BBHF、ホームパーティーのようなあたたかい祝福感に満ちた初のビルボードライブ 横浜公演を振り返って

 今回のライブならではの「乾杯」を経て、この日初めてのMCへ。雄貴は、こうしたいつもと異なる環境のライブに参加するのが初めてのファンを気遣いつつ、「僕らもまったく一緒なので、ゆったり楽しんでいってください」「柔らかな空気でいこう」と呼びかける。その後も、これまでの各アルバムから「真夜中のダンス」「僕らの生活」「Torch」「Work」をはじめとした歴代の楽曲が続々と披露されていく。ビルボードライブという環境の極上の音響も相まって、各メンバーによる一つひとつのプレイのきめ細やかなニュアンス、楽器の使い分けの妙、それらの重なり合いによって生まれる豊かなバンドアンサンブルを、いつもよりも高い解像度で堪能できる贅沢な時間が続く。静謐なサウンドをじっくり聴かせる展開と、昂るエモーションを一気に放出させる歌&激烈なバンドサウンドを容赦なく轟かせる展開のコントラストも見事で、あらためてこのバンドが誇る表現力の高さが浮き彫りになる。

 何より、こうした静と動の流れを、まるでひとつの映画のように連続してみせていく流れは、着席してじっくりパフォーマンスを堪能するビルボードライブのシチュエーションと非常に相性がよい。特に圧巻だったのは、最新曲「エデンの花」。壮大に広がっていくサウンドを推進力にしながら、まるで心の深淵へと潜っていくようなファンタジックな旅へと誘われていく。その後の、夢うつつの境界がゆっくりと溶けていくかのようなドリーミーな体験を届ける「君はさせてくれる」も惚れ惚れするような名演だった。

 本編を締め括ったのは「太陽」。この星の原初的な風景を思い起こさせるような大らかなリズムに、DAIKI(Gt)によるギターサウンドが深く刻み込まれ、サビではミラーボールが回り、会場全体が果てしない祝祭感と高揚感で満たされていく。アンコールでは、最近彼らが愛聴しているというイギリスのアーティスト・Wunderhorseの「Leader Of The Pack」のカバーが日本語訳で届けられる特別な一幕も。岡崎を含めた3本のエレキギターが重なるハードロックテイストのサウンドは、この日いちばんの熱い気迫を放っていて、いつものライブハウス公演のような凄まじい熱気がビルボードライブの会場を満たしていく。

 この日の公演のラストを飾ったのは、「なにもしらない」。サビでは客席がライトによって眩く照らし出され、間奏では、それまでずっと客席に対して横を向くポジションで歌っていた雄貴がアコギを奏でながら観客と向き合い、コミュニケーションを重ねていく。その時の彼の充実感に満ちた表情が忘れられない。会場全体に美しい一体感が生まれた感動的なクライマックスののち、雄貴が「また会いましょう」と言葉を残し、メンバーたちはステージを去っていった。今回は東京と大阪の計2公演のみであったが、再びビルボードライブが実現することを期待したくなる、とても素晴らしい一夜だった。

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