ENVii GABRIELLA「縛りつけているのは他人じゃなくて自分」 ミニアルバム『DVORAKKIA』でさらなる解放へ

ENVii GABRIELLA、新世界に進む航海へ

私たちはすでに新世界に入っていて、そこからみんなを引っ張っていく(Takassy)

――Kamusさんが「Takassyの作りたいものが見えた」とおっしゃっていましたが、チャレンジングだった「Sail On」を除くと、Takassyさんのルーツに近い楽曲が並んでいるように感じました。

Takassy:たしかに。「Sail On」を表題曲にするから、あとは好きにさせてっていう感じが強かったですね。いつもは、周りに納得してもらえるエンガブっぽいものを作ろうと思って派手な曲を多く作っていたんですけど、今回は「『Sail On』があるから、もうあとは好きにさせてよ!」って半ば逆ギレみたいな感じで、好きなものばっかり作っちゃいました(笑)。だから、全体的にいつもより落ち着いていて、さらっと聴ける曲が多いかな。

 今って、何がヒットするかわからないじゃないですか。今この瞬間に売れているジャンルの曲を作っても、リリースするまでにタイムラグが生まれて、その時にはもう違う曲がサブスクで1位になっていたりする。だからヒットを目指して曲を作ってもイタチごっこだし、作家としてそれを考えて曲を作るって野暮だと思った。そんな時に、スタッフに「今ってサブスクがあって、昔の曲も掘れるから」と言われてハッとしたんです。もしかしたら今私たちが作っている曲は今の人に聴かせるものじゃなくて、未来でこの曲を発見してもらうために作っているのかも、って。そこから「Message in a Bottle」というタイトルも思い浮かんだんです。そう考えることで、いろんなジャンルの曲が自由に作れるようになりました。

――今作は楽曲もジャンルもさまざまで、歌い方も曲によって全然違いますが、HIDEKiSMさんが歌ううえで難しかった曲を挙げるとしたらどの曲ですか?

HIDEKiSM:「哀恋」ですかね。今回のアルバムでは全体的にキーが下がっているんですが、その始まりの曲が「哀恋」だったので。私は高音を武器にしていて、中音域は苦手だったし、自分が歌う中音域はあんまり好きじゃなかったんです。でも、ちょっと落ち着いた雰囲気の曲も歌えるようになれたらと思って、今回の作品では全体的にキーが少し低くなっていて。そうすると、いよいよ中音域が重要になってくる。だから、その挑戦の始まりとなった「哀恋」は特に苦労しました。

――逆に言うと、「哀恋」でトライしたことによって他の曲はスムーズに?

HIDEKiSM:それはすごくあります。特に「DVORAKKIA」はどっしりとした楽曲。今までだったら、このキーで喉を開く歌い方をするような自分の声は好きじゃなかったと思うんですけど、挑戦してみたら「かっこいいな」と思えるようになりました。今回のアルバムでは自分自身の開拓ができたなと思います。

――今作のキーやボーカルワークに関して、Takassyさんはどう考えていたのでしょうか?

Takassy:HIDEKiSMが言ったように、あえてキーを落としました。HIDEKiSMは高いキーが自分の持ち味だと思っていますけど、客観的に聴いていると、私は高いところよりもむしろ中音域のほうが魅力的に感じるんですよ。だから、そこをフィーチャーしたいなと思ったのがひとつ。あとは、今作のテンション感は明らかに今までとは違うので、パーン!と行くよりも、“さらっと歌えるHIDEKiSM”を聴かせたいなと思って。レコーディングで「このキーはツラい!」とか言うんだろうなと思いながら(笑)。実際、レコーディングは大変だったけど、楽しかったよね?

HIDEKiSM:うん!

Takassy:結果、肩の力の抜けた「普段だったらこの声は使わないだろうな」と思うようなラフな声も使ったアルバムになりました。

――Kamusさんは、今作で特に好きな曲や好きなフレーズはありますか?

Kamus:特に気に入っていて何度も聴いちゃう曲は、「Cherry Pie」と「僕の名を持つ君へ」です。

Takassy:へえ!

Kamus:「Cherry Pie」はレゲエのリズムなので、聴いているだけで体が踊っちゃう。歌い方も、酒でも飲みながら歌ってるんじゃないかと思うような、まったりした歌い方で。背もたれに寄っ掛かりながらさらっと歌っているような感じが、今までになくてかっこいいなと思いました。歌詞も好き! チェリーパイのついた親指を舐めている主人公が、親指を使ってSNSで罵詈雑言を吐いている人を横目に「だっせぇ〜」と思っているという世界観が楽しくって。実際にチェリーパイのような甘いものを食べながら聴いてくれた嬉しいなと思います。「Cherry Pie」から「DVORAKKIA」に続くのもいいですよね。

Takassy:突然ね。情緒、わけわかんないよね(笑)。

Kamus:(笑)でも、突然変わるところも含めて、この作品を楽しんでもらえる一曲になっているんじゃないかなと思います。「僕の名を持つ君へ」は、歌詞がかっこいい! カントリー調のリズムも好き。ダンサーなので、やっぱりノれる曲が好きなんですよね。〈運命に泣き 運命に傷つく/運命に抗い 運命を抱く〉という歌詞もすごく好きで。自分が諭されている気分にもなるし、誰かに諭してあげたいと思う。パフォーマンスも、誰かを諭してあげられるような余裕を持ってできたらいいなと思っています。

――アルバム名は『DVORAKKIA』。それこそ「Cherry Pie」の後半の曲のタイトルでもありますが、この曲名をアルバムタイトルとして本作に冠した理由は何ですか?

Takassy:語呂がいいから。実は、あんまり強い思いはないんです(笑)。そもそもこの単語はドヴォルザークの「交響曲第9番『新世界より』」から取っていて。

――「DVORAKKIA」では「新世界より」をサンプリングしていますよね。

Takassy:はい。「新世界へ」じゃなくて「新世界より」なのがいいなって思ったんです。“一緒に新世界に行こう”じゃなくて、私たちはすでに新世界に入っていて、そこからみんなを引っ張っていくイメージ。あと、HIDEKiSMさんがSEO対策にすごく厳しくて(笑)。検索して他のものが引っかからないものが絶対にいいと言うので、毎回いろいろ考えているんです。前回のミニアルバムは『Metaphysica』だったので、そこからつながる感じがいいなと思って「DVORAKKIA」とつけました。

――冒頭にもお話がありましたが、本作リリース後には、東名阪のZepp公演も含めたエンガブ史上最大規模のツアーが控えています。どのようなライブにしたいですか?

Kamus:北海道は2DAYSだし、他はこれまでの会場よりも規模が大きくなっているので、大きくなってもしっかり見せられるということを証明できるパフォーマンスができたらいいなと思っています。ミニアルバムを携えてのツアーにもなるので、作品のよさもちゃんと出しつつ、エンガブらしさも伝えられるようなライブを作りたいです。

――楽しみにしています。インタビューは以上にしようと思いますが、何か言い残したことはありますか?

HIDEKiSM:そうですね。私、なかなか彼氏ができなくって……。

Kamus:あははは!

Takassy:そうじゃないわよ!

HIDEKiSM:あ、そういう話じゃない?

■リリース情報
2ndミニアルバム『DVORAKKIA』
発売中

配信URL:https://engab.lnk.to/DVORAKKIA_CD

CD+Blu-ray:KIZC-755~6/4,400円(税別)

<CD収録内容>
01. Mother Ship / Message in a Bottle
02. Portrait of Love / Petal Dance
03. Cherry Pie / Dvorakkia
04. Strangers / Fate
05. 哀恋
06. 僕の名を持つ君へ
07. Sail On

<Blu-ray収録内容>
・「Sail On」 Official Music Video
・Making of 「Sail On」 Official Music Video
・「哀恋」 Official Lyric Video

<封入特典>
オリジナルトレカ ※初回製造分のみ、全4種よりランダムで1枚封入

■ツアー情報
『ENVii GABRIELLA LIVE TOUR 2024 「DVORAKKIA」』
札幌・cube garden
2024年6月21日(金)開場 18:30/開演 19:00
2024年6月22日(土)開場 17:30/開演 18:00

大阪・Zepp Namba
2024年6月29日(土)開場 17:00/開演 18:00

名古屋・Zepp Nagoya
2024年6月30日(日)開場 16:00/開演 17:00

福岡・DRUM LOGOS
2024年7月6日(土)開場 17:30/開演 18:00

東京・Zepp DiverCity
2024年7月14日(日)開場 16:00/開演 17:00

<席種/金額>
全席指定:9,000円(税込)
※ご入場時、各会場規定のドリンク代が別途必要です。
※未就学児童入場不可
チケットURL:https://l-tike.com/engab/

ENVii GABRIELLA オフィシャルサイト:https://engab.jp/
X(旧Twitter):https://twitter.com/EnviiG
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