アイナ・ジ・エンド、激動だった2023年の集大成 BiSH卒業後の覚悟を滲ませた最新ソロ公演

 目まぐるしく展開するハイレベルなステージパフォーマンスに圧倒されながらも興奮度合いを高めていくオーディエンスに対し、アイナは改まった口調で「BiSHではいろんなことを教えてもらいました。自分を“人間”にしてもらったなと思ってる」と切り出し、ぽつりぽつりと話し始める。「解散して半年くらい経つんですけど、離れて初めてわかったことがたくさんありました。私は6人でやっとアイナ・ジ・エンドだったんだな」と振り返り、「1人だとなかなかコントロールできませんでした。BiSHをやっていたときのソロ活動も、BiSHという帰る場所があった。だからソロでいっぱい好きなことをやって、帰る場所にちゃんと帰って……それが自分の8年間でした」とBiSH時代を総括。

 そして「今は自分で舵を切って進んでいきたいなって、1人でやってみようって思っています。だけどやっぱり私はBiSHに育ててもらいました。だから1人でもこの曲は歌っていこうと思いました」との言葉に続いてトレモロのかかったエレキギターのアルペジオが鳴り響き、「大切な曲」と位置づける「リズム」を切々と歌い始めた。これはアイナ自身が作曲し、モモコグミカンパニーが作詞を手がけたBiSHの楽曲。ステージ背面にはスクリーンが下ろされ、アイナの歌唱に合わせて歌詞のタイポグラフィが映写されていく。丁寧に、しかしあふれる思いをぶつけるような彼女の歌声に、聴衆はただただ息をのんで聴き入るばかり。歌い終えたアイナが深く一礼すると、ホールは割れんばかりの喝采で埋め尽くされた。

 その後、ヒリヒリしたオルタナバラード「ペチカの夜」と開放的なギターロックナンバー「STEP by STEP」で本編を勢いよく締めくくると、アンコールではオーディションで集められたダンサーチームや3月に予定されているZeppツアー『Grow The Sunset』に言及。仲間たちや客席へ向けて「私はまだまだ駆け出しです。これからも一緒にライブを作っていきたいなと思っています」と呼びかけた。そして「人生で初めて作った曲を」と前置きしてアシッドフォークテイストのピアノバラード「きえないで」を、間髪入れずにラストナンバー「サボテンガール」をパフォーマンス。満面に笑みを浮かべながら溌剌と歌いきったアイナは「また会えますか? また会おうね!」と高らかに絶叫し、ゆっくりと下ろされる緞帳の向こう側へ名残惜しそうに姿を消した。

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