Number_i、「GOAT」を超える規格外の「BON」MV徹底考察 平野紫耀プロデュース曲で描いた昭和とオマージュ
作中のお楽しみ要素をいくつか挙げたところで、遡って冒頭からMVの流れを見ていきたい。
前半は、クラブのような場所で人だかりを抜けてステージに上がる3人と、巨大迷路のなかを彷徨う3人がそれぞれ別軸で描かれている。迷路を抜けた彼らは、エレベーターに乗り込み、上昇して1015階(=10月15日はNumber_iの結成日)まで向かう。人形劇を挟み、次のエレベーターのシーンでは0階へ。岩山と砂しかないような場所で(長方形の黒い岩は映画『2001: A Space Odyssey(邦題:2001年宇宙の旅)』のモノリスのオマージュにも思える)ダンスを繰り広げる3人の姿は、ステージで踊っていた光景とも重なる。紙芝居のシーンを挟みつつ、3分27秒頃からは、冒頭で彼らの周りにいた大勢の人たちが消える場面が描かれる。これは「GOAT」のMVで、大人たちが最後に石像に変わったのとリンクしているようにも思える。
あくまで個人的な解釈だが、筆者は後半に登場する紙芝居で語られているのが、MV前半の内容なのではないかと思っている。映像の前半で表現されているのは、新たに0から創造して遠くまで飛んでいくNumber_iの軌跡であり、それは盆栽を自分たちの成長に見立てたという楽曲のテーマにも繋がる。後半は、そんな成長ストーリーをもって、“皆が待っている町々へ”向かっていく3人が描かれているような気がしているのだ。
「BON」のMVには、3人が表現するパフォーマンスやメッセージ性に加え、日本の文化、ユーモア、名作へのリスペクトなど、さまざまな要素が4分間に詰まっている。ラストで空に雷が光っているように、行く先には困難もあるかもしれない。負けずに世界で大きな花を咲かせ、日本のエンターテインメントの魅力を伝えてほしいと願う。こんな規格外なMV、Number_iでないと作れないはずだから。
※1:https://realsound.jp/2024/05/post-1675230.html
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