連載「lit!」第40回:ピノキオピー、ユギカ、GESO×rinri、⌘ハイノミ……ボカロ文化の“心臓”を感じさせる楽曲4選

GESO×rinri「異種」

異種 / 歌愛ユキ・GUMI・鳴花ヒメ

 GESO、rinriによる共作「異種」は、ヴィヴィッドなボカロ曲がトレンドに乗りやすい中で、環境音を取り入れた透明度の高い楽曲になっている。イントロから浮かび上がるのは、水に溶けていくようなボーカロイドたちの妖艶な歌声。そんな柔らかな雰囲気はラスサビで覆されることになるのが聴きどころのひとつだ。調声された鳴花ヒメの歌声が、徐々に異種要素が増えていく登場人物たちの奇形な姿を表現する。注目度の高い音声合成ソフトが増えてきている昨今。曲中で演出方法にバリエーションをもたらしているのが、音声合成ソフトによる歌声であることが斬新である。

⌘ハイノミ「ドゥードゥードゥー」

ドゥードゥードゥー / ⌘ flower (DODODO / ⌘ flower)

 「ドゥードゥードゥー」は個人的にヒットの予感に満ちた有力作だ。半音下がる〈DO DO DO??〉〈DO DO DO!!〉のメロディと、まるでMVの主人公の男性そのものが喋っているかのように感じさせるv flowerの絶妙な調声が個性的。頭ではわかっていても身体が動かない主人公が、「するか? しないか?」の選択に迷い、何度も〈DO DO DO??〉〈DO DO DO!!〉を心で繰り返している。ジャジーで洒脱なセンスが光るなかでも、最後には〈‟当たり前”なんて言葉になんか/騙されるな〉と作者の人生観を伝授するようなロック魂が飛び出すところが眩しい。

 無数のボカロ楽曲が日々生まれていく中で話題に上がるのは、やはりボカロだからこそ表現可能なアンダーグラウンド感を持ちながら、独自の路線を築くことのできている楽曲だろう。これまでも各時代ごとに後続クリエイターに影響を与えるようなトレンドが生まれてきたボカロシーン。今後も、遊び心あふれるエキセントリックな楽曲が登場することを願うばかりだ。

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