くるりら輩出のロックコミューン、“名門サークル”たる理由 個性的な現役バンドも続々
京都・立命館大学の軽音楽サークル、ロックコミューン。くるり、キセルの辻村豪文(Vo/Gt)、おとぼけビ〜バ〜など数々のアーティストを輩出したことでも有名な同サークルについて、今回はその魅力を紐解きつつ、いま勢いのある出身アーティストを紹介していく。
コピーではなくオリジナルが基本
立命館大学の軽音楽サークルといえばロックコミューンというイメージが強いかもしれないが、軽音楽部、フォークソング同好会 KEAKS、NEW MUSIC研究会など他にも多くの音楽系部活動、サークルが存在する。では他の部活・サークルとロックコミューンの違いは何なのか。
それは、Xでのサークル紹介(※1)で「ロックコミューンは立命館大学唯一の(コピーではなく)オリジナル軽音サークル」と綴られている通り、基本的に“オリジナル”を軸に活動を行っている点だろう。以前、僕がシゼンカイノオキテという同サークル出身のバンドを取材した際にも、「(ロックコミューンは)コピーができる雰囲気ではなかった」と話していた。そしてオリジナルを基本とするが故、個性的なバンドが次々と生まれている。CHAINS、くるり、おとぼけビ~バ~、YOGURT-pooh、Limited Express (has gone?)、by the end of summerなどロックコミューンが輩出したバンド群から見ても明らかだろう。
ロックコミューンの出世頭、自然体を歌う猫戦
おとぼけビ~バ~以降の同サークルの出世頭は誰かと問われれば、僕は猫戦と答える。2018年に結成し、現在は東京で活動している同バンド。昨年にはTVアニメ『いきものさん』(MBS/TBS系)の主題歌を担当。今年の2月22日には渋谷WWWでワンマンライブを開催するなど、ますます実力と人気をつけている。
以前、同バンドに取材したことがあるが(※2)、その際に原田美桜(Vo)が「自分の美しいと思ったものを形にできればそれでいいと思っています」とリスナー主体ではなく、あくまで自然体で自分を見せるのがきれいだと語っていた。現にソングライターである原田の作る歌詞は〈焼いたお肉と他人の匂いの空似〉(「鶴」)、〈汗ばんだパンダの群れと大きさに劣らぬ夢を返してね〉(「サテライト」)と頭に浮かんだ内容を反芻せずにそのまま伝えたかのような自由さが感じられる。
その歌詞に80年代シティポップを思い起こさせるようなメロウでグルーヴィなサウンド。そしてソフトで甘いボーカルが合わさると、まさに彼・彼女たちにしかできないスイートソウルが完成する。