Paleduskが広げる“自由な感情を爆発できるエリア” 常識を砕く野心、BMTHとの共作も語る

Paledusk、常識を打ち砕く野心

「アウェイだと思った場所にも、いろんな人生と重なる共通項があった」(DAIDAI)

ーーヘヴィミュージックって怒りや不満が爆音になっていることが多いし、BMTHの場合は内省が曲の中で爆発しているじゃないですか。KAITOさんは歌詞の中で何を書こうとしていると感じます?

KAITO:MCもそうですけど、ライブだと僕だけが言葉を発信しているわけじゃないですか。だからこそ、僕だけが思っていることを言ってはダメだと思っていて。歌詞もMCも「なるほど、それいいな」ってメンバー全員が思えることを言いたいとは常に思ってます。

ーー先ほど「怒りとか悲しみとか幸せとか感動とか、全部詰まっているパッケージがPaledusk」という話もありましたけど、そういう様々な感情はどうやって曲の中で生まれてきていると思いますか。

KAITO:「AREA PD」とか「BLACK ICE」とかは「うるさいうるさい!」っていう悲しみと怒りの曲だったんですけど、今は逆にうるさいことを言ってくる人がいなくなってきて。だったら“ダサい自分”とか今悩んでる人に対して何かを言ってあげるとか、そういうフェーズでもあるのかなって思ってるんですけど。楽しいだけで過ごしてるヤツなんていないじゃないですか。怒りから始まって哀愁で終わって、最後には「みんな、ありがとう」とか「頑張ろう」って言えるのがいいライブになるイメージがあって、楽曲もそういう展開が多いです。

TSUBASA

ーー「SLAY!! feat.Hideyoshi」とかもそうですよね。

KAITO:いろんなところに友達がいるから、海外に行ってる間も日本に帰ってきてからも楽しいってことなんですけど、一番のフックになっている〈Eyday is a new day〉と〈Tomorrow is another day〉っていうのは、明日は違う日がやって来るから、今日ミスっても明日また楽しく頑張れたらいいやみたいな、僕らなりの応援ソングにもなっていて。どんなシビアな楽曲でも、どこかに散りばめられてるテーマかなとは思いますね。

Paledusk - SLAY!! feat. Hideyoshi (Official Music VIdeo)

ーー例えば「RUMBLE feat. Masato from coldrain」って自分たちの喜怒哀楽を歌うだけじゃなく、それを人に受け渡すような曲になっているじゃないですか。個人的にPaleduskで一番好きな曲なんですけど、それは自分たちの物語として歌ってきたものが、実は他の人の物語でもあったっていう感動が見えたからで。そう言われるとどうですか。

DAIDAI:嬉しいですね。「RUMBLE」は自分の人生のストーリーをメンバーに共有して作った曲で。普段は曲を作る時の大雑把な雰囲気を伝えとくくらいで、歌詞の提案まではしないんですけど、「RUMBLE」は珍しくたくさん注文した曲でした。僕は中国人なんですけど、人種のこともあって小さい頃からずっとアウェイな気持ちで過ごしていて。けど海外にも出ていく中で、むしろアウェイをホームに変えればいいじゃん、そのためにアウェイを愛して生きていけたらいいよねっていうピースな考え方になれて。逆にホームがあることに慣れていなかったんですけど、自分のやってる音楽とかヘンテコな曲展開を理解してくれる人が増えて、去年くらいからそういう場所をホームだって思えるようになってきたので、「今しか書けない曲があるな」と思って作りました。いざ世に出してみたら、いろんな人の背中を押す曲になっていることに後で気づいたんです。アウェイだと思っていた場所にも、実はいろんな人生と重なる共通項があったんだなって。

Paledusk / RUMBLE feat. Masato from coldrain (Official Music Video)

ーーアウェイで孤独だと思った時間があったからこそ、同じ境遇の人と深く重なることができたわけですよね。暗いトンネルから入り、最後は明るい場所に出るような曲展開にもそれが表れてると思いました。

KAITO:この曲って、ライブでお客さんを巻き込める瞬間が最後の最後までほぼなくて。でも置いていくわけじゃなくて、みんなで一つになる瞬間のために「やべえ!」って思わせ続けて、最後の最後に手を伸ばすみたいな展開になってるから。ラストの日本語詞も、日本人なら全員すぐ意味がわかる言葉以外使わないって決めていて、なおかつ海外でも合唱しやすいパートになっているので、英語圏と日本どちらでも盛り上がれる曲になったんじゃないかなって思います。

ーー実際に日本と海外で感じた違いも教えてください。

KAITO:わりと早い段階からアジアでライブしていて、その頃は英語とか全然喋れなかったんで「言葉が通じないからライブもかませないんだな」と思ってたんですけど、その時より英語も喋れるようになって改めて思うのは、ライブとかパフォーマンスに言語は本当に関係ないってことで。かませなかったのは、単純に俺らがカッコよくなかっただけで。今は海外行っても自信があるし、もともと憧れてたバンドと対バンする時もメンバーが出してる音は全然負けてないなって思う。それも楽曲のクオリティが高まったことと、数を重ねた結果かなとは思うんですけどね。ただ、海外だとフェスの一番手で持ち時間も少ないところから、ちょっとずつやっていって時間いっぱいもらえるようになったりとか、そういうチャレンジャー精神が燃えるところはありますね。日本だと最初のSE流れただけで「うわー!」って盛り上がってくれるようになったけど、海外は最初ジッと観てるところから、だんだん「Paledusk! Paledusk!」ってみんな叫んでいくみたいな。そこは俺らがかませるかどうか次第だし、どっちの良さもめっちゃわかるようになりました。

DAIDAI:自分もどっちにも違う良さがあるなって感じます。日本の好きなところは、アーティスト人口はアメリカとかに比べたら少ないけど、オンリーワンが多い国だなっていうところで。独自の進化をしている面白くて個性的なアーティストが多い。逆に言うと海外は、自分たちが聴いてきたジャンルのルーツが根強くあるので、土壌が広くて質も高いものが多いなって。今はそのどちらにも入れる環境にようやくなれたのが、すごく楽しいですね。

BOB

「いろんな前人未到から新しいものが生まれたら最高」(KAITO)

ーーその広がりの先でBMTHとの共作にまで繋がっているので、すごいと思います。せっかくなのでそのことも伺いたいんですけど、DAIDAIさんが現時点で共作されている3曲「AmEN! ft. Lil Uzi Vert, Daryl Palumbo, Glassjaw」「DArkSide」「Kool-Aid」は、各曲のコンセプトをBMTHから共有された上でアイデアを出していってるイメージなんでしょうか。

DAIDAI:そうですね。これはオリヴァーもずっと言ってることですけど、彼らは今フューチャーエモをすごく意識していて、どこか懐かしくて、あの頃自分たちが好きだったものを取り入れながらも新たなサウンドを混ぜていくっていう作り方なんですよね。基本的に曲作りのスタートは全部オリヴァーが決めてるんですけど、そこで出てくるものは僕の中にもあるボキャブラリーだし共感できるので、いくつかアイデアを出しながら、それをオリヴァーがさらに咀嚼してくれて。「AmEN!」は「昔Glassjawばっか聴いて狂ってたんだ」っていうオリヴァーのバイブスに、「テーマパーク感も欲しい。それはPaleduskの曲を聴いて思ったことなんだ」って言ってくれたニュアンスを加えたりとか。「DArkSide」はオリヴァー流の歌いこなしがありつつ、全体はちょっとLinkin Parkっぽかったり。

ーーなるほど。リファレンスのバンドはありつつ、それだけじゃないエッセンスとしてDAIDAIさんが求められていると。

DAIDAI:よくそう言ってくれます。「Paleduskを聴いて、DAISUKE(DAIDAI)が持ってるモダンなサウンド感、自分にはないエッセンスにぶっ飛ばされたから。ぜひそれをBMTHの色としても欲しいな」って。最初はオリヴァーからDMが来たのがきっかけで、リモートで曲作るようになって、気づいたら彼の家に行って一緒に曲書いてるっていう関係だったんですよね。自分でもよくわかってないくらい、すげえなって思いながら一緒に過ごしてます(笑)。

Bring Me The Horizon - AmEN! (Official Video) ft. Lil Uzi Vert, Daryl Palumbo, Glassjaw
Bring Me The Horizon - DArkSide (Lyric Video)

ーー個人的にも、同世代の日本のミュージシャンがBMTHと共作しているのは誇らしいですよ。さっきも言った通り、BMTHは内省を受け止めることでヒーローになっているのに対し、Paleduskは「RUMBLE」でも歌われているように、想いを受け渡していくことでヒーローになっていくバンドな気がするんです。これからのバンドへの未来像があるとしたら、現時点ではどんなものですか。

DAIDAI:いろんな夢があるんですけど、現代でいうBMTHだったり、殿堂入りしているSlipknotみたいな規模の、誰もが知っているヘヴィなバンドはまだ日本からは出てきていない気がしているので、そこに自分たちがなれたらなって。人生1回きりだし、挑む価値はあると思うから、やるだけやってバンドをデカくしたいですね。それがいろんな方面に伝わって、自分たちももっと自由に楽しく音楽ができるようになったら最高だなって思ってます。

KAITO:僕はクソデカいイベントを自分たちで作り出してやりたいですね。イベンターの人が呼んだりっていうフェスが大半だと思うんですけど、そういうのじゃない、全部のアーティストを自分たちでブッキングして、あり得ないキャパシティのことができたらなって。

ーー「AREA PD」で歌われているような、自由な場所を拡大していくイベントですよね。

KAITO:そう、めっちゃ自由で遊園地みたいなことができたら。究極は、仲間内で「これやりたい」って言ってるヤツらの夢を全部実現できた時が一番いいなって思ってて。僕の場合はボーカリストだし、替えの効かない重要なことをさせてもらってるんだなって最近より思うから、「やっぱりPaleduskはボーカルすげえな」って思わせて、真似する子供ができて、それが新しいバンドのシーンになっていったらめっちゃ嬉しいというか。まあ俺らもシーンでは若い方なんで偉そうなことは言えないですけど、ひと言で言うなら、いろんな面で前人未到なことをしていって、そこから新しいものが生まれたら最高だなって思ってます。

Paledusk - AREA PD (Official Music Video)

Paledusk 公式サイト

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◾️衣装協力
Styling:杉山まゆみ(星野事務所)、Spiros
Hair:RIN.(from MEYTOKYO)
Make-up:MADDYKAITO

MA-1、パンツ / el conductorH
パーカー / HOLO MARKET
シューズ / スタイリスト私物DAIDAI
ジャケット、スラックス / Azuma.
Tシャツ / KIDILL
シューズ / スタイリスト私物TSUBASA
M-65ジャケット、Tシャツ、パンツ / COGNOMEN
シューズ / スタイリスト私物BOB
ジャケット / KIDILL
パンツ / LAD MUSICIAN
ハット / KIJIMA TAKAYUKI
Tシャツ、シューズ / スタイリスト私物

問い合わせ先
el conductorH(株式会社オミットサード):03-6380-1171
HOLO MARKET(STUDIO FABWORK):03-6438-9575
Azuma.(ANTICRAFT design ONLINE STORE):https://azuma-anticraft.stores.jp
LAD MUSICIAN 新宿:03-6457-7957
KIDILL(Sakas PR):03-6447-2762
COGNOMEN(Sakas PR):03-6447-2762KI
JIMA TAKAYUKI(Sakas PR):03-6447-2762

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