Ezoshika Gourmet Club、メンバー脱退からの新体制で新たな一歩 「おいッ!」に込められた日常に対するフラストレーション

「80年代〜90年代への憧れは強い」(松下)

松下和樹

ーーそもそも曲名を「おいッ!」にするのも大胆なジャッジだなと思いましたが、そこは思い切って決めた感じでしょうか。

池澤:この曲は、もともとサビのパートだけできていたのですが、その時から曲名はサビのフレーズと同じにしようと決めていましたね。

ーー80年代風のアートワークやMVにも、皆さんのこだわりが随所に詰まっているように感じました。

池澤: 80年代へのオマージュは、やっぱりずっとやりたかったことだったので。今回、曲のアレンジも含めてそこをちゃんとやれたっていうのは大きかったですね。

ーー皆さんそれぞれが、80年代への憧れを抱く理由について教えてください。

池澤:当時は、楽曲制作にかけるお金が潤沢にあった時代だと思っていて、そうしたゴージャスさに惹かれるというのもあります。それに、けっこう攻めた曲が多いなと思うんですよ。自由度が高いというか、特にコード進行は、今じゃ絶対に使わないだろうなっていうコードをサビで使っていたりして、そういう大胆なところに魅力を感じますよね。

松下:音楽もそうなんですけど、自分はお笑いがすごく好きで。その流れで、昔のお笑い番組で使われていた曲が好きなんですよね。例えばブラックビスケッツの「Timing」は、たくさんの名曲を作っている中西圭三さんという方が参加していたもので、そういった楽曲に触れる機会が多かったので、80年代〜90年代への憧れは強いですね。

池澤:やっぱ、バブルってすごいよね。一周回って憧れちゃうというか。

守屋:今回のMVも、当時を思わせるようなコメディ感もあって。

池澤:演奏シーンは今っぽい映像で、合間に80年代のドラマ風のシーンが差し込まれています。

松下:ドラマパートは、織田裕二さんが主演していた『お金がない!』(フジテレビ系列)などのトレンディドラマを参考にして作っています。テーマは、戦うサラリーマンなんですけど、あのVHSの質感がなんかいいんですよね。

守屋:今観るとちょっとシュールな感じで、それもいいですよね。

池澤:かっこよすぎないっていう。ちょっとゆるさがあるけど、でもやっぱりかっこよさもある。今回、結成当時からずっとやりたかったことをうまく混ぜつつ、ちゃんと新しいものを作れたかなという満足感があります。

ーージャケットには、「おいッ!」という文字がデカデカと載っていますね。

池澤:あれはBECK『Hyperspace』へのオマージュです(笑)。

ーー今回の新曲は、サビのロングトーンのメロディにとても大きなインパクトがあって、ライブの会場が広ければ広いほど輝きを増すとてもアンセミックな曲だと感じました。この曲を新たに携えたことで、エゾシカのライブはどのように変化しましたか?

松下:最近、ライブで「おいッ!」を一曲目でやるんですけど、自分がお客さんとして観たら絶対かっこいいと思うんだろうなみたいな自信があって。先日のライブでは、たまたま海外の方々が観に来られてたんですけど、「海外に行きなよ」「海外でウケるよ」みたいなこと言ってもらえて。

ーー海外でのライブやツアーへの憧れは強いですか?

池澤:まず、台湾などのアジアを周りたいですね。あと、フィリピンに熱狂的なファンがいるので。

一同:(笑)。

守屋:毎日のようにDMを送ってくれるフィリピン人のファンの方がいるので、フィリピンには行かなきゃいけないですね。

池澤:とはいえ、まずは国内の全国ツアーから。

守屋:ライブ会場だと、やっぱりホール規模はやりたいです。今回の曲は特にそうですけど、エゾシカの曲は、今のライブハウス規模の会場はもちろん、今より大きい会場でもしっかりお客さんに伝わるものが多いのかなって勝手に思っていて。「おいッ!」しかり、もっと大きい会場で鳴らしたい曲がたくさんあるので、ホール公演はマストで目指したいです。

ーーホールだと、ライブハウスと響き方が大きく変わりますもんね。

池澤:そうですね。サカナクションの大規模な会場のライブを観ていると、終盤のアンセムを連発するゾーンに憧れます。もちろん、ワンマンツアーだけではなくて、メジャーなフェスにもどんどん出ていきたいです。「今年、『COUNTDOWN JAPAN』があるから実家に帰れないわ」「忘年会、行けないわ」みたいな(笑)。

「着実に地力をつけていきたい」(守屋)

守屋優樹

ーー制作面について、今後どのような曲を作っていきたいと考えていますか? もし、構想やアイデアなどがあれば教えてください。

池澤:僕はそうですね、最近、MOON CHILD「ESCAPE」をよく聴いていて、ダークで色気がある曲をやってみたいですね。

松下:『FiVE』(日本テレビ系/「ESCAPE」が主題歌のテレビドラマ)じゃん。

池澤:あの感じをやりたいですね。

ーーこれまでなかった方向性ですよね。

池澤:ちょっとタイトな感じの音楽をやりたいですね。また、僕たちとしてはやっぱり20〜30年後に誰かが聴いてくれた時に、「このバンドかっこいいな」と思ってもらえるような曲を作り続けたいと思っています。

守屋:意図せぬ形でバズるとどうしても浮足立っちゃうというか。状況だけが先に進んでしまうような怖さもあるので、着実に地力をつけていきたいですね。

ーー4月には、渋谷WWWでのワンマンライブ『NERD URBAN ELECTRIC II』の開催を控えていますね。当日に向けた想いを聞かせてください。

池澤:今まで僕は、ギターやキーボードを弾きながら歌っていたんですけど、なんか堅苦しいというか、少し内向的な印象を与えてしまっていたと思うんです。最近はハンドマイクでパフォーマンスをすることが増えてきて、「おいッ!」のMVでもハンドマイクで歌っています。ハンドマイクでちゃんとパフォーマンスをして、大きいところで魅せられるバンドになっていこうっていう意識が、僕の中ですごく芽生え始めています。ロックバンドであることをちゃんと意識したライブを届けることが今の大きなテーマなので、またいろんなライブ映像を観ながら研究しようと思います(笑)。

 それと、今回の会場の渋谷WWWは、僕たちがグランプリを受賞した『MASH HUNT LIVE Vol.1』のオーディションの最終審査が行われた会場なんです。その時、ミラーボールがすごく綺麗だった印象があって。今回もう一回あの会場でライブをできるので、またミラーボールの下でファンの皆さんと会えるのが楽しみですね。

守屋:個人的に、今までエゾシカはライブが弱いなと思っていたんですけど、最近は曲を演奏するという意識から、パフォーマンスを届けるという意識に変わりつつあります。以前より、ショーとして魅せるライブを意識して考えられるようになったので、やっぱりライブバンドとしての強みを見せたいですね。それこそ、強力なサポートメンバーも加わったことで新たにパワーアップしていると思うので。

池澤:現時点での最終形態のエゾシカを、大きい会場で皆さんに楽しんでもらいたいね。

松下:前回は初ワンマンだったこともあって、ライブをこなすことで精一杯でした。でも、今回はショーとしてパッケージされたものをちゃんと届けられると思います。池澤が言う通り、最終形態のエゾシカのライブをぜひ体験してほしい。来ない人に対しては、「おいッ!」って言いますね(笑)。

Ezoshika Gourmet Club「おいッ!」ジャケット

■リリース情報
Ezoshika Gourmet Club「おいッ!」
2023年2月22日(水)New Digital SG
配信URL:https://big-up.style/or8IfadKJL

■ライブ情報
『NERD URBAN ERECTRIC Ⅱ』 @ SHIBUYA WWW Ezoshika Gourmet Club
2023年4月16日(日) 18時開場/19時開演
渋谷WWW
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/028gy9j463v21.html#accept

■関連リンク
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