Instagram新機能での共有、ミュージックキーホルダーで“手渡し”も 広がる音楽シェア形態の可能性

 好きな音楽を誰かと共有することは、音楽好きにとっての喜びの一つだろう。過去を振り返れば、CDやカセットの貸し借りであったりオリジナルのMDを編集してプレゼントしたり、といった手渡しでのシェアしか選択肢がなかった。その後、YouTubeの登場によって音楽を以前より気軽に紹介できるようになったが、ここ10年でさらに音楽シェアの可能性は広がりつつある。

 音楽シェアの可能性を考える上で忘れてはいけないのが、SNSと音楽サブスクリプションサービスの台頭だろう。リスナーはサブスクで配信されている楽曲のリンクをSNSに貼り、身近なコミュニティに留まらず不特定多数のユーザーに音楽をレコメンドできる時代が訪れたのだ。コミュニケーションツールであると同時に、リスナーが主体となって好きな音楽を共有できるサービスが求心力を持ち始めたのが2010年代初頭~中盤の流れと言える。

 こうした気軽な共有ツールの台頭によってバズやバイラルヒットという概念も生まれ、広くシェアされること、そして再生回数の増加が楽曲のヒットへ直結するようになる。その流れを加速させたのが、TikTokやInstagramのリール動画、YouTube Shortsといった2010年代後半~2020年代の動画系SNSだろう。ほんの数秒で聴き手を惹きつけ“共有したい”という欲求をくすぐるフックを取り入れる、というヒットソングの法則を生み出すほどの現象へと繋がった。

 特にTikTokの影響力は甚大だ。真似したくなるようなダンスやキャッチーな楽曲はインフルエンサーを介してすぐさま一般ユーザーの間でも共有されていく。また、一部のコミュニティでブームになっていた楽曲が、思いがけず広がっていく可能性もある。好きな音楽をシェアする行動そのものが流行を巻き起こすようになったのだ。CDの売上チャートなど、従来のヒットの指標を根本的に変えたのも“シェアする行動”それ自体であると言えるだろう。

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