大神ミオ、『Night walk』で“夜”をコンセプトに描いた想い 音楽活動を始めた理由や制作への意欲

ずっと歌の武者修行をしているような状態だった

サヨナラは、まだ / 大神ミオ (Original)

ーー今回のアルバムの収録曲のうち、「サヨナラは、まだ」と「夜光通信」の2曲は2022年12月にリリースされましたが、その頃からアルバムの構想はあったのですか?

大神:実はアルバムの話は去年の春ごろから進めていて、その2曲もアルバムに収録するための楽曲として制作しました。最初に出来上がったのは「夜明けのメロウ」だったんですけど、それは心にビビッときたので公開せずに温存して、アニメーションMVを作らせていただいたうえで今年の8月に発表しました。

夜明けのメロウ / 大神ミオ (Original)

ーーそうだったんですね。では、せっかくなので楽曲が出来上がった順に詳しくお聞かせください。「夜明けのメロウ」はどんなイメージで制作したのでしょうか。

大神:とにかくお洒落でメロウな楽曲が作りたい、ということで集めてもらった楽曲のなかから、この楽曲がすごく光っていたので選ばせていただきました。自分の中のお洒落感を超えた感覚があったので、聴いた瞬間に「この曲しかない!」と思いましたし、本当はアルバムタイトルも「夜明けのメロウ」にしたいくらいだったんですけど、Blue Journey(ホロライブのユニット)のアルバムタイトルが『夜明けのうた』だったので被ると思ってやめました(笑)。歌唱の方向性としても、それまでは水樹奈々さんのような勢いがある歌い方だったんですけど、自分としては新しい大神ミオを見せたくて挑戦した楽曲になります。

ーー憂いやしっとり感がありながらも、クールな歌い口がとてもかっこいいです。今回のアルバムでは楽曲によって歌い方も様々ですが、この楽曲での挑戦がある種の指針になったのでは?

大神:それはかなりあります。この1年間を通してアルバムのRecをしていたので、ずっと歌の武者修行をしているような状態だったんですけど、「夜明けのメロウ」を皮切りに今まで歌ったことのないタイプのオリジナル楽曲にどんどん挑戦していくことで、自分の歌がブラッシュアップされていく感覚があって。最後のレコーディングを歌い終えたときは、「全曲もう1回歌い直したいな」と思ったくらいです(笑)。自分の歌い方のアプローチの幅に気づくことができました。

夜光通信 / 大神ミオ (Original)

ーーその後に制作されたのが、ネオンライト煌めく夜の景色が浮かぶグルーヴィーな楽曲「サヨナラは、まだ」と、堀江晶太さんが作詞・作曲・編曲を手掛けたエモーショナルなアップナンバー「夜光通信」の2曲。

大神:「サヨナラは、まだ」はコンペで選んで、「夜光通信」は自分から堀江さんを指名させていただきました。堀江さんが作った「永遠の銀」(「Caligula2-カリギュラ2-」のキャラクターソング)が好きで、その楽曲のような追い詰められている雰囲気があってBPMがかなり速いものを作っていただきたくて。それに加えて“夜”をテーマにした内容であること、「“さよならの曲”にしたい」ということをお伝えしました。

ーー“さよならの曲”というのは?

大神:「もしいなくなったとしても悲しくないよ」ということをみんなに伝えるような、どこか儚くて消えちゃいそうな感じの曲にしたかったんです。別に自分が今の活動を辞めるというわけでは全然ないんですけど(笑)。その結果、この「夜光通信」は、例え何光年離れた宇宙でも通信は繋がっていることを描いた楽曲になりました。

ーー距離を超えた繋がりがロマンチックに表現されていますよね。それと〈ふんわり 君を 抱きしめてあげるからね 泣かないで〉といったフレーズからは優しさも感じました。

大神:多分、そこは堀江さんが自分のキャラクター性を汲んでくださったところで、おそらく大神ミオの“母性”というイメージを楽曲に織り込んでくださったんだと思います。今回のアルバムは全体的に語り掛けるような歌詞が多いんですけど、それは作家さんたちが自分の姿勢を汲んでくださったんだと思います。

ーーこの3曲に続いては、どんな順番で楽曲が出来ていったのでしょうか。

大神:細かい順番は曖昧ですけど、「カメリア」「溶けない結晶」「深く紺になる」が第二陣として出来上がっていきました。この3曲に関しては自分から作詞・作曲の方を指定させていただいて。

カメリア / 大神ミオ (Original)

ーー「カメリア」は、今井美樹さんや一青窈さんらへの楽曲提供でも知られる、シンガーソングライターの川江美奈子さんが作詞・作曲されていますね。

大神:川江さんの書かれた「桜色舞うころ」(中島美嘉)がすごく好きなので、ダメもとでお願いしてみたら引き受けてくださって、ビックリしました。川江さんには「白い光の中で歌っているような優しい感じのバラード」というお話をさせていただいて。それと、以前に『Bloom,』というライブ(2021年12月に開催された『hololive IDOL PROJECT 1st Live.「Bloom,」』)で各タレントのイメージフラワーを決めたことがあって、自分は白い椿だったので、その要素も楽曲の中に織り込んでいただけるようにお願いしました。

ーーそれで椿を意味する「カメリア」というタイトルになったんですね。

大神:それとこの楽曲のコーラス部分は、もともとは自分のメインの歌を素材にして作るという話だったんですけど、フタを開けてみたら完成版のコーラスは川江さんが歌ってくださっていて、すごく感動しました。なんでもミックスしてみたら、やっぱりコーラスは生の歌で入れたほうがいいという話になって、川江さんが自らコーラスを担当してくださったというお話で。すごく温かいバラードになったので、心が疲れているときに聴いてもらえると嬉しいです。

ーー「溶けない結晶」はボカロPのMIMIさんが提供された、アルバムの締めを飾る切なくも優しいバラード。

大神:MIMIさんの作るピアノバラードの雰囲気が好きなのでお願いしました。めちゃめちゃ高音を使う楽曲で、実は最初、今よりもキーが2つも上だったんです(笑)。さすがにこれは声が出ないということで、キーを下げていただいたのですが、それでもギリギリ出るかどうか、という感じで歌わせていただきました。幻想的で聴いていると浄化されそうな感じで、アルバムの最後の楽曲として、儚さのある終わり方がいい感じになったと思います。

ーー「深く紺になる」はクールな疾走感とレトロゲームっぽいシンセの音色の扱いが印象的な楽曲です。

大神:「夜明けのメロウ」を作ってくださった如月結愛さんにお願いして、もう1曲作っていただきました。「高速道路で車を運転しているときに、夜景を見ながら聴きたい楽曲にしてください」というイメージをお伝えして。まさにそういう雰囲気のかっこ良くて疾走感のある楽曲になりました。この楽曲はレコーディング作業の中盤くらいに歌ったのですが、自分がどう声を出して歌えば大神ミオらしいか模索していた時期だったんです。なので思い切りかっこよさに振り切って歌いました。何回も聴いているとハマるスルメ曲になったと思います。

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