chelmico、秘蔵写真やトークも交えて振り返った二人の歴史 笑いと涙に包まれた『ともだち10周年ライブ』東京公演

 RachelとMamikoからなるラップユニット・chelmicoが、友達になって10年目を祝し東京と大阪で、その名も『ともだち10周年ライブ』を開催した。

 筆者が観たのは7月9日東京・EX THEATER ROPPONGIにて開催された初日の公演。先日、リアルサウンドで行った彼女たちへのインタビューでも予告してくれたように、このライブ限定で公開された貴重なVTRや、お笑いトリオ・トンツカタンの森本晋太郎を交えたトークコーナー、そして本編のライブによって構成された、Rachelいわく「今、二人がやりたいことを全部詰め込んだ理想のイベント」であり、Mamikoいわく「chelmicoの歴史を振り返る時間が多くある、私たちのことをより知ってもらえる内容」となっていた。

 なお、ライブの2日前の七夕には、7年前に制作したものの、SoundCloudでしか発表できていなかった幻のシングル「JUNEJULY」を、2023年のupdate version「JUNEJULY♡2023」としてリリースした。

 定刻となり、まずはこの日のために制作したVTRが流される。RachelとMamiko、それぞれ個別に撮影されたもので、2人のスマホに眠る過去の写真を掘り起こしながら、その時のエピソードを語っていく内容。10年前に共通の友人に紹介され、初めて2人が西日暮里のマクドナルドで出会ったときの、超貴重な写真がステージ後方のスクリーンに映し出されると、フロアからはどよめきが起きた。以降も「chelmico」として初めてスタジオに入った時の動画やツアーの時のオフショット、初めてRachelが金髪にした時のスナップなど、本邦初公開の写真や動画が次々と飛び出した。

 別々に撮影しているにも関わらず、初対面の時の印象(「ちょっと変わっていて、マイペースな子」)や、街を歩きながら見ていたもの(散歩中の犬)など、ところどころで全く同じ「答え」を言うところに、2人の仲良しっぷりが垣間見えて微笑ましかった。

 VTRが終わり、エミネムの「Lose Yourself」をラップしながら登場したのはトンツカタンの森本晋太郎。遅れて登場したRachelとMamikoに、「chelmicoのライブ目当てで来たお客さんに、森本のエミネムを聴かせるっておかしいでしょ」とツッコミを入れると、会場からは大きな笑いが起きた。

 プライベートでも親交の深い森本を司会に迎えたこのトークコーナーでは、chelmicoにゆかりの深い人たちから事前にもらったアンケートの回答を発表。chelmicoのブレーンの一人であるパーシーことTOSHIKI HAYASHI(%C)はもちろん、お笑い芸人・岡田康太や音楽プロデューサー・ESME MORI、パブリック娘。の齋藤辰也らが、「初めてchelmicoの2人と出会った時の印象」や「2人の好きなところ / 「ここは直した方がいい」と思うところ」など、さまざまな質問に答えている。中でも、いつも寡黙なパーシーによる熱いメッセージが感動的で、これには2人が涙を流す一幕もあった。

 トークコーナーが終わり、再びVTRが流れ出す。「あなたにとって『親友』とは?」という質問に、2人揃って「もし、相手が何かやらかしたときに一緒にカバーできる、何があっても絶対に信じて味方でいられるのが『親友』だと思う」と答えていたのも印象的だった。

 後半は、満を持してのライブパフォーマンス。お揃いの紫の「オールインワン」から、Rachelは白いTシャツに黒のオーバーオール、Mamikoは黒いTシャツに白のオーバーオールという姿で現れた2人。パーシーをDJに従え、まずはリリースしたばかりの新曲「JUNEJULY♡2023」から。Rachelが「今日は『ともだち10周年』だから、みんなでお祝いしてね!」と呼びかけると、フロアからは大きな歓声と拍手が巻き起こった。

 続く「OK, Cheers!」は、2018年にリリースされたメジャーデビューアルバム『POWER』からの楽曲。軽快なモータウンビートに乗って、友人の結婚をお祝いするポップチューンだが、この流れで聴くとこの日のための「アニバーサリーソング」のようにも聞こえてくる。

「前半、結構しゃべったから後半はツメツメでいくよ!」

 Rachelがそう宣言したように、この日のライブは1~2コーラス分のショートバージョンを、メドレーのようにほぼノンストップでつなげていくというもの。セットリストも、新曲や最新アルバム『gokigen』からはもちろんだが、2016年のデビューアルバム『chelmico』からの楽曲もたっぷり盛り込んだ、古参のファンにとっても嬉しい内容だ。「Summer Holiday」や「ラビリンス'97」、「Oh, Baby!」などのイントロが流れた途端、「おお!」という歓喜の声が上がっていたのが印象的だった。

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