s**t kingz、今こそ大切な“ギャルマインド” 初主催フェス『s**t kingz Fes 2024』に懸けるダンスへの思い
振り付けへのこだわりは「いかにギャルを取り入れられるか」
――狙い通りの仕上がりですよね。皆さんはプロデュースという形で携わっていますが、具体的にはどんな動きをされたのでしょうか。
shoji:最初に自分たちが作りたい音楽に合う歌詞の方向性やメッセージを決めて、この4組にお声がけをさせていただきつつ、トラックのBPMの速さや音数のリファレンスを出しました。まずはGRAYさんに2パターントラックを作ってもらって、そこから方向性を詰めて。そのあと、GRAYさんが日本に来た際にトラックを聴きながらみんなで細かな歌詞のワードを決めていきました。
NOPPO:GRAYさん、信じられないくらい作業が早いんですよ。
shoji:誰かが適当に声を入れると、そのフロウに合わせてトラックを変えていったり。このフロウだったらこういうのが合うからここを削ろう、とか。
Oguri:みんなの瞬発力の高さに驚きました。ぺろきゃんはお兄ちゃんがリリックを考えるんですけど、「もれちゃう」というキーワードが出てからはもう覚醒して。「漏れちゃう」、「埋もれちゃう」、「ハモれちゃう」、いろんなワードを出しつつ、フックのリリックもその場で考えていましたね。JIMMYとedhiiiもトラックができたら「とりあえず何か乗せてみますか?」と、宇宙語みたいな言葉じゃない言葉でフロウを乗せていくんですけど、その時点でめちゃくちゃ完成度が高いんですよ。フリースタイルなのに超かっこよくて。GRAYさんもその場でアレンジを加えていって、「ダンサーとしてここに音があったら踊りが映えそう」という絶妙なさじ加減をすごくわかっているんです。何も言わなくてもどんどん足してくれていて、みんなの瞬発力で一気に曲ができた衝撃的な一日でした。
――振り付けは、観ている人が圧倒されるような難易度の高いダンスだということで。
shoji:全員で作ったのですが、めちゃくちゃ難しくて大変でございます。
Oguri:ジャケットビジュアルのイメージが反映されているよね。手の振りひとつにしても「ごめ〜ん、もれちゃう〜」「かましちゃってま〜す」というようなギャルマインドが表れていて、振り付けにも取り入れています。
――ギャルい!
Oguri:いかにギャルを取り入れられるかを考えながら振りを作りましたね。ギャルポーズをしているかと思ったら、すごい勢いで細かな振りを踊り始めて、またスッとギャルポーズをやり出す、みたいな。めちゃくちゃ緩急があると思います。曲自体にも緩急があるけれど、踊りもそう。踊っている側としても、その波に追いつくのが大変です(笑)。
kazuki:しかも、シーンごとに全部違うんですよ。3人で歌っているのでテンションが違うし、それぞれのパートを切り取ったら全然違う曲に感じられるくらい。別曲くらいの温度差があって、それがひとつになっているのが面白いと思います。
Oguri:いろんなキャラクターが現れるよね。
kazuki:構成が大胆なパートもあれば、入り組んだパートもあって、どんどん展開していくので飽きないと思います。あっという間に終わってしまうので、僕らからしたらコスパは悪いですよね。一生懸命やっているのにすぐ終わっちゃって。でも、ギャルだから気にしない(笑)。
「いつか『s**t kingz Fes』に出たい!」と思ってもらえるような場所に
――初の主催フェス『s**t kingz Fes 2024 ももたろう』(以下、『シッキンフェス』)についても聞かせてください。まず、そもそもフェスをやろうという話が出たのはなぜだったのでしょうか。
shoji:昔から、ダンスをテーマにしてみんなで盛り上がって楽しめるフェスやお祭りをやりたいという話はよくしていたんです。去年はシッキンとして日本武道館という大きな場所でワンマンライブをやらせてもらったので、今年はダンスのお祭りのようなことをできたら楽しいのかなとスタッフさんとも会話をしていて。それで、フェスをやってみようという流れになりました。
――ちなみに、「ももたろう」とは……?
shoji:kazukiが言い出しちゃったんですよねえ。
kazuki:(笑)。フェスって、アーティストが自分の出番を盛り上げて終わり、というイメージが僕のなかであって、それはちょっともったいないという気がしていて。全員を繋ぐテーマやストーリーがほしいと思ったんです。誰もが知っている話を題材にして、みんなで絡み合いながら展開して、ひとつの大きなエンタメにできないかなと考えて「ももたろう」を軸にしました。「ももたろう」を選んだ理由としては、仲間と協力をして目標を達成するというストーリーが僕らの目指しているイメージに近かったから。ダンスやダンスミュージックを愛しているアーティストたちとステージに立って、お客さんと一緒に楽しんで、ひとつのエンタメを大成功させることを「ももたろう」とリンクさせてみようと思ったんです。演出としてアーティストを繋いでいって、パフォーマンスを観てもらいたくて。
――ストーリー性がある、と。
kazuki:そうです。舞台でもそうなんですけど、シッキンはストーリー展開がある作品を作るのが得意なんですよね。それをイベント全体でできたら楽しいし、僕ららしい演出になるんじゃないかって。
shoji:ストーリー性があるからこそ、転換の時間が見どころだったりすると思うんです。転換を楽しい時間にするにはどうすればいいんだろうと、みんなでアイデアを出し合って作っています。転換が面白いライブってなかなかないと思うんですよ。ストーリーが展開されたり、面白い企画を考えているところなので、楽しみにしてもらいたいです。
kazuki:トイレに行く暇はないです。
shoji:おむつ販売したほうがいいかな?
NOPPO:たしかに!(笑)。それと、ここでしか観られないコラボレーションもあるよね。
kazuki:そうだね。いろんな取り組みがあって、「これはフェス? 舞台? ライブ?」「なんだこれ?」という絶妙な感覚になると思います。終わったあとにお客さんからどんな感想がもらえるのかも楽しみです。
――なるほど。昨今フェスが増えてきていますが、そんななかで皆さんが自ら新たにフェスをやることについてはどう感じていますか?
NOPPO:ええ、難しい!
一同:……(沈黙)。
kazuki:どうにかしてNOPPOに喋らせたいよね。
NOPPO:えっと、もうちょっと簡単な質問にしてもらっていいですか?
shoji:いやいや、そんな難しい質問じゃないよ(笑)。
NOPPO:答えのヒントがほしい!
shoji:……(耳打ちしながら)ダンスをメインにしたフェスはあんまりないんじゃない?
NOPPO:ダンスをメインにしたフェスは、あんまりないと思うんですよね。
一同:(笑)。
shoji:広げると思ったのに(笑)!
NOPPO:(笑)。でも、本当にダンスが好き、ダンスを観ることが好きな人が集まって、ダンスや音楽を楽しむ機会を作ることが、僕たちがフェスをやる意義になると思います。
shoji:出演者もダンスが好きな人たちしか集まっていないんですよ。在日ファンクさんもハマケンさんがライブでめっちゃ踊りますから。
――たしかに。すでに反響も大きいですが、どう受け取られていますか?
kazuki:僕、「QUICK STYLEがくるのヤバい」というコメントをいくつか発見して。それが嬉しかったです。僕たちは友達だけれど、日本をメインに活動しているわけではないので。だから、日本国内では未知数な部分があったりするじゃないですか。でも、QUICK STYLEが出演することに期待しているって、ダンスそのものにファンがついている感じがして嬉しいなって。
Oguri:SNSで有名ではあるけど、生で観たことのない人が多いと思うんですよね。
NOPPO:BE:FIRSTの振り付けもしてたしね。
shoji:いろんなダンサーが出てくれたら嬉しいよね。今後もこのフェスが続いていって、世界中のダンサーが「いつか『シッキンフェス』に出たい!」って思ってもらえるような場所になったらいいなって。つい最近アメリカに行った時にも、日本でダンスライブツアーをやっているという話をしたんです。そうしたら、アメリカ人のダンサーたちが「そんな活動の仕方があるんだ!」って驚いていて。なので、アメリカでもダンサーたちがツアーをやることが当たり前になって、日本で『シッキンフェス』に出ることを目指してもらえたら、そんな幸せなことはないと思います。
Oguri:ダンス版サマソニ!
shoji:超夢あるよね。
kazuki:全然目指せると思う! ここ数年でダンスの広がりがかなり増しているし。ダンサーとアーティストの境目がなくなり始めているのを感じてるんです。そのおかげでダンスに興味がなかったアイドルのファンの方にも興味を持ってもらえるようになっていて。知識もつけてくれて、ダンスを目にする楽しみが増えていると思うんです。だから、きっと今後もダンスへの興味関心が広がっていくのかなって。
shoji:みんなどんどん知見が深くなっているよね。すごく細かなところまで気がつくようになっているし、「ここってもしかしてこういうこだわりがあるのかな?」ってファンの方がSNSで語り合ったりもしていて。こっちが意図してやっていることに気がついて盛り上がってくれていて嬉しいです。