二見颯一、セルフプロデュース手がける演歌第7世代 挑戦し続けたデビュー5周年を振り返る

挑戦続きの一年を経て、2024年は「進化の濃い年にしたい」

――ステージではピシッとしたスーツを着ることが多いと思いますが、家ではどんな感じですか?

二見:ゆったりした感じです。僕は『ポケモン』(ポケットモンスター)が好きなんですけど、先日「gelato pique」とポケモンがコラボしたルームウェアが出たんです。「gelato pique」は女性向けのブランドというイメージが強くて着たことがなかったのですが、メンズもあって。それで買うしかないと思って、買いました。もう手放せなくなりましたね、すごく肌に優しくて、あたたかくてフワフワで。最近は家でそれしか着ていないです(笑)。僕はカビゴンの柄を着ています。ファンの方からは白いバスローブを着ていそうと言われるんですが、全然そんなことはなくて、前までは中高生の時のジャージを着ていましたし。

――先ほども衣装のお話にもあがった「罪の恋」は、簡単に言えば不倫の歌で。若い男性が年上の人妻に恋をしてのめり込む歌です。

二見:タイトルに「罪」とあるのでそういう歌ではあるんですけど、映画やドラマでも同じような題材の作品はたくさんありますから、そういうもののひとつとして聴いていただけたらと思っています。そういった映画やドラマを観て芽生える感情と同じような気持ちが、この歌を聴いて湧いてくれたらうれしいです。歌っているのは僕本人ですけど、自分自身にはそんな経験はまったくないので、この曲を歌うにあたってはいろいろな作品からインスピレーションをいただきました。

二見颯一「罪の恋」MUSIC VIDEO

――映画やドラマをたくさん観たのですか?

二見:映画やドラマもそうなんですが、演歌の楽曲にはそういったテーマの曲が本当に数多くあるので、僕は演歌をたくさん聴きました。あと「罪の恋」の特徴は、主人公が若い男性であるということ。女性は大人ですけど、主人公はまだ若くてきっと僕とあまり変わらない年齢じゃないかと思うんです。ふたりともが大人ではないところがポイントで、主人公の若さゆえの勢いが生み出す危うさが、この曲の魅力なんじゃないかと思います。ある程度の理性がある人なら想いも止められると思うのですが、それでも止まらないくらいふたりの愛が強かったのかもしれないし、主人公の若さゆえの勢いに押し切られたのかもしれないし。そこがいちばんの聴きどころなので、聴いた方も想像しながら楽しんでもらえたらと思いますね。

――「罪の恋」ということで、よく「罪なやつ」とか「罪な味」とか言ったりしますが、やってはいけないと思いながらついついやってしまう深夜のラーメンのような、「これは罪だな……」と思うものはありますか?

二見:次の日が朝早くても、ついついゲームをしてしまう時があります(笑)。大学時代は、オンラインFPSで撃ち合っていました。最近は、それこそ『ポケモン』や平和なゲームばかりですね。

――趣味が多いと忙しいですよね。

二見:仕事が増えてなかなか時間がなくなるにつれて、趣味が増えていったような気がします。前はやらなかった料理もやるようになりましたし、YouTubeも始めたので配信で使う機材を集めるのも好きですし。仕事が増えたら趣味も増えたというのは、三山ひろしさんもおっしゃっていました。三山さんは趣味が何十個とあって、カブトムシや盆栽を育てたり、もちろんけん玉も。仕事の合間のわずかな時間を縫って、仕事とは関係ないことに没頭するのが息抜きや癒しになっていると思います。

――カップリング曲の「さよならの街角」は、メランコリックなギターが印象的なムード歌謡の楽曲です。

二見:「さよならの街角」は歌詞が女性視点で、そういう歌を歌うのは初めてでした。もともとムード歌謡が好きで、家で聴く音楽は民謡かムード歌謡ばかりなんです。東京ロマンチカさん、マヒナスターズさん、ハッピー&ブルー、サザンクロスといったグループサウンズ系のサウンド感で、コーラスがしっかりあるムード歌謡が好きですね。

――それで「さよならの街角」が作られたのですか?

二見:「さよならの街角」の作詞家である森坂とも先生とはデビュー前から面識があって、「颯ちゃんは絶対ムード歌謡が合う声だ」とおっしゃってくださっていて。2年前にリリースした『夢情の酒』のカップリング曲「ごめんよ」で、森坂先生の作詞で初めてムード歌謡を歌ったんです。カップリング曲にも関わらずファンの方からの反響も大きくて、カラオケ『DAM』の僕の曲のランキングで1位になったほどです。それもあって、新たなムード歌謡を出そうということで書いていただきました。

 夏に『やまびこベスト』というベスト盤をリリースした時に、ボーナストラックとして収録する予定だったのですが、その時は僕にとって新しい一面を聴いてもらおうということで、「秋時雨(あきしぐれ)」というバラードを収録しました。それで、あたためていた曲です。

――出て行く男を見送る女性の気持ちを歌っています。これも過去の演歌からインスピレーションを?

二見:そうですね。このふたりは僕とも年齢も近い感じがして、若いふたりの恋の終わりというイメージだったので、自分の声で自然体で歌わせていただいています。

――来年はどんな活動をしていきたいですか?

二見:5周年の今年に挑戦したことがすごく多くて。コンサートの内容もがらりと変えて、シティポップのカバーを歌ったり、長編歌謡浪曲を歌ったり、新しいことをたくさんやったのですが、初めてだったので不完全だったことも多く、改善点をたくさん拾えた一年だったと思います。来年はしっかり改善して、よりよいものをお届けしていきたいです。改善点を修正するスピードも速くなったと思っているので、進化の濃い年にしたいです。

――ライブハウスツアーもあるそうですね。

二見:はい。それも今年から始めたことで、ライブをやってこそ二見颯一の声の魅力がいちばん伝わると思ったので始めました。来年はもっと数を増やしたいですね。

――演歌/歌謡曲の方がライブハウスでやるのは珍しいですよね。

二見:はい。あの近さで生バンドで歌えるのが、自分にはすごく合っている気がします。それはきっと学生時代にやっていたバンドの楽しさを経験しているからで、あの楽しさを演歌や民謡でできるのがすごく嬉しいですね。それに、ライブハウスではジャズアレンジやカンツォーネを取り入れたりもしているので、いろいろなジャンルを歌うにはライブハウスが打ってつけかなと思っています。そういった他の演歌歌手の方がやっていないことをやって、これを“二見颯一”のブランドとして広げていけたらと考えています。

――最後に、やまびこボイスについてお聞かせください。

二見:僕の実家は本当に山奥にあって、まわりに他の家もないから外で歌っていて。少し歩いたところに崖があって、向かいの山に向かって毎日歌っていました。毎日そうしていると、季節や天候、湿度や時間帯によって響き方が変わることに気づいたんです。冬はすごく響くのに夏は響かなかったり。「なんでだろう?」と子どもの頃は漠然と思っていたのですが、中学や高校の物理で波長というものを習った時、物理法則を自分の歌に活かせるかもしれないと思ったんです。そう思いながら毎日山に向かって歌って、ある時あまり響かない夏なのに声がピーンと響いた感覚があって「これだ!」と思って、その感覚を忘れないように歌っていたら、崖と向かいの山のあいだの空間に見えない波長の穴があって、自分の声がその穴をくぐり抜けて山に向かって響く感覚を得たんです。

 それを毎日練習していたら、季節とか天候には関係なく声が響くように自分の声をチューニングできるようになりました。ライブの会場によって空間の響き方は違うんですけど、どんな会場であっても同じように響くようにチューニングできるんです。どこで聴いても同じ響きがあるということから“やまびこボイス”とディレクターさんが付けてくださいました。

――『鬼滅の刃』の炭治郎の「隙の糸」みたいですね。

二見:イメージ的には、すごくそれに近い感覚だと思います(笑)。初めての会場では、最初にマイクを通さず生声で歌って、その会場の隙の糸を探るんです。でも、僕の声はまだまだ進化する予感がします。というのも、少し前に水森英夫先生と電話でお話をした時に、「二見颯一は今年やっと身長が止まったから、声帯が固まってくるのはこれからです」と言ってくださって。

――まだ身長が伸びていたんですか!

二見:伸びていたんです。プロフィールでは176センチですが、今は179か180センチに届くくらいです(笑)。水森先生曰く、声帯は身長に比例して伸びるから、身長が止まってやっと声帯が固まるそうで。つまり、今まではまだ成長段階だったから、ここからが本番だという。

――やまびこボイスのテクニックがあって、声帯が完成した日には、ものすごい歌手になりそうですね。

二見:いろんな会場で歌って、いろんな人に声を届けて、そういうものがしっかり出来上がった暁には、年末の『NHK紅白歌合戦』などにも挑戦したいです。すぐにという話ではなく、しっかり準備を重ねて段階を経て登っていくのが、二見颯一らしいかなと思います。

『罪の恋』

■リリース情報
『罪の恋』
発売中
配信URL:https://lnk.to/tsuminokoi

CRCN-8613/定価 1,500円(税抜価格 1,364円)

<収録曲>
01. 罪の恋(作詩:麻こよみ/作曲:水森英夫/編曲:石倉重信)
02. さよならの街角(作詩:森坂とも/作曲:水森英夫/編曲:石倉重信)
03. 罪の恋(オリジナル・カラオケ)
04. さよならの街角(オリジナル・カラオケ)
05. 罪の恋(一般用カラオケ・半音下げ)
06. さよならの街角(一般用カラオケ・半音下げ)

■公演情報
『我ら演歌第7世代!スペシャルコンサート2024』
出演:青山 新、辰巳ゆうと、新浜レオン、二見颯一、彩青

2024/01/30(火)OPEN 14:00/START 14:30
会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

2024/02/23(金)OPEN 14:00/START 14:30
会場:神戸国際会館こくさいホール

『我ら演歌第7世代!春一番スペシャルコンサート』
2024/03/15(金)OPEN 13:00/START 14:00
会場:日本橋三井ホール

二見颯一 オフィシャルサイト:http://bigworld.la.coocan.jp/tal4_futami.html
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCtyckgoaOUloMfpnCKKW4Gg
X(旧Twitter):https://twitter.com/futami_so1

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