ミセス 大森元貴による絵本が重版 米津玄師、SHISHAMO 宮崎朝子…絵や文章でも実感する才能
クリープハイプの尾崎世界観(Vo/Gt)の文壇での活躍も忘れてはならない。2016年に第1作となる小説『祐介』を出版。その後もエッセイ集や作家・千早茜との共作小説『犬も食わない』など精力的に作品を発表し、2021年刊行の小説『母影』は第164回芥川賞にもノミネートされた。
クリープハイプの音楽で表現されるままならない感情の延長のように、文章においても苦しみや辛さが巧みな筆致で描かれている。アプローチを変えて、心の奥底にあるものを吐き出していく姿勢に表現者としての生き様を感じ取れる。
また文章で特異な表現を行っているのはASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文(Vo/Gt)。最新作『朝からロック』などのエッセイ集もあるが一風変わった作品も多い。
例えば宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」「よだかの星」「双子の星」を新訳し一冊にまとめた『銀河鉄道の星』や、毎回テーマとなっている事物と日本の歴史について想像を織り交ぜながら架空の物語を生み出した妄想歴史小説『YOROZU〜妄想の民俗史〜』などは、ロックミュージシャンのアウトプットとしては奇抜だろう。しかしそのどれもが過去と未来を繋ぎ合わせる意志を感じ取れるもので、バンドの根底にあるスタンスと共振していると言えるかもしれない。
絵や文章といった音楽の外にある表現からもそのアーティストの姿を読み解けるのがこうしたアウトプットの面白い点だ。今後も新たな才能を発揮し得るミュージシャンの登場が楽しみでならない。
※1:https://www.billboard-japan.com/special/detail/2134
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