THE ALFEE、“声出し解禁”ライブで交差した三位一体の歌声とファンの大歓声 夏イベントへの期待に胸膨らませた最新ツアー
会場中にアンコールの“声”が鳴り響く中、観客は2022年のツアーから導入された、鳴り物グッズの準備に。2022年に発売されたブルーのライト「ミカエルの剣」に続き、このツアーから販売されたピンクのライト「アクエリアスの涙」が客席に次々に点灯し始める。ブルーとピンクのライトが揺れる客席の景色が美しい。客電が落ち、ほどなくTHE ALFEEの3人が再登場し、3声のコーラスが堪能できるThree Dog Nightのカバー「It’s For You」が始まる。THE ALFEEのライブ参加歴が長いファンなら「この曲が演奏されるということは、次はこれだ!」と予想できる「晩歌」へ。前日のこの位置のセットリストは「暁のパラダイスロード」。どちらも「メリーアン」でのブレイク直前の、ライブで盛り上がるキャッチーなナンバーだ。演奏が終わるや否や明るいナンバーが流れ、メンバーが一旦ステージの袖に急ぎ、戻って来たときはネオンカラーのコスチューム姿。「アクエリアスの剣」を両手に持ち激しく振ってそろいのポーズを取る“ヲタ芸”で盛り上げる。1980年代のTHE ALFEEのラジオから生まれた、まさるの「ま」、たかみーの「た」さかざきの「さき」による「またさきトリオ」が、50年前に結成されたアイドルグループとしてこのツアーで復活。またさきトリオの「乗せる」「埋める」「振りかける」の薄毛防止三段活用ソングに、村田英雄、ドラえもんのモノマネ、内山田洋とクール・ファイブの「そして、神戸」から、かぐや姫の「うちのお父さん」、そしてTHE ALFEEのデビュー曲「夏しぐれ」のB面、桜井が艶やかに歌う「危険なリンゴ」へ続く。しばしステージを賑わせて、「バイバイ」と登場のときのナンバーをバックにステージを去る。
またさきトリオが去るとステージは一転。美しいピアノ音で「星空のディスタンス」のオープニングが流れ、高見沢のエンジェルギターが点灯し、ブルーの照明の中に美しく輝く。一斉にあがるピンクとブルーのライト。やはりこの曲の客席との一体感はすごい。サポートメンバーの吉田太郎(Dr)とただすけ(Key)が紹介され、客席の照明がついたまま「結成50周年、WE ARE THE ALFEE」の高見沢のかけ声と共に「今年第17回目の“みんな大好き”『SWEAT & TEARS』」へ。客席には銀テープが放たれる。ゴジラギターを手に左右に移動しながらボーカルを取る高見沢、坂崎、桜井も演奏しながらステージ左右に動き、ラストは3人揃ってのヘッドバンキング。客席のボルテージは最高潮に達したところで、間髪入れずに照明がイエローに変わり、これも“みんな大好き”であろう「恋人になりたい」に突入。ボーカルを取る坂崎に向け、1コーラス終わったところで客席からは お約束の「幸ちゃん!」コールが。コロナ禍の3年間、封印されていた声援だけに待ちに待った瞬間に違いない。終盤のここにきて、客席のボルテージはもう一段階アップ。熱い演奏が終わり、讃美歌のSEが流れる中、ステージの5人が並んで頭を下げ、手を振りながらステージを後にした。
しばしの間をおいて、2度目のアンコールに応え、メンバーがステージに。「僕らは本当に幸せ者です。できるならこの夏、いや必ずこの夏、絶対この夏、横浜の会場で会いましょう」と7月29日・30日の2日間、横浜アリーナで開催される夏のイベント『THE ALFEE 2023 Summer Genesis of New World 風の時代★夏』での再会を約束する。そして坂崎のアコースティックギターの音色が美しく響く1982年のアルバム『doubt,』バージョンの「See You Again」が始まると、客席からはため息がもれる。曲後半は、客席からの「See You Again」のフレーズの美しい大合唱が響き渡り、メンバーもその声に耳を澄まし聴きほれていた。「Thank You Tokyo! See You Again!」言葉を噛みしめるように高見沢がシャウトする。3人は固く肩を組み客席に深く頭を下げて、大きく手を振りステージを後にした。終演のアナウンスが流れると、会場からは再び大きな拍手が。そして、客席のどこからともなく始まった恒例の三本締めから万歳三唱。久しぶりにTHE ALFEEのライブ恒例のあたたかな空気が戻って来たことを感じたライブだった。
2023年8月、デビュー50年目に突入するTHE ALFEE。このタイミングで、彼らの主戦場であるライブに“日常”が戻って来たことは本当に感慨深い。THE ALFEEの楽曲は、“今”を通して普遍的なものを歌っている。だからこそいろいろな年代の人の心に響くし、聴く時代によって曲の感じ方も違ってくる。私はこのツアーのセットリストでは、リリース時には感じなかった感情が湧きあがった「GLORIOUS」が沁みた。小学生のとき初めて買ったアルバムは『doubt,』だったが、このアルバムの1曲目である「See You Again」を、夏のイベントに期待を馳せる今日ほどアグレッシブな気持ちで聴いたことはなかった。曲が持つドラマ性が聴く人それぞれの“今”に寄り添い、毎回違う感動をくれるのがTHE ALFEEのライブなのだ。「もうすぐ、また会える」。会場を埋め尽くした観客一人ひとりが、夏のイベントへの思いを胸に会場を後にしたことだろう。
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