THE SPELLBOUND、自主企画イベントで巻き起こした歓喜の熱狂 BOOM BOOM SATELLITESを完全再現した感動的な一夜に

 30分のインターバルを挟み、THE SPELLBOUNDのアクトへ。小林、中野、そして福田・大井一彌(Dr/yahyel、DATS)のツインドラム、ゲストボーカルのXAIがステージに上がり、「なにもかも」でライブは幕を開けた。荘厳なシンセサウンドが会場全体を包み込み、リフレインする〈なにもかも〉とともに心地よい高揚感へとつながっていく。さらに「すべてがそこにありますように」では中野がギターを奏で、鋭利な疾走感をたたえたバンドサウンド、流麗なメロディと祈りを込めた言葉が真っ直ぐに突き刺さる。小林が紡ぎ出す繊細で奥深い日本語のリリックとメロディを際立たせるサウンドメイクは、ライブという場所においてもしっかりと発揮されていた。「Nowhere」では曲の途中でドラムンベース的なビートが炸裂。すべての楽曲に共通することだが、ツインドラムの機能を活かした緻密なリズムアレンジもさらなる進化を果たしていた。シンセベースと優れた身体性に貫かれたドラムによるTHE SPELLBOUNDのダンスミュージックとしての機能は、大げさではなく世界トップレベルだと思う。

 ライブ中盤では未発表の新曲も披露された。抑制を効かせたダークな音像から徐々にテンションを上げていき、〈なくなってしまっても〉という美しいシャウトを伴いながら昇天するこの新曲は、THE SPELLBOUNDの現在から、この先の音楽的発展を予感させるに十分な魅力を放っていた。

 「はじまり」を起点とする後半は、このバンドが持つ深淵にして強靭なサウンドスケープを存分に体感することができた。強い音圧としなやかなさを併せ持ったビート、時間とともに変化し続ける音のグラデーション、そして、透明感と生々しさを同時に感じさせる小林のボーカル。かなりの爆音でありながら全くうるさくなく、細やかな粒子まで感じられる音の良さにも驚かされた。

 ここで中野は、オーディエンスに向かって話し始めた。

「(『BIG LOVE』は)思いつきで始めたんですよ。(BOOM BOOM SATELLITESの)25周年だからって周りの人たちに背中を押してもらって。今日、こんな笑顔に出会えたのは素晴らしいことだと思います」「小林くんがいないと何もできない。川島くんがいないと何もできなかったんだけど、周りに好きだと思える人がいないと、僕一人では何もできないので」「いろんな音楽の現場に携わっていて思うんですけど、遺伝子みたいなものをつないでいくことが、僕みたいな大人にとっては大事な役割。できる限りやっていきたいと思います。小林くん、ありがとう」

中野雅之

 それに対して小林は、「THE NOVEMBERSで以前、北海道でBOOM BOOM SATELLITESと共演したことがあって。それ以来、川島さんとDMでやり取りすることがあったんです。それをたまに見返すんですけど、それはもちろん更新されることはなくて。その後、僕がTHE SPELLBOUNDを中野さんとやるようになって、BOOM BOOM SATELLITESのカバーをするようになって。いろんな感動や思いをもらってきたんですけど、今日は、過去とか未来とかを飛び越えた彼の意志みたいものを更新できたような感動がありました」と言葉を重ね、観客は大きな拍手を送った。この直後に演奏されたのはBOOM BOOM SATELLITESの「STAY」。あまりにも美しいサウンドとメロディは、この場にいるすべての存在を祝福しているようだった。

小林祐介

 最後は再びJean-Ken Johnnyを呼び込み、「KICK IT OUT」を披露。歓喜と興奮がピークに達するなか、第1回『BIG LOVE』はエンディングを迎えた。

 イベント『BIG LOVE』は『BOOM BOOM SATELLITES 25th Anniversary Special』という形で、今年9月から全国ツアーとして開催されることが決定。この貴重なツアーをぜひ、ライブ会場で体験してほしいと思う。

THE SPELLBOUND、初ライブにも表れた“全能感” 『THE SECOND CHAPTER』レポート

7月8日、BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之と、THE NOVEMBERSの小林祐介による新バンド、THE SP…

中野雅之が振り返る、BOOM BOOM SATELLITESが歩んだ軌跡とラストライブの裏側

BOOM BOOM SATELLITESが3月14日、『FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - …

関連記事