SixTONES、スピッツ、斉藤和義、凛として時雨、鈴木雅之……4月12日リリースの新譜5作をレビュー

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は4月12日リリースのSixTONES『ABARERO』、スピッツ『美しい鰭』、斉藤和義『PINEAPPLE』、凛として時雨『last aurorally』、鈴木雅之『SOUL NAVIGATION』の5作品をピックアップした。(編集部)

SixTONES『ABARERO』

 京セラドーム大阪公演(2days)と東京ドーム公演(3days)を目前に控えたこのタイミングで、SixTONESのシングル表題曲史上最も攻めた楽曲がドロップされる。それが、まるで全てのパラメータを攻撃力に全振りしたかのようなハードなHIPHOPナンバー「ABARERO」である。まず特筆すべきは、田中樹によるダーティーでしなやかなラップと、全編を無軌道に往来し続けるジェシーによる〈騒げ〉〈SHOUT〉といった熾烈なアジテーションの数々である。また、京本大我のハイトーンボイスには強烈なオートチューンが施されていて、その鮮烈な歌声が随所でアクセントとして光ることで、この楽曲が放つ覚醒感が増幅されている。松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎による歌唱も、いつも以上にパワフルでワイルドな響きを放っており、その声から伝う迸る熱量に激しく心を震わせられる。これまでにカニエ・ウェストやジェイ・Zなどの作品を手掛けてきたエンジニア、IRKOによるミックスとマスタリングも徹底的に攻めている。これまで、ジャニーズポップスの王道を進むのではなく、あえてオルタナティブな道を切り開き続けてきた6人が、今回ついに単独のドーム公演を実現すること自体が感動的なトピックスではあるが、何よりも、その大きな目標を叶えるタイミングで、さらにギアを上げて攻める彼らのスタンスには本当に痺れる。冒頭でシングル表題曲史上最も攻めた楽曲と綴ったが、これは変化球ではなく、むしろ彼らにとっての新しい王道となる予感さえする。(松本)

SixTONES – ABARERO [YouTube ver.]

スピッツ『美しい鰭』

 3年半ぶりのニューアルバム『ひみつスタジオ』から先行シングルとして劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』主題歌「美しい鰭」をリリース。鋭利なドラムのフィルとベースのグリッサンドをきっかけに、曲が始まって数秒でしなやかなバンドグルーヴが出現。たっぷり20秒以上のギターソロを聴かせた後(ホーンセクションも絶品)、懐かしさと切なさ、凛とした強さを含んだ草野マサムネの歌声が耳に飛び込んでくる。どこを切ってもスピッツなのだが、まるで初めてこのバンドに触れたような新鮮さもあり、これこそが30年以上に渡ってシーンのトップであり続けるすごさなのか、と改めて実感させられる。カップリング曲「祈りはきっと」「アケホノ」はアルバムに収録されないので、ぜひCDをチェックしてほしい。(森)

スピッツ / 美しい鰭

斉藤和義『PINEAPPLE』

 フォークロック的なアプローチの英語詞ナンバー「Pineapple (I’m always on your side) feat.藤原さくら」、打ち込みの鋭利なトラックのなかで、今の社会に対する思いをダイレクトに響かせる「問わず語りの子守唄」、日常にある美しく、穏やかな時間をアコースティックな音響とともに描いた「マホガニー」、昨年の弾き語りツアーでも披露された「泣いてたまるか」。デビュー30周年を迎えた斉藤和義のニューアルバム『PINEAPPLE』は、ルーツミュージックに対する解釈を奔放に広げながら、現在の社会の空気を生々しく捉えた作品となった。サウンドの軸になっているのは“アコギでロックンロールする”という現在のモード。ボーカルはもちろん、斉藤自身のギター、ベース、ドラム、鍵盤の個性的な演奏もこのアルバムの聴きどころだ。(森)

斉藤和義 - 「底無しビューティー」Music Video

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