藤井 風、RADWIMPS…サポートでも活躍 TAIKING、Suchmos休止の先で掴んだ新しい可能性
藤井 風やVaundyから広がるコミュニティ
ーーその一方で、藤井 風さんのツアーはどんな経験になりましたか?
TAIKING:最初は結構ビクビクしてました。自分のバンド以外でやったことがなかったから、「これで大丈夫なのかな?」って。でも「いいじゃん」って言ってくれて、そこからはどんどん馴染んでいったというか。風ちゃんに関しては、ツアー2本やって、スタジアムもあったりとかして、どんどんクルーになっていく感じがしたかな。風ちゃんは超音楽好きで、めちゃくちゃコアな音楽も知ってるし、好きなものが似てる感じがして。だから「この曲は次のツアーではこういうふうにやりたいんだよね」って言われたら、「なるほど」ってすぐにわかる。
――ジャズ、ソウル、R&Bなどのバックボーンがありつつ、それをちゃんとモダンなものに仕上げる、そういう感性や趣味の部分ではもともと通じる部分があったと。
TAIKING:そうやって風ちゃんとRADWIMPSのツアーをやって、そこからサポート業と自分のアーティスト活動の2軸でやってるわけですけど……でも、あまり「サポート」とは思ってないかもしれないですね。「サポートミュージシャンとしてお願いします」っていう連絡はいただくんですけど、サポートミュージシャンとして行く感じなのであれば、そもそも受けてないかもしれない。自分がやりたいと思ったものだけしかやってないから、あんまりサポートの感覚がないというか。
ー一音楽家として、「これ面白そうだな」っていうところに飛び込んでみている?
TAIKING:そうそう。でも音楽的にハマるかハマらないかはそこまで重要ではなくて、それこそRADWIMPSは最初からハマってたわけではなかったし。それでも引き受けた理由は、この人たちとやると今の自分にない何かが見えるかもなと思ったからで、それも動機として花丸だし。だからやっぱり、「何か面白そうなことがあるかも」っていうところでしかやってないかもしれないですね。
――現在はVaundyさんのツアーに参加中(取材は11月末)ですが、彼に対する印象はいかがですか?
TAIKING:バウくんはもともと隼太(SuchmosのHSU)がサポートをやってた時期があったから、ライブを観に行ったことがあって、そのとき楽屋で紹介してもらって。最初は「隼太をよろしくお願いします」みたいな感じだったんですけど(笑)、そしたらレコーディングで呼んでくれるようになったんです。スケジュールの兼ね合いでライブにはなかなか出られなかったんですけど、今回はスケジュールが合ったから、「やっとできるね」みたいな感じで。バウくんも本当に天才ですからね。アルバム(最新作『replica』)もぶっ飛んでるからなあ。ーー当然ですけど、藤井 風さんのバンドともRADWIMPSとも違いますよね。
TAIKING:バウくんのところは、ギターがhannaさん、ドラムがBoboさん、ベースがマーリン(・ケリー)さんで、すごいバンドなんですよね。トラ(代役エキストラ)NGみたいな感じだし、Boboさんはずっと喋ってるし(笑)。本当にバンドみたいな空気というか、家族感があるというか……そういうバンド感があるところを俺が選んでるような気もするし、たまたまそういう人たちに呼ばれるみたいなところもあるのかもしれない。
――レイジさんとかHSUさんとか、人を媒介にある種のコミュニティができて、信頼できる人同士が繋がることで、「こっちでもやってみてよ」みたいなことが起きて、それで少しずつ輪が広がるというか、そういうことが今はいろいろなところで起きているような気がします。藤井 風さんとVaundyさんもお互いの曲をカバーしたり、いい関係性ですしね。
TAIKING:初めてバウくんのサポートをしたのがライジング(『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2023 in EZO』)で、そこで俺が(藤井 風の)「何なんw」を弾くっていう(笑)。サポートをやるようになると、たまたまそこで知り合った人と仲良くなって、またそこからコミュニティが広がるみたいな感覚は確かにありますね。Yaffleはそうで、風ちゃんのツアーでバンマスをやってて、めちゃくちゃ話が合って。iriちゃんのプロデュースをYaffleがやっていて、そこから繋がって生まれたのがSexy Zoneの「Cream」っていう曲で、iriちゃんが曲を書いて、Yaffleがプロデュースして、俺がギターを弾くみたいな。それでiriちゃんのツアーにも呼んでもらったり、そうやって広がりが生まれていくのはすごく面白いですね。
――Vaundyさんのアルバム『replica』は35曲入りで、TAIKINGさんはその中の11曲でギターを弾いていますが、レコーディングはいかがでしたか?
TAIKING:バウくんのレコーディングは大きく2パターンあって、ひとつはバウくんの中ですでにイメージが固まってるものをそのまま弾くというか、清書する感じ。バウくんには「これ“清書”するんだったら、宅録とかでやった方が早いんじゃないの?」って言ったことがあるんですよ。仕事もらっといてアレなんですけど(笑)。でも「ここまでは決まってるフレーズなんだけど、その後の展開はタイキさん(TAIKING)に好きに弾いてもらいたい」みたいに言ってくれることもあって、それを弾いたら「それそれ!」みたいに言ってくれて。だからバウくんは……リーダーですね。
――「ZERO」みたいなノイジーなギターは久しぶりに弾いたんじゃないですか?
TAIKING:めっちゃ面白かったですよ。俺、最初音量を加減して、「これぐらい?」とか言ったら、「いやもっと」ってバウくんがアンプ置いてある部屋に入ってきて、つまみをバーっと上げて、「これで!」みたいな感じにして。「ここまでやっちゃっていいんだ」みたいな。ああいうサウンドでやったのって、Suchmosの「A.G.I.T.」とか「Indigo Blues」以来だと思うから、懐かしかったですね。自分のソロはどちらかと言うと歌モノの方向に行って、カッティングとかが多いから、「ファズとか別にいらねえ」みたいな感じになってたので(笑)。