TWICEの日本人メンバーからなるMISAMOのセールスポイントは? 楽曲には3人の歩みや立ち位置に通じるメッセージも
グローバルな人気を誇るガールズグループとして知られるTWICEの日本人メンバー、MINA(ミナ)&SANA(サナ)&MOMO(モモ)が結成したユニット・MISAMO(ミサモ)が7月26日、日本1stミニアルバム『Masterpiece』をリリースする。
このユニットの誕生がアナウンスされたのは今年2月上旬のこと。直前に3人の連名で発表したシングルでドラマ『リエゾン-こどものこころ診療所-』(テレビ朝日系)挿入歌の「Bouquet」は“名刺代わりの1曲”といったもので、温かく穏やかなサウンドに乗せてたおやかに歌う姿が印象的だった。
「Bouquet」の歌詞はリスナーを励ますだけでなく、3人の歩みと今の立ち位置に共感してくれる人たちへのメッセージも汲み取れる。特に〈このままでいいの/私のままでいいの/だから無理はしないよ/ダメな自分も好きになれる日まで〉や〈つまずいた石を並べて/磨こう 光るよ/輝く 宝石(いし)になるよ〉といったフレーズは、K-POPスターを夢見て日々がんばっている若者たちに向けているのかもしれない。
以前、筆者はK-POPシーンでプロとして活躍できる人材を育成する日本のダンススクールを取材したことがある。その際に関係者に聞いた話では「通っている10代の多くがTWICEの日本人メンバーに憧れを抱いている」そうだ。努力すればきっとスターになれる――。K-POPアイドルの卵たちにとってミナ、サナ、モモの“これまで”は励みになり、“これから”は良いお手本になるのだろう。
「Bouquet」が3人の“これまで”をベースにしたものとするならば、待望のミニアルバム『Masterpiece』は“これから”に重きを置いた作品になるようだ。先日公開されたリード曲「Do not touch」はTWICEとは異なる魅力を鮮明に打ち出しており、今回のアルバムの仕上がりに期待せざるを得ない。
まず新鮮に感じたのが、同曲におけるメンバーの歌唱だ。TWICEでは主にCHAEYOUNG(チェヨン)やDAHYUN(ダヒョン)が担当するラップをMISAMOではモモが担当。彼女のキレのいいクールなフロウは、このユニットの大きな持ち味のひとつだと確信させる。そしてミナ、サナの歌声はTWICEのときよりも艶やかでコクがあり、こちらもインパクトは大きい。以上のような変化は大人っぽさを演出した結果だと推測するが、新しい一面を見せるという点では十分に成功していると思う。
サウンドカラーも見逃せない。ギターの乾いた音色や幻想的なムードを盛り上げる軽やかなビートは、TWICEの一連のヒットソングとは違った味わいがある。“名画や宝石のように鑑賞できても触れることはできない私。好きならそのときが来るまで待って”と、恋の駆け引きを描いた歌詞も同様で、この3人が伝えたい世界観がよく理解できる内容だ。
同曲のミュージックビデオにおけるパフォーマンスも興味深い。ノリの良さを重視しがちな従来のダンスポップの美学から距離を置き、手や足の細やかな動きで歌詞の意味を表現したようだが、そのおかげで楽曲の独自性が高まったのではないだろうか。