2023.09.08 18:00

緑黄色社会が彩る『真夏のシンデレラ』のクライマックス　大切な人への想いに寄り添い続ける“季節を超えた楽曲”に

文＝松本侃士

　歌詞を見ると、ひと夏の恋をテーマにした歌ではあるが、サビの終わりの一節〈届けどうかこのまま熱さが醒めないように／やがて迷子の夜すら超えてゆく〉に託された願いや決意こそが同曲の真髄であることが分かる。この曲も「マジックアワー」と同じように、大切な人への想いや関係性が季節を超えて続いていくことを願う歌であり、物語が進んでいくほど、つまり、夏が終わりに近づいていくほど、同曲に込められた切実さは増していく。9月4日に放送された9話では、夏海と健人たちが緑黄色社会（メンバーが本人役で出演）のライブを観るシーンが描かれた。劇中の季節も、まさに8月が終わり9月に差し掛かったタイミングで、そうした夏が終わりに向かっていく時期に、夏海や健人がライブで「サマータイムシンデレラ」を聴きながら何を思っていたのかと想像すると、胸が締めつけられる。ドラマの主題歌を登場人物たちと共に味わうという非常に粋な展開が盛り込まれた最新話であった。

緑黄色社会『サマータイムシンデレラ』Official Video / Ryokuoushoku Shakai – Summer Time Cinderella

　いよいよ物語はクライマックスへと向かっていき、10話の予告を観ると、夏海と健人のひと夏の恋に終わりが迫ろうとしていることが分かる。2人は、いくつもの障壁を越えて、また、ひと夏という季節を超えて、永遠の関係性を実現することができるのか。残りの数話でどのような展開が待ち受けているかはまだ分からないけれど、夏海と健人の想いに、そして視聴者の想いに緑黄色社会の音楽が寄り添い続けてくれることだけは間違いないと思う。