BOOGEY VOXX、解散ライブで見せた最高の散り際 ヒールとしての美学感じるラストギグに

 曲について振り返ったFraは、「俺らの好きなことしかやってない」のに「これだけの人数に受け入れられるのは結構とんでもないこと」と評する。チャットに現れたMori Calliopeにも触れ、コラボ曲「CROWN」はフレッシュなホロライブリスナーへのリーチよりも好みを優先し、制作では伝説のラッパー・Jay Zをイメージの1つに挙げたと明かした。

 そうして、楽曲たちの中でもわがままを通して作られたという「Bang!!」「Re:Credits」「y’all」が続けざまに歌われた。この時点で盛り上がりは最高潮になり、「Bang!!」の途中には同時接続者数が1万人を突破。どの曲でもライブお決まりのムーブが文字に置き換わり、強い一体感でコメント欄が埋まっていた。

 これら3曲は、発表時期もバラバラなら、パフォーマンス順もリリース順と異なる。しかしそこには一貫した思いがあるという。Fraが掘り起こしたのは、ぶぎぼを始めようとCiに持ちかけた時の話。当時の資料には「業界のヒールをやりたい」とあったそうだ。アイドル的な活動をすることも多いVTuberシーンにいながら、事務所に所属せず、音楽を全面に出し、ラップという道を歩む。だからこそ3曲に一貫するのは、ヒールには必ず宿る美学。3曲の共通点といえば、クリエイターを後押しする歌詞だ。歌唱の合間にFraが言った「地元のNo.1、お前いったい全国じゃ何番?」「最後の置き土産だぜ。俺らを倒してみろ。手上げろ」も視聴者だけでなく世のクリエイターに向けられた言葉だろう。彼らの美学として、同業者の前に立ちはだかる最強の好敵手になろうとしているのだ。

 そして、最高の散り際を用意してそれを完成させるため、今回のライブを開いたという。「このライブはFor同業者だ」「同業者の背中を叩き、クソな同業者の首を掻き切る」「俺らは死後強まる念だから」「ぶぎぼは今日終わるんだ。お前らが超えるんだ」。立て続けの台詞で伝説に楔を打ち込んでいく。そして再度、ぶぎぼのYouTubeチャンネルは残ることを強調する。メンバーのいなくなったぶぎぼは、最早誰にも消すことができない。だからこそ永久に残り続ける。倒すべき相手として存在感を放ち続けることになるだろう。

 こうして打ち明けられた想いは、フィナーレ「D.I.Y.」につながっていく。全てをゼロから作り上げろと強いメッセージを放つこの曲が、最初の曲であり最後の曲なのは運命だとCiは語る。「今来たばっかり!」と叫ぶ定番の流れにも、いつもと少し違った笑いがこみ上げる。目頭もコメント欄も熱くしながらのラスト「D.I.Y.」を歌い上げ、この日のライブは終幕を迎えた。

 しかし、ぶぎぼの活動は完全には終わっていない。5月にYouTube配信されない場で、もう1度だけライブがあるという。次に会うその時まで、生きているしかないようだ。

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