タイラー・ザ・クリエイターから学ぶ成功の秘訣 オリジナリティ溢れるアイデアを実現するために大切にしていること

 タイラー・ザ・クリエイターが2021年6月にリリースしたアルバム『Call Me If You Get Lost』。Billboard 200で1位を獲得し、『第64回グラミー賞』でも最優秀ラップ・アルバム賞を受賞した同作について、タイラー・ザ・クリエイターは「この作品は俺がかつて到達したことのないレベルまで洗練されている」とコメントしていた(※1)。

 そんなタイラーの“最高傑作”のデラックス版『Call Me If You Get Lost: The Estate Sale』が3月31日にリリースされた。通常版に収録されなかった8曲が新たに追加されており、ヴィンス・ステイプルズやエイサップ・ロッキーが参加している。音楽以外にも様々な分野で活躍するタイラーだが、アーティストやクリエイターが参考になるようなタイラーの作品作りを紹介したい。

 2020年の『第62回グラミー賞』最優秀ラップ・アルバム賞を受賞した前作『IGOR』とは違い、『Call Me If You Get Lost』は自分の原点でもあるラップを復活させた作品であった。サウンド的には近年のタイラーのコード使いと、Odd Future時代に培ったラップを織り交ぜたスタイルとなっており、2017年の『Flower Boy』と2019年の『IGOR』で見せたプロダクションスキルを踏襲している。自身で楽曲のプロデュースも行なっているタイラーは“美しいコード”へのこだわりを持っており、弟であるアール・スウェットシャツはタイラーのプロダクションについて以下のように語っている。

「彼は皆とは違う影響を受けていた。ファレル・ウィリアムス、スティーヴィー・ワンダー、クインシー・ジョーンズなどから学んだ。彼と話すと、いつも『おい、このコードを聴いたか?』って言われる。彼はコードを愛している」(※2)

タイラー・ザ・クリエイター(『Coachella 2023』)

 特に『Flower Boy』以降のタイラー・ザ・クリエイターは世界観作りに長けている。金髪ウィッグを被り三角関係を歌う『IGOR』時代、パステルカラーを多用し、リズミカルな韻でロマンスを表現した19世紀フランスの詩人 シャルル・ボードレールからインスパイアされ「タイラー・ボードレール」と名乗った『Call Me If You Get Lost』。作品ごとに明確なコンセプトを持っているタイラーだが、彼のマネージャーは『IGOR』時代について以下のように語っている。

「タイラーはコンセプトを最も重要視している。彼はマッピングをするようにアイデアを出し、かなり細部まで計画を立てる。リリックだけではなく、デザインなどのアイデアを描くノートも持っている。彼はコンセプトから『IGOR』という人物の見た目や、人間的な特徴などを考えていった。そうすることにより、音楽にも筋が通り、音にも意味が宿ったんだ。俺は彼と3週間ほどイタリアに滞在したけど、そこでは『IGOR』を具現化するために、普通の精神状態から抜け出す必要があったんだ」(※3)

SORRY NOT SORRY

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