

AZKi:これは今回自分からお願いしたアイデアでした。「いのち」は瀬名さんに最初に作っていただいてからもう5年が経っていて、その中で、自分で歌っていても歌詞の意味が変わったと感じることがたくさんあって。そこで、改めて「5年経った今歌う『いのち』ってどんなものになるだろう?」と思ったんです。この曲でAZKiを知ってくださったリスナーさんも多いので、今のAZKiの歌や、いろんな曲を作られてさらに進化している瀬名さんの音作りが伝わるものにできたらいいなと思っていました。歌詞の意味も原点回帰して考えながら歌っていきました。

――AZKiさんの歌い方も明らかに変化していますよね。昔の「いのち」はもっと悲しい歌のようなイメージがありましたが、「いのち (2024 ver.)」は優しさや包容力などを感じました。

AZKi:本当ですか!? 私自身はそのときの自分の最大限の力を歌おうと考えているだけなので、聴いた方に自由に解釈していただければと思っているんですけど、そういう感想が聴けてとても嬉しいです。

AZKi「いのち(2024 ver.)」【Official Music Video】

――AZKiさん自身は何か意識したことはありますか?

AZKi:この曲はバーチャル的な死生観を歌っている曲ですが、5年間で出会いと同時に別れも多かったので、VTuberという文化やそれに付随する出来事について、5年の間に起こったことを改めて詰め込んで歌いました。最初に「いのち」を出してからの5年間を考えても、やっぱり、好きなだけではやっていけないというのはあって。

――「青い夢」でも歌われていましたね。

AZKi:そうですね。それをすごく感じつつも、新しい文化ということもあって、私たち自身まだわからないこともたくさんあって。その中で、初期の頃から一緒に頑張ってきたメンバーが活動をやめてしまったりする姿を見ていると、日々の活動って当たり前のことじゃないんだな、今できることを最大限やっていかないといけないんだなと感じたりするんです。

――いろんな方にお話を聞いていても、最初はVTuberの文化が続くこと自体を考えていなかった方がとても多くて。そこから「続いていくんだ」というふうに変わっていったのは、この5年の変化だったかもしれません。

AZKi:そうですね。VTuberって、例えばライブをするにもたくさんの方々の協力が必要だったりして、そういうところが続けていく上で難しいポイントでもあります。だからこそ、こうして活動していけること自体に感謝していますし、応援してくれるみなさんにもすごく感謝しています。

――AZKiさんが今のVTuberに感じる楽しさといいますと?

AZKi:この1年ぐらいは、歌だけじゃない配信活動もよくするようになって、普段自分が思っていることやハマっていること、自分の思いを伝えることで共感してもらえることが増えていって。それによって歌の活動やライブにより深みが出たりとか、いろいろなことに繋がっているように感じています。これは昔と比べて大きく変わったことかもしれないです。

――自分をもっとさらけ出していいんだと。

AZKi:そうですね。AZKiの場合は、もともとはアーティストだからそういうものは出さないことが正解なんじゃないかと思っていました。でも、今はそうじゃなくて、自分が思ってること、考えていることをちゃんと伝えて日々の活動を頑張っていくのがいいのかなと思うようになりました。

「47都道府県すべての場所に行きたい」

――アルバムタイトル『Route If』の由来についても教えてください。

AZKi:AZKiの活動は本来2022年で終了する予定だったので、今このアルバムが出ているのは「もしもの世界」で、本来はなかった世界線の話です。そういう意味に加えて、メジャーデビューEP『3枚目の地図』にも繋がるタイトルにしたいと思って、このタイトルにしました。

――8月3日には、『AZKi Major Debut LiVE「声音エントロピー」』も開催されました。振り返っての感想も教えていただけますか。

AZKi:アルバム制作前、ライブのコンセプトを考えているときに「声の温度」というテーマが出てきて、そこから温度にまつわる言葉をいろいろと考えて生まれたのが『声音エントロピー』という公演タイトルで、「いろんな表情が見えるライブになったらいいな」と思っていました。今回はリアル会場でのワンマンライブ自体が4年7カ月ぶりで、新宿BLAZEで開催する予定だったライブ(『AZKi 5th LiVE [three for the hood]』)が一度コロナ禍で中止になったりもしたので、昔から曲を聴いてくれている開拓者にも、最近知った開拓者にも楽しんでほしいという気持ちがあって、新しい曲も初期からの曲もどっちも入れたいと思っていたんです。そこで昼夜の2公演でアルバムの曲をしっかり披露しつつ、初期からの曲も披露するセットリストを考えていきました。

――公演への大きな反響を受けて、9月には豊洲PITでの追加公演も決まりました。

AZKi:本当にたくさんの方から問い合わせをいただいたみたいで、「現地に行けなかった!」と言ってくれる方もたくさんいました。今回は生バンドのみなさんと一緒にやっているので、実際に現地に来て音を浴びてもらうことで、配信とはまた違う体験になるはずです。それもあって、追加公演でよりたくさんの人にライブを観ていただける機会ができたのはとても嬉しく思っています。

――これからについて考えていることはありますか?

AZKi:よく言っていることではありますけど、(自己紹介の挨拶として)「右手にマイク、左手に地図」と言っているぐらいなので、47都道府県すべての場所に行きたいなと思っています。歌もそうでないことも含めて、いろんな人の生活の中にVTuberのような存在が自然に溶け込んだらいいなと思いますし、AZKiが活動することでよりそうなっていったらと思っています。

◾️リリース情報
AZKi メジャー1stアルバム『Route If』
2024年7月24日(水)リリース
・通常盤(CDのみ)¥3,300税込
・初回限定盤(2CD)¥4,400税込

【CD収録内容】※全形態共通
1.Lazy
作詞・作曲・編曲:Akki
2.エントロピー
作詞・作曲・編曲:瀬名航(SOVA)
3.まいすとらてじー!
作詞・作曲・編曲:ミト(クラムボン)
4.Operation Z
作詞・作曲・編曲:やしきん
5.Chaotic inner world
作詞・作曲:Q-MHz 編曲:涼木シンジ(KEYTONE)
6.明けない夜があったなら
作詞・作曲:毛蟹(LIVE LAB.) 編曲:毛蟹(LIVE LAB.)、PAN(LIVE LAB.)
7.エトランゼ
作詞・作曲・編曲:白戸佑輔(Dream Monster)
8.午後8時のコーラスソング
作詞・作曲・編曲:ヒゲドライバー
9.夜の輪郭
作詞・作曲:渡辺翔 編曲:星銀乃丈
10.map in the cup
作詞・作曲・編曲:やなぎなぎ
11.いのち(2024 ver.)
作詞・作曲・編曲:瀬名航(SOVA)

【CD Disc-2】※初回限定盤のみ
1.エントロピー (Acoustic Arrange Ver.)
作詞・作曲:瀬名航(SOVA) 編曲:木村孝明(KEYTONE)
2.明けない夜があったなら (Acoustic Arrange Ver.)
作詞・作曲:毛蟹(LIVE LAB.) 編曲:毛蟹(LIVE LAB.)、PAN(LIVE LAB.)
3.エトランゼ (Acoustic Arrange Ver.)
作詞・作曲・編曲:白戸佑輔(Dream Monster)
4.いのち 2024 (Acoustic Arrange Ver.)
作詞・作曲:瀬名航(SOVA) 編曲:清水"カルロス"宥人(KEYTONE)

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