ゆいにしお、会社員経験があるからこそ描ける“社会人女子の夏” 同世代の共感集める音楽が生まれるまで

 ゆいにしおが、メジャーデビュー初のシングル『ワークライフアイランド』をリリースした。これまで20代女性の心境を歌い上げてきた彼女が、「社会人女子の夏」をテーマに今作を制作。キラキラのサマーバケーションを夢想しながらも、とはいえ仕事もあるし、今年の夏はどう過ごそうか?……という今の季節にぴったりの3曲が収められている。

 メジャーデビューから半年、ドラマタイアップなども経て、同世代女性の支持を高めている ゆいにしお。彼女ならではの視点、共感を集めるリアルな描写力はどこから生まれてくるのか。『ワークライフアイランド』を通して、ゆいにしおの世界を紐解いていきたい。(編集部)

ギャルマインドを持って仕事をしてる女子達は世の中にたくさんいる

ゆいにしお

ーー昨年10月にメジャーデビューをされて、約半年が経ちました。世間にゆいにしおの音楽が広がっている感覚はありますか?

ゆいにしお:今年1月に、『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京)のエンディングテーマ(「会いたいな今夜」)を担当させていただいたのが、特に大きかったです。これまで20代の女性をターゲットにしていながらも、その層に届いている感じがあまりなかったんですよ。だけど『来世ちゃん』は、主に25歳の自分と同世代の女性に人気のドラマなので、それがきっかけで私の存在を知ってライブに来てくれる方が増えました。ここ最近の私が作る曲は「20代女子頑張ろうぜ!」みたいなものが多いんですけど、以前は素直な恋愛の歌詞を書いていたので「それに共感したよ」という声も挙がっていて。中にはライブを観て泣き出しちゃう子もいたんですよ。ようやく自分の音楽が届いている実感が湧いてきましたね。

ーーそんなゆいにしおさんは、今回メジャー1stシングル『ワークライフアイランド』をリリースされます。テーマが「社会人女子の夏」ということで、そこに着目されたのはなぜですか?

ゆいにしお:せっかく夏頃にリリースするなら、コンセプチュアルなCDを出したいよねっていう話の中で、ゆいにしおにとしての夏を描くなら、どんなテーマがいいかなと考えまして。思いっきり夏の恋愛の曲とか、すべて化粧品の歌にしてコスメのタイアップを狙うとか、いろんな案が出たんですよ(笑)。その結果、今社会人として働く一面も持っている ゆいにしお がリアルな夏を描けたら、より20代女子に届くんじゃないかなと思って、このテーマになりました。

ーー1曲目「We Are Girls Forever!」は、自然に心臓の鼓動が早くなって、思わず体が乗るようなサウンドに感じました。

ゆいにしお:まさにおっしゃる通りで。今までは、座ってお酒を飲みながら体を揺らす曲が多かったんですけど、たまには立ち上がって拳を突き上げてもらうような曲があってもいいかなと。あとは、夏フェスに出たいのもあって。これまでの渋谷系シティポップを期待してる人はビックリするかもしれないけど、あえて力強い楽曲を書きましたね。

ーー曲を聴いていると、スーツ姿のOLがハイヒールを脱いで、そのまま走り出す映像が浮かびました。

ゆいにしお:私もそういうイメージがあって。それで爪にギラギラのネイルを塗っていたり、めちゃめちゃでかいピアスをつけていたりとか。普段のお仕事スタイルにプラスして、“はしゃぎ要素”が加わったイメージですね。

ーー前作『tasty city』の「mid-20s」もそうですけど、「We Are Girls Forever!」で改めて思ったのは、ゆいにしおさんの書く歌詞ってギャル味があるなと。

ゆいにしお:ですね(笑)! 特に今回はギャル味が強めだと思います。

ーーギャルって聞くと、僕の中ではALBAROSAとか『egg』『小悪魔ageha』『nuts』のイメージなんですけど、ゆいにしおさんの中でギャルと言えばなんですか?

ゆいにしお:私の中でギャルの代表と考えたら……chelmicoのMamikoさん。

ーーあ、意外な人を!

ゆいにしお:見た目はそうじゃないけど、実はすごいギャルみたいな。今、『小悪魔ageha』とか『egg』もリバイバルしつつありますけど、私にとってのギャルは外見よりもマインド的なところで。それこそ見た目は全然ギャルじゃないけど、ギャルマインドを持って仕事をしてる女子達は世の中にたくさんいると思うんですよ。

ーー楽曲の登場人物にも、ギャルマインドを感じました。というか、タイトルがモロですよね。

ゆいにしお:まさに、タイトルはギャル味の部分で。ギャルは仲間のことを“ウチら”と一括りにするじゃないですか。そのウチらを「We Are」に込めましたね(笑)。でも、“ウチら女の子”だと、はっちゃけ過ぎかなと思ったので、そこは少しマイルドにしてバランスを取りました。

ーーこれまでのゆいにしおさんは、都会に住むオシャレ系女子のイメージがありましたけど、本来はギャルのような仲間意識が強くて映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』みたいな人ですよね。

ゆいにしお:あの映画めっちゃ好きです(笑)! 確かに「同世代の女子は全員仲間!」みたいに思ってる節はありますね。「ウチらよくやってるよね」と言いたくなるというか。

ーーちなみに、身近にギャルっています?

ゆいにしお:います! 友達にギャルマインドを持ってる子がいて。大学からの友達なんですけど、大学の必修授業は前期に5回休んだら落第という決まりだったんですね。その子が4回休んだ時に「次来なかったら、あの子は落第するぞ」とクラスの子達がざわざわし始めて。で、とうとう来なかったんですよ。連絡したら「まあ、ええかなと思って」とヘラヘラしていて。すごいのが、ギャルなのでコミュ力が異常に高くて、他の単位をガンガン取ってちゃんと4年で卒業したんですよ。その子からめちゃくちゃ影響を受けてますね。「イケるっしょ!」が口癖の子で、それが連鎖して私の友達も「イケるっしょ!」が口癖になっていて。なんか……ギャルは伝染するんだなと思いました。

ーーもはや「Everything's gonna be all right.」の精神というか。

ゆいにしお:そうそう! すごいですよね、ギャルって。

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