ACIDMAN、『SAI 2022』映像作品上映会で振り返った祝福の2日間「すごいフェスになったと思う」

 『SAI』が初開催されたのは、ACIDMANが結成20周年を迎えた2017年だった。2022年は2度目の開催で、バンド結成25周年にあたる年。次回は結成30周年での開催かと期待が高まるが、大木は「またやれたら奇跡だと思っている」という。「フェスってそんなに甘くないし。開催するためには、バンドも活動を続けていかなきゃいけないし」「僕たちだけでできるものでもないから。スタッフにもフルパワーで頑張ってもらったので」と、当たり前に開催できるものでないものであると話す。

 さらに、『SAI 2022』は「コロナ禍じゃなかったら『やる』って言わなかったかもしれない」とコメント。「エンターテインメントが失われてライブやフェスがなくなって、このままじゃダメだって思った」「よく決断したと思うし、よくやり切れたなって思う」と振り返った。実際は2日間で約4万人を動員し大成功を収めたが、当時はまだ先の見えないなか、どれだけの強い覚悟を持って開催を決めたのかが伝わってくる。大木は続けて、「(『京都大作戦』を毎年主催している)10-FEETはすごい(笑)」と笑いつつ、「またチャンスがあればやりたいと思っています」と語った。

 最後に、『ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」 Live & Documentary FILM』のリリースに関して、佐藤は「何度もDVDで繰り返し観てください!」とコメント。当日、フードエリアで自身がプロデュースするラーメン屋「麺屋一悟」を出店していた浦山は、「DAY2は『麺屋一悟』があまり映っていない」と会場の笑いを誘いつつ、「DAY1も観てもらいたいと思っています!」と呼びかけた。大木も「すごいフェスになったと思います。僕たちだけじゃなくて、いろいろなスタッフがいっぱい時間をかけて作ったものなので。……それでも失敗するフェスってあるんですよ」「いちばんよかったのは、皆さんが来てくれたこと。苦しいことを乗り越えて来てくれたことが、本当に宝物になりました」と感謝の気持ちを表し、先行上映会は終幕となった。

 『SAI 2022』は、当時はまだマスク着用や声出しの制限があるなか、「ライブや音楽がなくならないように」という想いで開催された奇跡のようなフェスだ。作品には出演者を袖から送り出し、パフォーマンス後にグータッチを交わす様子など、映像になったからこそ見ることのできる3人の姿が収められており、彼らのあたたかさやフェスに懸ける情熱を感じ、胸が熱くなった。出演バンドからACIDMANへのコメントや楽屋での和やかな会話も目にすることができるので、ACIDMANのファンはもちろん、出演バンドのファンも楽しめるだろう。訪れられなかった人は当日の様子を体感するために、訪れた人は何度でもじっくり追体験できるように、本作品を手に取ってみてほしい。

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