Number_i、“日本”を歌い踊る美学 平野紫耀プロデュース曲&サントリーCM曲で開く新境地

 「BON」という楽曲タイトルには盆栽の“盆”に加え、爆発音の“ボン”、〈煩悩〉の“煩”、〈天才〉の対義語である凡才/凡人の“凡”など、歌詞を読む限りさまざまな意味があるのだろう。系譜としては「GOAT」や「FUJI」にも連なる。「GOAT」も手掛けたPecori(ODD Foot Works)が作詞、MONJOE(DATS)が作編曲を務め、〈Let’s GOAT〉という歌詞があることや、“富士山”を意味する「FUJI」同様に日本を象徴するものをテーマにしていることからも、2曲との繋がりも感じられる。

 リリース前、ましてや1秒も公開されていない新曲を生放送の音楽番組で初披露すること自体も攻めている姿勢だが、楽曲自体も複雑な構成をしており、挑戦的な印象を受けた。

 雅楽風のイントロや、途中で挟まれる盆踊りのような振り付けなど、随所に見られる“日本”へのこだわり。そうして和とHIPHOPを融合させながら、目まぐるしくビートが変化していて先が読めない。デビュー曲の「GOAT」もそうだったが、予想を裏切っていきたい、新しいことをやりたいといったメンバーの想いが伝わってくる一曲だ。

Number_i - BON (Official Music Video)

 新しい何かを行うことは、周りから反対されたり、なかなか受け入れてもらえなかったりと、不安や孤独を背負うことでもある。実行する時に問われるのは、それでも挑む覚悟があるのかということ。『Mステ』での「BON」のパフォーマンスからは、いわば戦闘態勢のような、自分たちの納得する道を突き進もうとする意志が垣間見えた。

 一方、そんななかで結ばれる絆はより一層固いものになるはず。彼らがたびたび口にする「ファンとの関係」とは、新しい道を切り開き、一緒に困難も乗り越えていけるような関係性を指すのかもしれない。とどまることを知らない3人が、グループとして初のミニアルバムにどんな楽曲を詰め込み、私たちに届けてくれるのかが楽しみだ。

 「No-Yes」と「BON」を含め、『No.O -ring-』には全8曲が収録されている。すでに公開された2曲もまったく表情が異なるだけに、おそらくバリエーション豊かな一枚になっているのではないだろうか。『SUMMER SONIC 2024』への出演も決定した今、予想を超えた、嬉しい裏切りにも期待しながらリリースを待ちたい。

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